怖い話のまとめサイト

怖い話を集めてます。 独断と偏見でチョイスして紹介してます。

怖い話

【洒落怖】【怖い話】首長リーマン

実体験ではないです。知り合いに聞いた話をそのまま書き込みます。 

終電の一個前の電車に乗ってた時のこと。 
電車内には俺と、右斜め前の対角線上の席に座っている、酒を飲んでる汚いおっさん一人。電車ん中で酒飲むなよと思ったけど臭いも届かないしまあ良いか~って感じで携帯見てすごしてた。ちょっと恋愛関係で良いことがあった帰りだったもんで… 
ずーっとそのおっさんと二人だったけど、ある駅に停車した時、おっさんの近くのドアの外側に一人のリーマンが立ってるのが見えた。 
別に気にもかけずにそのまま携帯見てたら、 

「なに見てんだよ」 

って急に言われた。 

機械的な声。ビックリして目をあげると、そのリーマンのニヤニヤ顔がすぐ近くにあって、俺の携帯を覗き込んでいる。 
うお、何だこいつってめちゃくちゃビビりながらよく見ると第二の衝撃。 
リーマンに体が無い。 
っていうか、"ここに"無い。 
見ると、体をホームに置き去りに、ろくろ首みたいに首だけ伸ばして電車内に入ってきていた。 
酒を持ったまま固まっているおっさんが目に入る。おっさんも明らかにリーマンが見えている。 
リーマンの顔に目を戻す勇気がなくて、暫くおっさんと見つめあっていると、電車が閉まる音楽が鳴った。 
車内に入ってくる気は無いのか、その首長リーマンの顔が「いいいいい~」って笑いながらスルスルと車内から出て行く。 
良かった~と安心していたら、首が完全に出る直前に、閉まっちゃったんだよね、ドア…。車掌さん、あんたリーマン見えてないの、何で閉めるの…って今では思う。 
ろくろ首じゃなくて、ゴム人間だったのかな。伸びた首がドアに潰されてペチャンコになりながらも、リーマンはニヤニヤ笑っていた。 

電車が動き出す。挟まった首はビヨーンと伸びてついてくる。窓の外に、棒立ちのままのリーマンの体が後方に流れて行くのが見えた。 

「いいいいいいいいいいいいい!!」 

奇怪な笑い声をあげながら顔を左右にビチンビチンとドアに打ち付けてなおついてくるリーマン。 
もうやめてくれ!って思いながらしばらく震えていると、伸び縮みの限界が来たのかドアの隙間をスポんっ!って抜けて夜の闇に消えて行った。 

その後すっかり酔いが醒めた様子のおっさんと震えながら次の駅で降り、なんやかんや二人で飲みに行くことにした。 
間近で顔をブンブン振られていたおっさん。俺の何倍も怖かっただろうな。 
連絡先は交換しなかったけど、元気にしてるだろうか。 

【洒落怖】【怖い話】謎の指導者

心霊的な話とは違うのですが未だに理解出来ない事があって書きます。 
小学生時代、地元のスポーツ少年団で5年生になると研修施設で一泊する合宿会があった。 
合宿と言っても普通の林間学校のようなもので、野球、サッカー、バレー、剣道と普段の種目 
に関係なく男女みんなでレクをしたり、キャンプファイヤーしたりとかそんなのだった。 
その年は生憎の雨でキャンプファイヤーや花火は中止になってしまい、夕食後は父兄の持っ 
てきたビデオを鑑賞することになり、映画の「ドラえもん」と「ドラゴンボール」でどちらか見たい 
方で分かれることになったんだ。で俺はドラえもんを選んだ。 
ドラゴンボールはそのまま食堂で鑑賞になったんだけど、ドラえもんを選んだ子は違う部屋に 
誘導されて俺たちはちょっと離れの建物に連れて行かれ、何故か鑑賞するような部屋ではなく 
体育館に連れて行かれたんだ。誘導してたのは俺のやってた野球のコーチや父兄ではなく、 
たぶん他のスポーツの保護者だったと思う。 
本当に突然なんだけどその知らない保護者から「じゃあ走るから」っていきなり言われて、皆 
目が点になったけど無言の圧力で何故かそのまま30分位体育館の中を永遠走らされた。 
ドラえもんを選んだ子は女子や比較的運動が苦手な子も多くそんなガチのスポーツ少年団 
でもなかったから、みんな泣きそうになって走った。途中で歩いてしまう子も多く、最初は「ホ 
ラ、がんばれ!」位だったそのオッサンも徐々に何故か怖くなってって「止まるな!オラ!!」 
みたいになっていった。吐いた子もいた。 
そんなガチでスポーツが得意でないうえに、映画だと思ってた時間に突然怖い知らないおじさんから 
走れと言われた30分位は本当に長く長く感じてこの時点で泣いてる女子もいた。 
「終わり!!」って言われてみんなその場にへたり込んでハーハー崩れていると、「オラ!集まれ!!」 
ってそのオッサン叫んで、うちの小学校にはそんな怖い先生もいなくて皆ガチでビビっててステージの 
前みたいなところに集合させられた。崩れて走れない子は、まだ走れた奴が体を引っ張って連れて 
行った。 
そこからは永遠、体操体系に開け!集まれ!遅えぞ馬鹿野郎!!みたいのをずーっとやらされ、 
右みけ右!や回れ右!とか出来ない子は「お前だけ出来ねねーぞ!馬鹿野郎!」とか永遠やらされ 
最終的にはその体育館をずっと行進させられた。当然、揃ってない!やる気が無い!と怒鳴られながら。 
ドラえもんが見れると思ってた俺たちの大半は泣きべそor泣いてて、それは22時位まで続いた。 
その後開放され部屋に戻ると、ドラゴンボールを選んだ子たちはとっくに終わって風呂も入っててみんな 
GBとかトランプしてて「遅かったなぁ」なんて言われた。 
当然、野球部の保護者や指導員の関係者に訴えたんだけど、「本当に~?まじかよ~」とか何故か 
笑って流されてまともに取り合ってもらえなかった。女子や他の子は怖くて言い出せなかった子もいて 
ドラえもんを選んだ子たちはみんな狐につままれたような気分で寝た。 
ちなみにそのオッサンは剣道の指導者だったらしいが、次の朝には何事もなかったように普通にいて 
ニコニコ笑っててメチャクチャ怖かった。30を過ぎた今でもあれが何だったのか理解出来ずにいる。 
サイコパスってきっとああいう奴なんだと思う。 
結局、その剣道の指導者だったオッサンは誰かの保護者だったらしいが誰の保護者かも分からなかった。 
(学年の違う子の親が指導者をしていることもある為)。 
剣道部の子もみんな「普段はあんな人じゃない」と言ってた。 
今でもその時のドラえもんを選んだ組の同級生たちと話すとあの事はハッキリ覚えてて話題になる。 
自衛隊か何かの人だったのかなぁ・・・。 

【洒落怖】【怖い話】茶化した結果

大学一年ん時の話 
当時の彼女とドライブ中、軽い坂道を通った。 
坂と言うよりは、軽い峠道に近い感じ。 
その道の途中にある公園の入り口が、少々立派な入り口で 
公園の名も、壁に付いた石板に彫ってあるような。 
道路には俺の車と、後ろにもう一台 
後ろの車のライトが、その看板の壁を照らした時に子供が走ってる影が映った。 
そこで、俺はおかしい事に気付く。今まで走って来た道に 
子供どころか、人なんか一人としていなかった。 
隣の彼女にはその事を告げられず、「帰ろう」とだけ一言。 
後から聞いたんだが、俺が帰ろうと言った時 
物凄く肩が重かったそうだ。その時も影の話はこちらからしてない。 
結構メンヘラな彼女で、話をした後の 
リアクションが想像できなかったから、辞めておいた。 
これが、土曜日の話で 
週明けの月曜に登校した俺は 
すぐさま、仲間内にこの話をした。 
男女含め喫煙所に20人ぐらいがたまってたのだが 
やはり、年の頃なら18~19 
それはもう、「行こう!行こう!!」の嵐 
実はこの時の俺、心霊現象には慣れっこ 
その為、ドライブ中も冷静でいられた。 
なので、こういうノリで霊を茶化しに行くのは本当に嫌い 
というよりも、マジでなんかしらやってくるし 
子供の影を見たこの場所、そこそこの心霊スポット 
俺は、「お前らだって、人に茶化しにこられたらやだろ?幽霊だって同じだぜ?」 
こう話をしても、Fランで馬鹿なのと 
暑くなっていく季節も手伝ってか、やはり「行こう」コールは止まない。 
仕方なく俺は、「わかった、なら問題の場所でハザードを焚く」 
そして、そのまま走り去るってゆう条件で 
愚かな奴らを連れて行くことにした。 
車は三台、面子は12~13人 
俺の→その時の親友の→ちょっと遠い田舎の奴の 
っていう順番 
俺が走り去る宣言をしたもんだから 
俺の車、俺以外は全員女子wwwやっぱ怖いんだなと思いながら出発。大学からは3~40分もあれば全然着く 
問題の場所で俺は、ハザードを焚きさらに窓を開け 
手信号の左折の用に右手を出して指を指し 
その場所を示した。 
そしてそのまま二台目を置き去りに走り去る 
問題の場所から先は本当に峠道みたいな感じ。 
湖付近の為、信号もなく走りやすい。 
軽快に飛ばしてると、携帯に着信 
二台目の助手席に乗ったデブからだった 
デブ「やばいやばい!やばいよ~!」 
俺「どうした?」 
デブ「#♂ヽ●%&¥┣」 
俺「落ち着け」 
デブ「ダッシュボードが!!」 
俺「わかった!とりあえず待ってるからズーッッと道なりに来い。一本道で湖の回りだから、くねくねするし停車できる所も無いから大分先にいると思うが待ってる。運転してるHにそう伝えろ」 
そこから俺は、追い付かれまいと飛ばすに飛ばした。 
電話がくる前は女子が乗ってるから、車体が揺れ無いようにと 
気を使ったが、今はデブとその親友をちょっとでも長い間 
不安にさせようとアクセルを踏み抜いた 
ここで、停車して待てんじゃん!と言う直線の5kmぐらい 
先で俺は停車をして待っていた。 
15分ぐらいで、二台目と三台目が到着。 
話を聞くと 
俺が合図をした後、二台とも少しだけ停車をし 
問題の看板を見に行ったそうだ。 
話を聞いてるせいか、異様な雰囲気の為か 
それ以上公園には踏み込まず、帰ろうという話になり 
車に乗り込んだ、発進するとすぐさま 
二台目の車のダッシュボードの上のムートンが跳ね上がったという(当時でもムートンはちょっと時代遅れ感があったが) 
俺「へ~」といい跳ねた場所を見てみると 
フロントガラスの下の方に子供の足ぐらいの 
小さな足跡がくっきりと 
イタズラ書きとかそういうレベルではない 
足で踏んだ感じの跡。しかも両足 
土踏まずは無く描いた痕跡も無い。 
俺「足跡ついてんじゃん。マイミク申請くるんじゃね?」 
一同、固唾を飲んで何も言えない。 
俺はどんずべった事に落ち込んでたが 
二台目の車両の持ち主は、その中では一番の親友 
俺「H!汚れかもしれないからワイパーかけてみ」 
とワイパーをかけさせる。が、消えない。 
続いてデブに 
俺「Fちょっとティッシュで中から拭いてみ。大丈夫だって」 
デブが恐る恐る中から拭う 
足跡が綺麗に消える。一同、固まり尽くす。 
俺「馬鹿にしたり茶化したりするとこういう事がある。だから俺は嫌だったんだ。」 
続けて 
俺「H大丈夫だから気を付けて帰ろう。この道まっすぐで大きい交差点左で、もうわかるから。ゆっくり来なよ」 
ここでも俺、正直足跡には疑いがあったが 
帰りに、H 
ハンドルが何故か右に切れなくなり、左側のフロントバンパーをぶつける。 
大事には至らなかったが、フロントガラスに足跡がついたのも左側だった。 

【洒落怖】【怖い話】本気

関東から関西に引っ越した時、言葉が違うせいか「ブリっ子(死語)」と 
言われ、すごいイジメを受けた。一生懸命関西弁を使おうとしても、 
「アクセントが変」と更に嘲笑を受けるだけ。 
教科書落書き、私物を捨てられる、一言しゃべるたびに「言葉が変」と 
嘲笑されるので、言葉が出なくなってしまった。喉に何か詰まったみたいに 
なって、授業中、朗読の番が回ってきても、声が出ない。全てを否定された。 
構内を歩いていたら、上階からいきなり水をかけられたり・・・ 
ノートや教科書には「死ね」のラクガキだらけ。 

もうダメだ、死ぬしかないと思いつめ、何度も自殺を図るが未遂。 
飛び降りるためのビルを探して徘徊したけれど、警備員に見つかったり 
屋上に入るドアが施錠されたりしてて、有効な自殺方法が思いつかず 
ズルズル生きていた。親は、必死で担任や教育委員会に掛け合ってくれたけど 
「チクった」と言われ、更に水面下でエスカレート。痣が絶えない状態だった。 

担任は、見て見ぬふり。 

「イジメに遭うのは、本人にも原因がある。ハッキリ嫌なことはイヤだと意思表示せずにビクビクしてるのが悪い」 

と、キッパリ言われた。 
市の教育委員会というのが、学校の先生とグダグダに馴れ会っていて 
殆ど何の役にも立たない、ということもこの時知った。 

ある時、トイレに連れ込まれて「便器の水を飲め」と言われブチーンと切れた。 
私は、イジメリーダーの女の子の顔面に何度もストレートパンチを喰らわせ、 
立てなくなったところで、トイレの窓(3階)に連れて行き 

「お前をここから落とす。生きていたいか死にたいか、選べ。生きていたいのなら、お前が顔面潰されて便器の水を飲め」 

と言い放った。 

他の女の子は、みんな恐怖のあまり失禁。 
本物の暴力には馴れていなかったらしい。 
(ちなみに私は引っ越し前、珍しい流派の空手道場に通っていた) 
ボスが黙っていた(声が出なかった)ので、私は従う気がないと見なし 
「よし、消えちまいな」と言い捨てて、窓から投げ落とそうとした。 

しかし、そこで先生乱入。すぐに止められた。 

その時は「チェ、殺りそこねたな。これで済むと思うなよ」と腹の中で思っていた。 
その後、職員室や校長室によばれ、あれこれ問いただされた。 

「3階から突き落とすっていうのは本気じゃないだろうね? 
 君はそんな生徒じゃないことはよく分かっているんだよ」 

と優しく言われたので、 

「いえ、本気です。今後は先生を当てにせず、自分で解決することにしました。 
 次は、校内でテロ事件が起こると楽しみに思ってください」 

と先生たちに宣戦布告した。 

校長先生は赤ら顔だったが、ドス紫に変わったのを 
今でもハッキリ覚えている。数ヵ月後、校長先生はストレスから 
うつ病を発症して自宅マンションから飛び降り自殺してしまった。それについては気の毒に思っている。 

しかし、父親はすでに翌々日に学校に呼び出されいて、ことの顛末を聞いて 
「いやあ、ウチのバカ娘が申し訳ないww」と口先だけヘラヘラ謝ったりしていたが 
「お前よくやったなあ!!」とフランス料理のフルコースを食べさせてくれた。 

イジメの首謀者は、その後学校を中退したが、男に騙されて多額の借金を背負わされて鉄道自殺してしまった。 

さらにその首謀者の両親は、先の自殺の件の鉄道会社から莫大な損害賠償を請求されて 
家庭が崩壊したあげくに練炭で心中してしまった。 

しかし、あの瞬間、私は本気で相手を殺そうとしたことは間違いないが、もうその相手はいない。 

我が子には絶対いじめをするなと教えている。モラルの問題だけでなく 
後々復讐に遭って自分が殺されるハイリスクな行為だから。

【洒落怖】【怖い話】見知らぬドア

ある日、病院内でジュースを買おうと、 
通院中よく利用していた自販機(一番端の通路の行き止まりにある)に行くと、 
二つあった自販機の横の壁に、ドアがあることに気付いた。今までその場所には結構行っていたが、 
死角になっていたのか目に付かなかったのか、そんなものを見つけたのは初めてだった。 
ただ、その時はあまり気にしていなかった。 

さらにもう少し日が経って、もう退院間近となった日、 
またジュースが飲みたくなってその自販機の前に行くと、例のドアが少しだけ開いていた。 
一瞬、えっ?と思ったが、好奇心に負け、向こう側をちょっと覗いてみようとドアを開けた。 

ドアの向こうにはかなり長い廊下が一本続いていて、人は通っていなかった。 
突き当りに曲がり角も見えたが、どういう訳か廊下の電気が全て薄暗く、かなり見づらかった。 
しばらく見ていたが特に何も起こらず、なんだつまらない、とドアを閉めようとした時、 
突き当たりの曲がり角から人影が曲がってくるのが見えた。 

人影はこちらに向かって歩いて来ている様だった。よく目を凝らしてみると、 
まだ距離が遠くて表情は分からなかったが、その人影は片腕だけが異常なほど長く、 
地面に引きずっていて、しかも何故か首を左右に振りながら歩いていた。 
その不気味さに気付いてぞくっとした瞬間、ゆっくりと歩いていたそいつが、 
変な大股?歩きになり早足でこちらに向かって来た・・・。 

パニックになって慌ててドアを閉め、ジュースも買わずに待合室に走った。 
その後そこには退院まで近付く事も避けていたので、結局あれの正体は分からないままだった。 
生きていた人間だったとしても、そうじゃなかったとしても、もうあんな怖いもの二度と見たくない。 

【洒落怖】【怖い話】沈まぬ太陽

もう十年も前の話だが、裏の世界のようなものを見た事がある。 
当時の私は友達のいないぼっち女子中学生で放課後や昼休みは学校の図書館で専ら読書に勤しんでいた。 
小さい図書館だった為に一年くらい通うと興味のあった分野の本はおおかた読み尽くしてしまい、 
次はどの分野の本を読もうかと思案していると、一冊の本が目に入った。 
タイトルは「沈まぬ太陽」という本で、今でも忘れない。図書館の一番奥の本棚の、一番下の段に置いてあった。 
本というよりは小冊子といった方が近いかもしれない。 
表紙は太陽に月が溶かされ、下にある人間界と人間も溶かされているような絵だった。 
表紙を見た瞬間に絵が原子力爆弾を表しているのか?と考えたがそうでは無かったのだと思う。 
内容もまた奇妙だった。 

あるページには押し花がされていたり、あるページには文章で「太陽は沈まない。太陽が沈まないと隠れる事ができない」と書いてあったり、 
またあるページからは変な絵が延々と書かれていた。どのページの絵にも太陽は書かれていたが、一ページだけレモンがテーブルに乗っかっているだけの絵があった。 
テーブルには「ようこそ」と書いてあった。さらに気付いてしまった。 
その本はページ数が途中からバラバラだった。レモンの絵は真ん中にあったのにも関わらず1ページだった。 

気味が悪かったのと、何か嫌な感じがしたので本を戻そうか迷ったが、好奇心には勝てずに本を読み進めた。 

流石に破いて並べる訳にはいかないので対応したページを順に読んでいくと、レモンの絵はただの表紙であり、 
次のページから出てくる太陽が徐々に姿を変えて人間を溶かして、最後は太陽が人間の形になるという構図が完成した。 
完成したところで、だと思う。 

遠くから何か叫ぶような声が聞こえて同時に周りにいた人達が私をジロジロ見ていた。目つきはなんだかギラギラしていた。 
居心地が悪くなって私は図書館を後にした。 
外に出るとなんだか空気が濁っている感じがした。普段は全くそんな事は感じないのだが。 
気にしすぎだと思い家までの帰路につくと、いつもと同じ道を通っているのに、見たこともないような景色が広がっていた。 
無意識に進む。何故か不安感は無かった事を覚えている。 

しばらく進むと見たこともないような防波堤で数人の釣り人が釣りをしていた。海は墨汁 
のように真っ黒、空は赤に近いピンク色だった事は覚えている。 
変な形の魚が釣り人のバケツの中を暴れまわっている。 
釣り人は近付いた私に一瞬驚いたようだが一瞥くれるとすぐに釣りに戻った。 

離れようとした時ボソッと声が聞こえた「喰われるぞ」 
「え?」と言ったのも束の間、私はカラスのような鳥に手を突つかれた。同時に釣り人がバケツに入れていた魚を鳥に向かって投げた。群がる鳥。 
釣り人は、方角を指差すと 
「急げ」と。その方向に全力で駆け抜けた。途中一度だけ振り返ると、太陽が近づいて来ていた。釣り人や鳥、景色も蒸発していった。 


そこで私は目を覚ました。 
気付いたら病院のベッドの上だった。近くにいた看護師さんに話しかけるとすぐに医者を呼んでくれた。 

話によると私は本を読みながら突然倒れ、1ヶ月まるまる病院で寝ていたそうだ。枕元にはクラスメイトが製作してくれた寄せ書きがあった。 
間も無く両親が到着して、二人とも号泣してしまい、宥めるのが大変だった。 

後日談が3つある。 
1つ目 
裏の世界で助けてくれた釣り人は私が小さい頃に亡くなった叔父だった。 
叔父と言っても遠くに住んでおり二度三度しか会ったことが無いそうだ。昔のアルバムに一緒に写っている写真があった。 
それからは毎年必ず墓参りに向かい、墓前で近況報告を欠かさず行っている。 

2つ目 
裏の世界で鳥に噛まれた傷は現実にもあった。私は裏の世界を臨死世界だと最初は考えていたのだが、 
だったら体に出た噛み傷はなんだったんだと今でも思う。 
精神的に受けたと勘違いすると体には傷が浮かぶ事があると聞いた事があるがそれだろうか。ちなみに倒れた時には全く外傷は無かったそうだ。 
全身を鳥に噛まれていたらどうなったんだろうと今でもゾッとする。 

3つ目 
実は私が気を失っている間に一人クラスメイトが自殺していた。 
Kという男子で私とは殆ど関わりの無いいわゆる不良だった。周りの評判もあまり良くなかった。 
どう評判が悪かったかは割愛するが彼の寄せ書きには「沈まぬ太陽」という記述があった。彼が図書館で本を読んでいるところを見たことが無かったので驚いた。 
後日、読む気は無かったが学校の図書館でもう一度本を探してみた。本は無くなっていた。 
その後で、Kと仲の良かったSに話を聞くと、Kは私が気絶する前に読んでいた本を読んで見たかったようだ。Sは止めたがKは聞かず、 
図書委員から聞き出して本を借りて行ったそうだ。だが読んだ時点では何も起きず、呪いの書と名付け、燃やしてしまったそうだ。 
徐々にKはおかしくなっていき、最終的には首を吊って自殺したそうだ。寄せ書きはおかしくなる寸前に書いたものだった。 

その後は何も起きることなく、普通に大学を卒業して今は普通に仕事をしている。読書は今でも大好きだ。ただ一つ作者不明の作品は読まなくなった。 

【洒落怖】【怖い話】修学旅行先のホテル

この話は私が八年前に修学旅行で沖縄に行った時の話だ。 
その日は修学旅行初日で、空港からいくつかのチェックポイントを班行動を行動をしながら探し出し、最終的に先生達の待つホテルにチェックインするという日程だった。 

私たちの班も道中ソフトクリームを食べたり土産物屋に寄ったりとそれなりに満喫しながら特に何の問題もなくホテルにたどり着いた。 

まぁ、この話の本題はそのホテルについてなんだ 

そのホテルは市街地のど真ん中、しかも左右を活気のある店に挟まれている賑やかな区画に建ってた。 
でも何だかおかしかった。 

実際そうだったのか曖昧な部分もあるけど、その日はひどく晴天だったのにそのホテルの周りだけ曇り空に見えるぐらい空気が重くてどんよりしてた。 
それくらい気味が悪かったんだ。 

同じ班の友達は「うわー…ボロい…」とは言ってたけど気味悪がってはいないみたいだった。 

本気で「ここに泊まりたくない」って思ったけど流石にそんなわがままが許されるわけないし、私はしぶしぶホテルにチェックインした。 

建物内部の総合的な感想を一言でいうなら「暗い」の一言に尽きた。 
廊下も部屋も、ロビーですら暗かった。 

私の宿泊する部屋は五人部屋(他の部屋は四人部屋だった)で、ここもうんざりするくらい暗かった。 
部屋の窓は一般的なレールのついた窓じゃなくて、窓の下の方についたレバーを押すとガラスが向こう側に開くタイプの窓?だった。うまく説明できなくてすまない。 

飛行機の中で「一日目のホテルはね~、明るくてすっごく綺麗だったよ~」という話を友人から聞かされていた私は当時の画像加工技術を心の底から呪ったよ。 

ダラダラ書くと長くなりそうだからこのホテルでの事件を私の部屋で起こった二つに絞ることにしようと思う。 
逆に言えばこのホテルで一晩のうちにそれだけの事態が起こったってことになるんだけどね。 


一つ目の事件は入浴時間中に起こった。 

入浴は部屋のユニットバスで一人ずつ順番に入るよう言われた。 
私の部屋は人数が多いから順番が来るまで時間がかかったから、みんなでテレビを見ながら時間を潰してた。 

すると急に「キャーーーーーーーーーーーッ!!!」という鋭い悲鳴が浴室の中から聞こえた。 
あまり大きい悲鳴ではなかったけど、びっくりした私達は入浴中の友人が転んだりでもしたのかと浴室のドアを開け放った。 

でもそこには誰もいなかった。 
電気すらもついていなかった。 

訳が分からず私達がお互いの顔を見合わせていると、部屋のドアが開いて入浴中だと思った友人が入ってきた。 
「え…みんな、何やってんの…」 
「あんた…風呂入ってたんじゃないの?」 
「あー、タオルとか準備してたらさっき班長会した部屋に筆箱忘れてきたのに気づいて取りに行ってたわ。ごめんごめん」 

私「じゃあさっきの悲鳴はあんたじゃないってこと?」 
友「…悲鳴って何?」 
私「…………?」 

という具合なのだった。 
浴室のドアは部屋の入り口の真ん前にあり、テレビに注目すると完全に死角になる場所にある。 
なので彼女が部屋を出たことに誰も気付かなかったんだろう。 

じゃああの悲鳴は一体何だったのか。 

廊下から聞こえた声ではないか、とも思ったがそれにしては嫌に鮮明だったし、
何より廊下には生徒が粗相をしないように監視役の先生が二人いたにも関わらず、何の音沙汰もなかった。 

二つ目の事件は私と友人が部屋に二人でいたときに起こった。 

入浴も夕食も終わり、消灯までの自由時間に私と友人は部屋で漫画やアニメの話をしていた。 
お互いがお互いに当時ハマっていた作品をすすめ合ってかなり話に熱中していた。 
二人は私のベッドに裸足で上がっていた。 
ベッドの位置は部屋の中でも一番入口に近い場所で、寝転ぶと頭の方に窓、足元に浴室と部屋の入り口がくる位置にあった。 

多分某海賊漫画の話をしていた時だったと思う。 

どこからか急に「う…う………うぅ…」という女性のうめき声のような声がはっきり聞こえた。 
問題の、浴室の方から。 

私と友人は話すのをぴたりと止め、二人でただ浴室の方を見つめていた。 
つけっぱなしにしていたバラエティー番組の音声が嫌に白々しく、遠くに聞こえた。 
逃げ出そうにも部屋のドアは浴室の向こう側にある。 


どうすることもできずに凍りついてる私たちの目の前で、浴室のドアが、ほんの数ミリ開いた。 

友人が息を飲んで私の腕を掴んだのを痛いぐらいの力で掴んだ。 

「たーだいまー!!!!!」 
そのとき部屋のドアが開け放たれて、ほかの部屋に遊びに行っていた友人三名が帰ってきた。 
浴室のドアを邪魔そうに閉めると、他の部屋で恋話をしていただの男子の部屋にいってただのと楽しそうに話し始めた。 

私たちはそのままへなへなとベッドに崩れ落ちてしまった。 


とりあえず私の身に起こったのはこの二つなんだ。 
他にも別の部屋では窓が一晩中ドンドンと叩かれているような音を立てたり、最上階なのに上階から足音が聞こえたりとそれはもう多種多様な怪奇現象が勃発してたらしい… 

【洒落怖】【怖い話】参列

ある日AさんがBさんの家で飲み会をし帰りがすっかり遅くなってしまいました 

夜道を歩いていると向こうから何やら行列がみえます 
その行列の人たちは喪服を着ており葬式だということが分かりました 
はて…?この近所で誰か亡くなったのかな?とAさんは行列の一人にきいてみました 

「これは誰の葬式ですか?」 
というとその人はこうつぶやきました 
「その先の家のAさんのです」 

なんとこの自分の葬式だというだ 
驚いたAさんは振り向くとそこには葬式の行列はありませんでした 

怖くなったAさんは駆け足で家に帰りました 
しかし家に帰っても奥さんや子供がいないのです 
途方に暮れたAさんは仕方なく、さっきまで一緒に飲んでいたBさんの家まで戻ることにしました 

Bさんの家に着くとAさんはBさんにこの奇妙な出来事を伝えました 
するとBさんは 
「お前、飲みすぎなんだよ今お前の家に電話するから」 
とBさんはAさんの家に電話しました 
すると普通に電話から奥さんの声が聞こえました 
「ほらな?普通に家にいるだろ?」 

そういうとBさんはAさんを連れそいAさんの家まで行きました 
そしたら今度はAさんの家族はいました 
Aさんもこれは夢でもみたのだと思いました 

しかしそれから数日後Aさんは交通事故で亡くなりました 
葬式をしている最中Bさんは数日前Aさんが行っていた奇妙な出来事を思い出していました 
BさんはAさんは自分の死を予言していたのではないか?と 

やがて葬式も終わり参列し棺を霊柩車に運んでいるときでした 
Bさんの後ろでこんな会話が聞こえました 

「これは誰の葬式ですか?」 
「その先の家のAさんのです」 

Bさんはハッとしました 
今の声は間違いなくAさんの声でした 

Bさんは後ろで会話してた人にこう言いました 
「今喋ってた人はどこに行きました?」 
するとその人は 
「ええっとその先のAさんの家に走って行きましたよ 
でも妙だな?その人何というか黒いもの覆いかぶさった感じで顔が良く見えてなかったんですよ」 
といいました 

BさんはAさんの家のほうへ向かいましたが、そこには誰もいませんでした 

「Aがみた参列というのはこれのことだったのか……」 

【洒落怖】【怖い話】好奇心

俺はほぼ毎日ランニングしてるんだが、先日(現在進行形?)変な体験をしたんだ。 
その日のコースは、とある公園に行って一休み、それから普通に引き返してくるというものだった。 
それでその公園に着いて休憩してたんだよね。だけど夜の9時だったから、 
もう真っ暗だったんだよ。しかも公園には俺一人。さすがに薄気味悪くて、もうそろそろ行こうかな、なんて考えてたんだ。そしたらさ、 


遠くのほうに誰かいるんだよ。 

もちろん人がいるのはおかしな事じゃないし、俺も体力回復してたんだけど、遠目にみても動きがおかしい。例えるならシャドウボクシングみたいな感じ。
それになんか言ってるんだ。すごい高い声。夜の公園ってのも相まって、妙にゾクッとするものがあった。 

今考えると、そこでさっさと走りだせば良かったのかも知れないけど、俺は恐怖と同時に「もっと近くで見てみたい」っていう好奇心を抱いちゃったんだ。 

その公園は中央に小さい丘があるところで、近づいてみるとその人は丘のてっぺんにいることがわかった。 
だから、木なんかの陰に隠れて丘の近くまで行ったんだ。そしたら言ってることが段々分かってきて、 
どうも「○○○○」(人の名前)をしきりに言って、それから呪文みたいなのを唱えてた。お前ら多分知ってると思うけど、「危険な好奇心」ってあんじゃん? 
この時、あれを思い出しちゃって。こういう基地外は何するかわかんないとこある。こりゃ見つかる前に逃げた方がいいなと思って、そーっと離れたんだ。 

そしたらその人がゆーーーーっくりこっち向いて、すごい形相でこっち見て来たんだよ。 

ビビって「うわああああああああああ!!!」って叫んじゃって、泣きながら走った。 

10分くらい走って後ろを見たけど追いかけてはこなかったみたいで。でもまあその日は眠れなかったよ。 



その日から毎日俺の家のポストに虫の死骸が入ってる。気持ち悪いんだけど、どうすればいいんだろう。

【洒落怖】【怖い話】顔認識

数年前の事。俺はとある企業でとある研究チームの一員だった。といっても白衣を着て薬品を扱うような研究職じゃない。 
俺達がやってたのは「カメラの顔認識システムとその応用」の研究。 
1台のメインコンピュータにアプリケーションを入れてそこに各地の防犯カメラの映像を送ると、 
顔を認識して「ID:0001はX→Y→Zを通った」ってログを勝手にどんどん作成してくれる、みたいな。 
ただ、そんなのは当時でも結構ありふれてたから、そのベースとなる顔認識アプリケーションにじゃんじゃん機能を加えていくことになった。 
数撃ちゃ当たるって奴だな。 

最初に取り組んだのは「年齢推定」の実装だった。聞いたことあるんじゃないかな。 
メカニズムとしては天気予報と同じで、予め顔と年齢をセットで数千通り読み込ませておいて、 
カメラが顔を認識したらその「正解リスト」を基に予想値をはじき出すって感じ。 

シンプルな方法の割には精度が高くて、試験段階でも4割くらいはピッタリ当てて、後は誤差プラマイ8歳程度。 
結構面白かった。 

でもまあ「年齢推定」なんてのも色んなとこが挑戦してて、もっと独特なモノを実装せねば、と奮闘していた。 
幸い俺達の手元には大量の顔写真&個人情報サンプルがあったので色々と試すことが出来た。 
名前、学歴、出身地・・・などなど。 

流石に名前予測は無理だった。ああいう離散的な物はコンピュータには理解できない。 
だが驚くことに、学歴推定(中卒・高卒・大学卒・一流大卒の4パターンだったが)は6割近い正答率を誇った。 
また出身地も、北海道から沖縄までの連続的な値としてコンピュータに認識させると(都道府県レベルで)10%近い正答率だった。 
「なんだ10%か」と思うなかれ、これは結構衝撃的だった。 
年齢の推定は人間でもおおよそアタリは付けられるが、出身地の推定を10回に1回もピッタリ当てられる人はそうそういないだろう。 


要するに、十分量のサンプルがあればコンピュータの推論は割りとアテになる、ってこと。 
ここまで前書き。本題はここから。 

ある日チームでも結構マッドなサイエンティスト(Aとする)が「余命推定やってみようよ」と言い出した。 
当時全盛期だったデスノートの影響でも受けたのだろう。しかし個人情報サンプルには当然ながら「余命」なんて欄は無い。 
「撮影年・没年が分かっている歴史上の人物の写真でも使えばいい。白黒でも認識精度に大きな影響は無かっただろう?」 
もちろんカラーのサンプルに比べると精度は落ちるが、顔認識のメカニズム上、ほとんど問題はない。 
しかし、それではサンプル数が足りないのでは? 
「要は顔と撮影日と死んだ日がわかりゃいいんだ。天災やら事故やらの被害者を使えばいい」 
ちょっと待て、それじゃ外発的な要因で死んだサンプルが混ざることになるぞ。 
「それでいいんだよ!」と(・∀・)ニヤニヤするA。 

どうやらヤツは「相貌からその人の健康状態を推定し・・・」というのではなく、いわば道端の占い師まがいの事をコンピュータにやらせるつもりらしい。 

死者をサンプルに使う事には少なからず抵抗があったが、その頃の俺達は好奇心旺盛な奴らばかりだったので、すぐに手を付け始めた。 
毎日毎日チマチマと写真、没年-撮影日=余命を入力していき、数週間でサンプル数は2000に到達した。 

そして試験運用。といっても、「正解」がわからないので誤差計算もしようが無いのだが。 
最初に試したのは俺だった。システムを起動し、カメラの前に立つ。 
すぐに顔に照準が定まり、コンマ数秒の計算の後弾き出された答えは・・・「60」だった。 
ふむ。男性の平均寿命が80代であることを考えると、いい線行ってるのでは? 
言い忘れていたが、俺達は皆20代前半で、リーダーだけ30代。 
次々と他のメンバーも試してみたが、やはりサンプルが少なかったのか答えはバラバラ。 
23、112、75、42・・・と、結構無茶苦茶な答えばかりである。 
一際強烈だったのがAで、なんと「余命0年」を宣告されてしまった。 

やはりコンピュータに占い師の真似事をさせるなど無理だったのかもしれない。 
だが、手動で2000ものサンプルを打ち込んだだけに、このままお蔵入りとする訳にはいかない。 
一晩、ログ自動生成モードにして会社のサーバーに保存されている様々な場所のカメラ映像を擬似的に読み込ませた。 

翌日、コンピュータはしっかりと何千もの認識ログを吐いていた。 

統計処理を施すと、興味深い事実が浮かび上がってきた。 
撮影場所によって、その推定値に大きなバラつきが見られたのだ。 
読み込ませた映像の中でも、例えば小学校で撮影されたカメラの余命推測平均は「106」(確か。以下同じ)だった。 
これは、全ログの平均値「46」に比べて遥かに大きい数値である。 

逆にそれを最初に下回ったのはサービスエリアで撮影された映像で、その平均値は「38」だった。 
車に乗っている奴は早く死ぬ、とでも言いたいのだろうか。 

以下平均値はどんどんと減少していき・・・ 
余命平均ワースト2位は県内のある老人ホーム。平均値は「15」。 


最下位は?お察しの通り、病院だった。なんと平均値「4」! 

いやちょっと待て、病院とはいえ、いくらなんでも余命平均値4年というのはおかしい。 
部活で怪我をして運ばれてきたような、まだまだ先の長い子供だって大勢いるはずだ。 

何かエラーが発生したのかもしれない、と生ログを参照した。 
そして思わず声を上げてしまった。 
「ID:1234 VALUE:34(←この場合推定余命を示す) ...」 

負の数である。 


念のため他の場所のログもザッと確認してみると、マイナス付きの物は何処でも2,3個は発見されたが、病院のログほどではなかった。 
文字通りに解釈するのであれば、「余命マイナス3年」というのは「死んでから三年経過」ということになる。


余命マイナスの者が極端に多いお陰で、余命平均値が大きく下がってしまったのだろう。 
・・・と冷静さを保とうとする努力はしたが、もう全身嫌な汗が出っぱなしだった。 

190 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/08(水) 21:12:46.39 ID:YeaCqT0J0
その後チームで話し合いを重ねたが、嫌な結論にしかたどり着かなかった。 

即ち、「余命推測等というのは誤差が大きすぎてアテにならない」 
あるいは・・・「私達の周りに、余命マイナスの者が平然と闊歩している」 

当然採用したのは前者の結論。上層部には「顔認識を利用した健康状態の調査」をしていた事にして適当な報告書を書き、(これは元から予定していたことだったが) 
このプロジェクトは闇に葬り去られることとなった。 


私達は毎日何百もの人々とすれ違い、目線を交わしている。 
その中に「余命マイナスの顔」は無い、とどうやって言い切ることができようか。 

うわっち、重要なオチを書き忘れてたよ・・・ 


Aは「余命0年宣告」を出されてから一年経たずに、本当に死んでしまった。 
通勤ラッシュ時にホームから大ジャンプを決めたらしい。 

なぜコンピュータにそれが予測できたのか? 
全くわからない。 
コンピュータが知り得た情報は「サンプル」と「対象者の顔」だけである。 

しかし、事実としてAは宣告通りに死んでしまった。 



「死相」という言葉がある。 
人がもうすぐ死にそうだ、というのが何となく分かってしまう「能力者」がいるのだと。 


非科学的なことは信じたくないのだが、この事件以来、俺は防犯カメラと人混みが怖くてたまらなくなってしまった。 
よほどの生命の危機や必要に追われない限り病院にも近寄らないようにしている。

【洒落怖】【怖い話】写真立て

友達がワンボックスの車を買ってもらったからって、仲の良い女の子達も誘って、紅葉狩りに行ったんだ。 
山奥で湖があって山道を歩くようなところなんだけど、結構有名なとこだったみたいで、 
丸太で階段とか手すりが作ってあって整備されてて歩きやすいし、気温も丁度良くて本当に気持ちよかった。 
しばらく歩くと黄色と黒のロープが厳重に張られてて通行止めになってるところがあった。 
コース的にそっちにも行けてしまうけど、こっちに来ちゃだめですよーって物理的に行けないように止めてあるんだけど、 
ロープがくくってある木をちょっと登ると越えられそうな、運動神経あれば行ける感じ。 
紅葉にも飽き始めてたので、俺はその先にあえて行ってみることにした。 
運動神経には自信があって、女の子にもかっこつけたかった。 
周りの反対を押し切って、あまり深入りしないからってロープを超えて入って行ったんだ。 
そしたら案外すぐ崖になってて、落ちたら30~40M下の湖に落ちちゃうよっていう火曜サスペンスに出てきそうな場所だった。 
まあ確かに危ないけどなんもないんだなーと思って周りを見渡してたら、崖ぷちの木の根元に写真立てが崖側に向けて置いてあるのを見つけたんだ。 
崖側に周りこんで見てみると、普通の家族写真で笑顔で父親、母親、子供3人で写ってた。 
まさかと思って周りを見たけど生花もお線香もない。しかし、写真立ては無造作に捨てられてるわけでもなさそうだった。 
ちょっと気味が悪くなって、すぐに友達の元に引き返した。 
みんな一応何かあったのかって聞いてくれたから、 
「崖があって、写真があって、花が置いてあった。」といたずら心から少し話を膨らませて答えた。 
これは非常に不味かった。女の子達は呪われるんじゃないかと言い出して泣き出しそうなほど怖がった。 
まあまあ別に悪いことしたわけじゃないんだしとか言って、残りのコースを歩いて車に戻ったんだ。 
そしたら、最初に車に乗り込んだ女の子が大絶叫。 
すぐさま車の中を見ると後ろの座席に写真立てが置いてあるんだよ。 
背筋が凍りついた。完璧に覚えてないからわからないけど、崖にあったのと同じ物のようだった。 
連鎖的に他の女の子達も悲鳴を上げて阿鼻叫喚の地獄絵図。男共も茫然自失状態。 
なんとか車の持ち主の友達が「うちの親戚の写真だわ。ごめん。ごめん」と訂正を入れて勇敢にも写真立てをトランクにしまった。 
強引すぎるフォローだが、その場は収まって、なんとか無事帰宅。 
次の日に、彼とあったが、昨日の話はほとんどしなかった。 
写真立てがどうしても気になったので聞いてみたが、トランクはおろか車の中のどこにもなかったらしい。 
その日、彼がとりまくってたインスタントカメラの写真が卒業しても配られることがなかったことを考えると 
俺よりももっと凄まじい物を見たかもしれない。 

【洒落怖】【怖い話】異次元の人

どんなにセンセーショナルな体験でも、 
説明が出来ないことっていうのは記憶の片隅に追いやられていくもんだね。 
今はもう20代の俺だけど、そんな10年ほど前の体験があるよ。 

10年ほど前、俺が四年生のときに、通ってた小学校で起きた出来事だよ。 
確か春休みに入る直前の日で、その日は学校に来て1,2時間だけ授業をやる、 
その後に全校生徒が体育館に集まって終業式をしてから、各自の教室で担任に通信簿をもらう、 
そしたらお昼過ぎには帰れるというのがパターンだった。 
春休み前だから、妙に浮かれてたね。 
みんなにもわかるかな。午前中だけ授業の日のあのワクワク感。 

俺もその日の午後は友達のアキヨシんちに集まってみんなでゲームやろうとか予定してたし、朝からワクワクが止まんなかったよ。 
当時はPS2の三国無双が俺らん中で激アツいゲームだったね。 
よく友達のアキヨシんちにクラスの連中で集まって、交代プレーしたもんです。 

まぁ、そんなこんなで、短い授業を終え、終業式を終え、やっとこさ帰れる時間が近づいてきたわけだよ。 
体育館での終業式から教室に戻ってきた俺たちは、担任が来るのを待ちながら各自好き勝手におしゃべりしてた。 
廊下の向こうには同じ階に教室がある5、6年生たちがゾロゾロ歩いて教室に帰る途中で、周囲はかなり騒々しい状況。 
今日アキヨシんちに集まる人、どのキャラ使うか、あーでもねーこーでもねー、みんなで話してる最中だった。 

急に、廊下から聞こえてくるザワザワのボリュームが大きくなったんだよ。 
よく大勢の人が驚いたときとか、「どよっ…」てなるじゃん。あんな感じで。 
俺らも無意識に廊下の方に視線を向けたんだ。教室にいたほとんどが廊下のほうを振り返ったと思うよ。 
廊下に面した壁には全て窓がついてるから、廊下の様子はよく見えるんだ。 
廊下にいる大勢の5,6年生は、みんな一様に右のほうを向いて「どよっ…」してる。 
その中には後ずさりする生徒も、左のほうに逃げ出すやつも見える。 
なになに?なにがあんのよ右のほうに?なにが右から来てんのよ? 

俺らもイスから立ち上がって、廊下の方へ行ってみようとした時だ。 
真っ白い人影が、右手の方から廊下の視界の中にフェードインしてきた。 
真っ白い人影っていっても伝わるかどうかわからんが。 

2メーターちょいくらいありそうな、真っ白い煙が凝集したような人影が、 
やや早歩きなペースで廊下を普通に歩いてってるの。 

そんなもんが見えてるもんだから、教室にいる俺たちもますますヒートアップだよ。 
「オイオイ何だあれ!」と真っ先に教室から廊下に駆けてったのはアキヨシだ。 
俺らもそれにつられるように、廊下に飛び出す。 
後ろから見ても、それはやっぱり人影だ。ただ、首から上、手足が妙に細長いのが気になる。 
その体のアンバランスさがすげー不気味だったけど、廊下の端と端に区切られた恐慌状態の5,6年生たちの間を普通にのっしのっし歩いていくあたり、 
なんとなく何もしてこないような、安心できそうな気もする。 
ただ歩くだけかコイツは、と。 

中には無鉄砲な5,6年生もいて、何人かはその白い人影に付いていきながら、「ウェーイw」「なんだ触れねーよ!」とちょっかいだしてるし。 
俺らの中でも一番そういう奴らに近いのがアキヨシだから、アキヨシもダッシュで人影をすり抜けたり、混じって遊んでるんだ。 
俺を含むアキヨシ以外のクラスの連中は、そんな彼らを後ろから追いかけて「アキヨシやばいって!」「やめとけって!」と大声張り上げる。 
5,6年のクラスの担任とかも廊下で立ちすくんでる生徒たちを自分の後ろにやって、「やめろーー!!」っていつもみたいに怒鳴るんだけど、全く聞く耳無し。 
うちの担任の女先生は職員室から教室に来る途中でその騒動に出くわしたらしく、廊下の途中にポカーンと突っ立ってた… 

で、散々暴れまくってるアキヨシが、大きくジャンプしてそいつの首に「オラァーーっ」ってラリアットかましたの。 
そしたらずーっと歩き続けるだけだった人影が、突然ピタッって立ち止まった。 

あ、やばい。 
廊下にいるみんながそう思っただろう。俺らも人影が初めてリアクションを示したことにビビッて立ち止まる。 
一瞬でしんとした中、アキヨシの「ラァーっ…」という語尾と着地音だけが響く。 

次になにをするんだろうこいつは。みんなマジで怯えてた。 
アキヨシと人影が対面する形になって、人影がアキヨシと目線の高さを合わせるようにしゃがみこんだ。 
そして、すっとひょろ長い頭を下げて、アキヨシの頭と重ねたんだ。 

するとどういうわけか、人影が消えたんだよ。 
まるで目の前の状況が理解不能、 
皆がでっかいクエスチョンマークを浮かべてる中、アキヨシがそのまま後ろにどおっと倒れるのが見えて、俺も我に返った。 

「オイオイオーイ!」とみんなで駆け寄ったら、アキヨシの奴、半白目で失神してんの。 
うー、うー、頭を小刻みに振りながらさ。 
すぐに担任も駆け寄ってきて、俺らみんなで保健室にアキヨシを運んだ。 
保健室に運ばれたアキヨシはまだそのまま目を覚まさなくてさ、俺らはとにかく教室に戻るように言われたんだ。 
もう低・中学年の教室では通信簿も帰りの会も終わったころで、集団下校の時間も迫ってたから。 
その後は特に変わったことも無く、担任はいつも通りに事態を進行させてた。 
教室で通信簿もらって、下校するようにと。 
クラスはみんなして、さっきのはなんだったんだ、アキヨシどうしたんだ、とめちゃめちゃにざわついてるし、 
さっきあの廊下にいた全ての生徒のクラスもそうだったろう。 
それが終わっても、俺らはアキヨシのいる保健室にいようと思ったんだけど、「帰りなさい!」と一喝されて下校。 
アキヨシはその後すぐにお母さんが迎えに来たらしい。 

家に帰って親に今日あったことを話しても「ハイハイ何いってるの」みたいな対応だし、 
その日はアキヨシ以外のメンバーんちに集まって、とりあえず三国無双して解散した。 

次の日の朝にアキヨシんちに電話したら、アキヨシがもう目を覚ましてるって聞いて、みんなで即駆けつけた。 
アキヨシ家に着いたらアキヨシ母は「うちのアキヨシ、貧血で倒れたんだって?保健委員が運んでくれたんでしょありがとね~」的なこと言ってるし。 
いやいや違うだろおばさん。でもアキヨシに会ったらマジで普通で、みんなとりあえず安心したよ。 
アキヨシはあの後、保健室で目を覚まして家に帰ったらしい。 
で、記憶も人影に頭を重ねられた時点までしかなくて、気がついたら保健室のベットだったそうだ。 
「頭あわせられてなんで失神したの?」と聞くと、白い人影が自分に向かい合ってしゃがみ、頭が近づいてきて、 
よくわからん夢の風景みたいなもんが沢山フラッシュしたかと思ったら、次の瞬間には保健室だった、と。 

なんだよその夢の風景って、とみんなで聞いても 
「なんか見たことある気がするんだけど、現実っぽくない感じがする夢の風景に似てる。都会とかその辺の風景っぽいんだけど色々だったよ」 
と不明瞭な答えしかいただけなかった。 
ふーん…?、と腑に落ちない俺らだったが、とりあえず三国無双して解散した。 

【洒落怖】【怖い話】怖い井戸

大学時代、18切符で旅するのが好きだった。 
その時は夏休みで俺は大阪を出て標語を走る電車に乗っていた。 
途中姫路に寄り、夕方4時頃今日泊まる旅館のあるTという駅に着いた。 
旅館は駅から徒歩15分くらいで、山の麓にある小さなところだった。 
疲れていたのでチェックインしてすぐ部屋に布団敷いて数時間眠り、 
風呂に入って夕食を済ませたのは11時頃だった。 
そのまま部屋に戻るのもなんなので、しんとしたロビーに座って 
新聞を眺めていた。ふと気付くと、自分以外に人がいた。ひげ面のおっさんが 
向かいのソファに座ってこっちを見ている。 

「兄ちゃん、一人か?」 
「ええ、まあ」 
ぶしつけに話しかけてこられたので少し面食らったが、非日常の気安さか 
俺も自然に応じていた。 
「どこから?」 
「Tですけど」 
「おお、俺も昔そっちに住んでたんだよ」 
「はあ」 
「今日はどこに行ったね?」 
「姫路城とか・・・」 
「どうだったね?」 
「さすが世界遺産は見応えがありましたね」 
「ほう」 
だいぶ聞こし召しているのかやたらにこやかだった。 
「あと、怖い井戸がありました」 
「井戸?」 
急におっさんの表情が強張った。 

「ええ、お菊の井戸です。番町更屋敷って姫路の怪談だったんですね。 
知りませんでした」 
「へえ・・・井戸ね。怖い井戸・・・」 
おっさんは小さくつぶやきながら表情を消して空中に視線を彷徨わせている。 
俺はいきなりの変化にとまどい、そろそろ部屋に帰ろうかと腰を浮かしかけた。 
「怖い井戸と言えば、俺も一つ知ってるんだよ」 
「え?」 
このおっさんはまた唐突に何を言い出すのかと思い、俺は眉を顰めた。


「昔自衛隊の基地に荷物を運ぶ仕事をしていてね。とある大きな基地に行ったとき、 
許可を貰って敷地内の林を散策していると、不意に開けた場所に出てね。 
その真ん中に全体を鉄条網で囲った立派な井戸があったんだよ。 
意外な場所に意外なものがあると思って近付いてよく見てみると、 
半径2メートル位の鉄製の丸い縁にこれまた鉄製の分厚い蓋がしっかりと 
閉めてあった。所々錆びてはいたが、まだそう古い作りではなかったな」 
この話は一体どこへ向かうのだろうかと思いながらも、俺は何となく聞き入っていた。 
一階にいるのは俺たちだけみたいだ。 

「それでぐるっと一周してみて、おかしな事に気付いたんだ。鉄条網のトゲトゲが 
内側についてるんだよ」 
「内側?」 
「そう、おかしな話だろ?普通外から入れなくするためなのに、 
まるで中から出さないようにしているみたいだった。それでなおもよく見ようと 
金網に顔を近付けたとき、後ろからピピーッって凄い音がしたんだ。 
振り向くと二人の自衛隊員がもの凄い剣幕で走ってくるところだった。 
いきなり怒鳴りつけられてね。そのまま事務所に連行されちゃった」 

「俺は混乱してたけど何かやばいものを見ちゃったんだなと思ってとになく平謝りに謝ったよ。でもダメだった。その日の内に会社を首になったよ。 
今日見たことを決して漏らさないように誓約書も書かされた」 
「え、じゃあ僕にしゃべるのもまずいんじゃ……」 
「かも知れないな。でももう我慢できなかった。俺見たんだよ」 
「はあ?」 
「夢に出てきたんだ。その井戸が」 

「もう何年も経って記憶も薄れているのに、はっきりとした形で現れるんだよ。そして見る度に近付いてくるんだ。それだけじゃない。蓋が動くんだよ。 
ちょっとずつ横にずれていってるんだ」 
「……それ毎日見るんですか?」 
「違うよ。だから怖いんだ。もうずっと見てない。もう見ないんじゃないか。 
そう思った頃に出てくるんだよ」 
おっさんは顔をくしゃくしゃにして言葉を絞り出していた。最初にあんなににこやかだった人と同一人物だとはとても思えなかった。 

「だからあんたが一人でいるのを見たとき、ちょうどいいと思ったんだ。あんたに話せばきっと夢も遅くなると思った」 
「遅くなる?」 
「あんたと夢を分け合えるんじゃないかと思ってさ。そうして話しかけたら、どうだ。あんた自分から井戸の話をした。渡りに舟とはこのことだと思ったね」 
その時は不思議と腹は立たなかった。おっさんの切羽詰まった様子があまりに印象的だったせいかも知れない。 
その夜は夢に例の井戸が出てこないか心配だったが、何事もなかった。酔っ払いにひっかかったと旅の思い出にしてしまっていた。 

今になってなぜここへ書いたか、解るよね? 
続きからだった。もう猶予はない。 
なるべく大勢に見て欲しい。夢が跡形もなく散らせるくらい大勢に。

【洒落怖】【怖い話】気になる言葉

後輩が小6の時の話。 

後輩は学習塾に通っていて帰りが遅くなる事があった。 
今なら親が迎えに行ったりするんだろうが、その頃は小3の弟と一緒に家まで帰っていたそうだ。 
その日も塾が終わり、辺りが暗くなっている中、弟と二人で家まで歩いていた。 
帰り道は家の近くの大きな霊園の周囲を回り込む道を通る。 
霊園は道路より高い位置にあるので道路の右側が壁の様になっていて、その上に霊園の土地がある。 
いつものようにそこを歩き、霊園に沿う様に道を右に曲がった。 
すると、いつもは壁になっている右側が何故か階段状になっている。 
しかも階段状の部分には沢山の赤ん坊が座り、その真ん中に一人の太った男がうつむいて立っていた。 
後輩は怖かったが、弟の前なので平静を装ってなるべくそちらを見ない様に歩いた。 
弟も泣きそうになりながら黙って歩く。 
そして次の曲がり角を右に曲がった。 
また壁のはずの場所が階段状になっていた。 
赤ん坊は居なかったが、階段の一番上に後輩と同じくらいの歳の男の子が一人立っている。 
後輩曰く、見た目は普通の子供だが生きている人間じゃないのが何故かわかったらしい。 
今度も黙って歩こうとしたが、突然声を掛けられた。 
「遊ぼうよ。」 
思わず立ち止まり上を見上げると、男の子はこちらを見ている。 
「遊ぼうよ。」 
また話しかけられたが、怖くて何も言えなかった。 
暫く沈黙が続き、もう限界だったのか弟が泣き出した。 
すると、男の子は 
「あの事、謝っておいてくれよな。」 
そう言って壁の向こう側に消えた。 
後輩は泣く弟を引っ張りながら家まで帰ったそうだ。 
翌日、明るい時間に同じ道を見に行ったが壁は普通に壁で、それ以降階段状になっている事はなかった。 
「何を誰に謝って欲しかったんすかね。」 
後輩は男の子に見覚えも無いし、「あの事、謝っておいてくれよな。」と言う言葉にも全く心当たりは無いらしい。 
そして今思えば、暗かったのに男の子の姿がはっきり見えたのも不思議ですよねと言っていた。 

【洒落怖】【怖い話】境界線

出張で他県の山の中に行かされたことがあった。 
そこは山を切り開いて高速道路が作られる予定で、そのため地権者から買収する土地の境界線の確認をするというのが仕事内容だった。 
作業場所は人里から車で10分くらい山へ入ったところで、結構範囲が広く社員バイト合わせて6人であたった。 

現地に着いたのは昼過ぎだった。 
最初に地図を観ながら大体の分担を決め、夕方また落ち合うことにして別れたんだが、その際一つだけ注意事項があった。 
地権者の中に一人だけ開発に強硬に反対してる奴がいるらしく、時々見張りにやってくるらしい。 
その際自分の土地に入り込んでる者を見つけると不法侵入だと言って捕まえるのだそうで、先月にも別の業者が捕まり半日拘束されたとのこと。 
地図にはその人の土地が赤く囲ってあり、監視カメラがあちこちの茂みに設置されているから絶対に境界線を超えるなと厳命された。 

そして作業スタートとなり、俺はおっかないなと思いつつ早速地図を片手に土地の境界を示すテープや木片を探し始めた。 
山と言っても現場はそれほど鬱蒼とはしておらず、平らな場所が多かったのであまり苦労せず作業を進められた。 
もちろん人気はなかったが、他のメンバーの姿が視界に入っていたから心細くもなかった。 

そうして3時間くらい黙々と作業を続けた後、不意に腹が鳴った。意外に大きな音で俺は思わず顔を上げて辺りを見回した。 
見渡す限り誰もいなかった。それぞれ奥へ進んで行ったのだろう。そして尚も作業を続け、やがて日が暮れてきて集合する時刻になった。 

俺は地図を見ながら駐車場所まで戻り始めたが、途中で道に迷ってしまった。迷子になるような所はなかったはずなのに。 
大声を上げようかとも思ったが、何となく気が引けて無言で歩くのみだった。周囲を見て何となく開けた方、車道の方と判断した方向にひたすら歩いた。 

随分長い時間が経ったように思えた頃(実質10分くらいだったけど)、目の前に突然竹藪が現れた。 
周囲は全部木と木との間が開いた林なのにそこだけ木が密集していてそれは何となく奇妙な景色だった。 
竹藪の中はとても通れそうにないのでぐるりと迂回して反対側に向かった。竹藪を半分くらい回り込んだ時、不意に強い違和感を覚えた。視界の隅、竹藪の中に何かおかしなものが映ったのだ。 
俺は思わず足を停め竹藪を見入った。 

そこに人がいた。 

竹藪の中、足の踏み場もないほど竹が生い茂っているはずのその中に、人の形をした影があったのだ。次の瞬間背筋に怖気が走った。見てはいけないものを見たと強く感じた。 
しかし目を逸らせなかった。足が竦んで動くことも出来なかった。 
俺が凝視していると、人影は次第にはっきりとした形をとって見え始めた。それはこちらに側面を晒している全身黒ずくめの男だった。 
顔まで黒く塗っているようだった。目だけが白く大きく見える。そして腰掛けられるようなものは何もないはずなのに座っているような姿勢をしていた。 
手にはこれまた黒く細長いものを持っている。少し反っているようだ。 
男はそのまま微動だにせず、どこか一点を見つめている。 
こちらには見向きもしない。 

気付かれてないのか? 
そう思うと余計動けなくなった。男は瞬きもせずただどこかを凝視している。視線を追ってみたがただ林が続いているだけだった。 

どれくらいの間そのままだったろうか。いつしか足が尋常じゃなく震え出しこのままではその場にくずおれてしまうのも時間の問題だった。 
全身から汗が流れ何故か目からも涙が溢れてきた。このままじゃダメだ。何がダメかも判らないまま絶望的な気分になった。 

いきなり背後から声がした。 
「○○くーん!」 
自分を呼んでいる! その瞬間俺は声の方へ駆け出していた。全速力で走った。躓いたら間違いなく足を捻っていただろうが構わなかった。 
ほどなく社員の一人と遭遇し、無事車まで戻ることができた。俺の普通じゃない様子を見て皆驚いたがただ道に迷ったとしか言わなかった。どうせ信じて貰えないだろうと思ったからだった。 

帰りの車の中で、社員が俺がどこで迷ったのかを地図で確認しようとして、俺も記憶を辿りながら地図上の道をなぞった。 
てっきり特徴的な竹藪が目印になるかと思ったのに誰もそんなものは見かけなかったと言う。俺は首を傾げながら地図を睨んでいた。 
地形は無視して道だけを見ていたら、やがてぐるりと曲線を描いているところが見つかった。ここだ! 
俺はその辺りを指で押さえた。それを見た社員が声を挙げた。 
「そんなとこまで行ったの?ギリギリじゃない」 
その言葉を聞いてハッとした。その道の先で複数の土地の境界線が交わっており、その中に例の反対者の土地も入っていたのだ。 

それが判った瞬間、あの時の怖気が再び背筋を這い上がった。そして不意に気付いた。男が俺に気づかなかったはずはないのだ。 
だって男の存在に気づく前は普通に雑草を掻き分け音を立てて歩いていたのだから。静かな山の中であの距離で聞こえないはずがない。 
男はこちらに気づいていた。しかしこちらを見なかった。重要なのは俺の存在そのものではなかった。 
俺が境界線を越えるか否か。それのみが男の関心事だったのだ。 
ずっと見ていた一点。あれは境界線だったに違いない。 
もし俺があの竹藪の向こう側まで回り込んでいたら……。 

【洒落怖】【怖い話】覗く女の子

後輩は4人兄弟で体験したのは1番上の兄貴。 

その兄貴が小学校低学年の時の話だ。 
その日、兄貴は友達数人と近くのグランドで野球をして遊んでいた。 
グランドの周りは雑木林になって薄暗かったそうだ。 
野球をしていた兄貴がふと雑木林の方を見ると誰かがこちらを見ていることに気づいた。 
よくみると、それは自分たちと同じ歳位の女の子で木の陰から顔を半分だけ覗かせてこちらをじっと見ている。 

知らない子だったがずっとこちらを見ているので、一緒に遊びたいのかと思った兄貴は友達と相談して女の子に声をかけ仲間に入れてやろうということになった。 
野球を中断しみんなで雑木林の方へ行くと 
「一緒に遊ぼうよ」 
と相変わらずこっちを見ている女の子に声をかけた。 
すると女の子は木の陰に顔引っ込めて隠れた。 
兄貴達は女の子が恥ずかしがっているのかなと思い「ねぇ」と声をかけながら木の陰を覗き込む。 
しかしそこには誰もいなかった。 

「あれ?」 
おかしいなと思いながらあたりを見回すと、別の木の陰からさっきと同じように顔を半分出した女の子がこちらを見ている。 
兄貴たちはまた声をかけながら女の子の方に近づいていった。 
しかし女の子はまた木の陰に隠れてしまう。 
またみんなで木の影を覗くが女の子はいない。 
そしてまた別の木の陰からこちらを見ているのに友達が気付いた。 
兄貴たちが近づくと顔を引っ込め、木の陰を見ると誰もいない。 
しかも女の子が移動する瞬間は誰も見ておらず、いつの間にか別の木にいる。 
そんなことが何度も続き、兄貴たちはだんだん気味が悪くなってきた。 

そのうち誰からともなくもう帰ろうということになり、女の子はほっといて帰る事にした。 

帰り道、さっきの子 
気持ち悪かったななどと話していると友達の1人が急に叫んだ。 
そいつは後ろを見て 
「あれ!あれ!」 
と何かを指差している。 
みんなが後ろを振り返るとさっきの女の子が電柱の陰から顔半分だけ出してそこに居た。 
気味悪さを通り越して怖かった。 
それは友達も同じだったようで 
「逃げよう!」 
誰かが叫んで走り出そうと前を向くと、今まで後ろにいたはずの女の子が前方の電柱の陰から顔を半分出している。 
ありえない。 
これは人間じゃない。 
兄貴たちはパニックになり悲鳴を上げてばらばらに逃げ出した。 

兄貴は目をつぶって電柱の横を走り抜け全速力で家まで帰ると、押し入れの中に逃げ込み親が帰ってくるまでずっとそこで泣いていた。 
「家に入る瞬間、振り向いたらまた居たんだよね。電柱の陰からこっち見てた。」 
その後、この女の子を見た事はなく、この一回だけらしい。 
遊びたかっただけなのかも知れないが、顔を半分しか出さないのに何か意味はあるのかな?と想像すると結構怖い。 
この後輩の実家の近くには大きな霊園があって後輩自身の怖い話もあるので、まとめたらまた書きにきます。 

【洒落怖】【怖い話】猫の鳴き声

去年の夏、友達の家に泊まったとき夜中に目が覚めてタバコ吸いにベランダ出たら、隣から猫の鳴き声が聞こえた 
猫って3階まで入り込めんのかな、隣でこっそり飼ってんのかな、とか思いながら覗くつもりとかじゃなくなんとなく目を向けたら 
隣のベランダとの仕切りの隙間から女がこっち見ながらにゃーにゃー言ってた 

【洒落怖】【怖い話】ナースコール

俺は介護施設で働いてるんだが、一ヶ月程前に精神疾患と診断されてるお婆さんが入所したんだ。 
お婆さんと言ってもまだ60代後半で頭もしっかりしてるしこれといって問題のある人には見えなかった。 
受け答えもかなりしっかりしてたし。 
他の職員も精神疾患と診断されてるなんて嘘みたいだと話してた。 

その人が入所したのは午前中だったんだが、特にこれといった問題はなかった。 
その日、俺は夜勤だったんだが、深夜2時頃にナースコールがあって訪室したら「間違えました。ごめんなさいね」とだけ言われた。 
排泄だけは軽介助の必要な人だったから排泄かと思ったんだが違ったらしいと納得して直ぐに退室したんだ。 
そしたら10秒もしないでまたナースコールが鳴った。 
たまたま近くを通ってた職員が対応してくれたんだが、俺も近くにいたから話し声が聞こえてきた。 

俺は廊下にいて、扉は閉まっていた。 
深夜だから部屋の前だと中の会話も聞こえる。 
職員「どうしました?」 
お婆さん「あの……先程来た方は男性の方ですか?」 
職員「○○(俺の名前)さんですね。そうですよ。それがどうかしましたか?」 
お婆さん「………ここには怖い方がいるんですね。あの方……顔が2つ付いてますよ」 
職員「はい?」 
お婆さん「整った顔立ちの綺麗な女性がいました。私、あの方怖いんです。目を見たらとって食われそうな」 
職員「○○さんは男性の方ですよ?見間違いでは?」 
お婆さん「ですが……あの女性は、今もこちらを盗み見てるんですよ!?」 


お婆さんの突然の大声に驚いた。 
うちの施設は扉に窓なども無いし、外に誰が立ってるか分からない作りなのに。 

中にいた職員も俺が立ち聞きしてたのに気付かなかったみたいで、話が終わって外に出たとき俺を見て驚いていた。 

その日は俺は3時から休憩だったのでその後はそのお婆さんと朝まで関わらなかった。 
朝に会ったお婆さんは特に変わりなくて、俺に会っても普通だった。 

俺も深くは考えず、その日は帰ったんだが、二日後に出勤したら状況が変わっていた。 
そのお婆さんは次の日も深夜1時以降にナースコールを押して「部屋の中に人がいて眠れない」、「天井からこちらを見てる方がいるから落ち着かない」と訴えていたらしい。 
それから一ヶ月経つが未だに深夜にナースコールが鳴るとそういった訴えが続いている。 
そして俺が行くと必ず「大丈夫です。ごめんなさい」と断られ、直ぐにまたナースコールが鳴り、他の職員が対応すると「さっき来た女性が怖い」と訴えている。 


最初に言ったが、特に怖くないな。 
だけど、俺は見たこともない怖い女がくっついてると思うと不安でしょうがない。 
とって食われるって死神かなんかかと思うと怖くなる。 

そのお婆さんが本当に精神疾患なのか、見えないものが見える人は精神疾患と診断されるのか分からないが何にせよ、早く深夜のお婆さんに怖がられない日が来ることを願ってる。

【洒落怖】【怖い話】 写真

中学の頃、霊感があると言われていた凄く目力のある福耳の先生がいた。
私は道場で空手を習っていてたが、中学の空手部は弱くて入る気はなかったので福耳の先生に誘われた文芸部に所属していた。
この福耳の先生が厄介な人で空手部も掛け持ちで顧問をしていた為、中学二年になる頃にはときどき練習や試合に駆り出されていた。
そんな中学二年の夏休みだった。
空手部が一泊二日の強化合宿をするので来ないかと誘われたのだ。
場所を聞くとなんと学校で泊まり込むと言うでわないか。(学校の敷地内に宿泊施設があったのだ。)
なんだか楽しそうだったので私はその誘いに乗って一泊二日、学校合宿が始まった。

日中は普通の練習で、武道場は冷房もなく茹だるような暑さだった。
空手部には同じクラスのNという奴がいてNに夜の学校に忍び込もうと誘われたので風呂に入って晩御飯を食べたら鍵の壊れている美術室から忍び込む計画を立てた。
日中の疲れからか他の部員は早々と眠りに着いてしまい、Nと私は起こさないように宿泊施設を出た。
出てすぐのところで福耳の先生が立っておりどこに行くのかと言われた。
適当にごまかせるはずもなく素直に夜の学校に忍び込むつもりだったと言うと夜は警備システムが入ってるから入れないと言われた。
そして福耳の先生はついておいでと言って学校へ向かって歩き始めた。
私とNは怒られるんじゃないかとドキドキしながらついて行ったが福耳の先生は教員用の出入り口のロックを解除して私たちを中へと招き入れた。

Nが先生にいいんですか、と聞くと先生は始めから肝試しするつもりだったのにみんな寝てしまってがっかりしていたところだったと言った。
福耳の先生は続けてこう言った。
「今日は中庭で肝試しをしよう」
なんで中庭なんですか、と私が聞くとNがこんな話を始めた。
私たちが通う中学は戦後直ぐに建てられたもので、隣接する小学校は戦前からある。
戦時中は軍に小学校の明け渡しを要求され神風特攻隊の基地や軍の病院になったという噂があった。
学校のすぐ近くには神風特攻隊の慰霊の地があったりして真実味があるのでそう信じている人もいる。
さらに中学校には慰霊碑が建っていた。それも一つではなく三つである。

そのうち一つは在校中に亡くなった教職員、生徒児童のためのもの、一つは学校で飼育している動物のためのもの、最後の一つは、中学校の中庭の隅にひっそりと生徒が入らないようにチェーンで囲いがされた大きな平たい石で何のためなのかは知らなかった。
この最後の一つが戦時中に建てられたものなのではないかと言われていた。
この最後の一つを見に行くんでしょ?とNが福耳の先生に言うと先生は笑って詳しいねといった。
そして惜しいけど違う、とも。
福耳の先生が言うには神風特攻隊の基地は別の場所にちゃんと基地跡として残っている。
軍事病院だった記録もない。
けど、神風特攻隊の飛行機が落ちた記録がある。
そこまで言うと先生は中庭に入る前に写真をとっておいでと私に使い捨てカメラを渡した。

ビビリな私はなんで写真を撮るのかと聞くと怖い話をされそうで嫌だったのでおとなしく受け取った。
どこを撮ればいいんですか、と聞くとフィーリングだよと返された。
Nにもカメラを渡し、ふたりばらばらに歩き始めた。
私はまず玄関にある大きな鏡、足音の彼女と会った一直線の廊下、自分のクラスの教室、図書室、そして最後に中庭で待つ福耳の先生を写した。
まだ何枚が残っていたが、怖すぎて先生の元にも走って帰った。
Nは使い捨てカメラを使い切って帰ってきた。
福耳の先生はお疲れ、と私たちのカメラを回収し、じゃあ帰るか、と言った。
Nはもう帰るの、結局何もしてないじゃんと不満げだったが渋々と先生の後をついて行った。

次の日の練習は散々だった。
私は足を払われた時にバランスを崩して膝の皿を脱臼してしまい病院に運び込まれてしまった。
そこからトントン拍子に手術が決まり結局夏休みが終わっても一ヶ月くらい学校に行けなかった。

久しぶりに学校に行くともう衣替えの季節であった。
まだ松葉杖で歩いていた私をNは遠巻きに見ていた。
話しかけてもよそよそしかったので、彼との友情も二ヶ月ちょっと会わなければ薄れるようなものだったんだと悲しくなった。
そんな私を福耳の先生は呼びたして夏の思い出、と言ってあの日撮った写真をくれた。
見てごらんと言われるがまま見たが暗い気味の悪い学校と言った感じで対して何もなかった。


私はなにもないですね。と先生に言った。
先生は嬉しそうにそれはNが撮ったやつだよ。君のはこれ、と別の写真を持ってきた。
まず玄関の鏡、鏡ごしの後ろの方に人のようなものが写っていた。たぶんNだ。
一直線の廊下、オーブが所狭しと写っていた。
自分の教室、図書館、中庭で待つ福耳の先生、これらの写真には共通のものが写っていた。
左腕のない軍服の青年だ。
顔は帽子でよく見えないが、まだ大人じゃない少年から青年に変わる途中の様だ。

福耳の先生は私に言う。
「怪我した君の足はどっち」
右足です。と私は答えた。
「この写真と関係あると思うか」
ないと思います。

福耳の先生が満足げに言った。
「はじめNと見たときはこの写真、右足も無かったんだ」

黙った私をみて続けた。
「写ると取られるよ」

そう言って私の撮った初めの写真を渡してきた。
よく見ると鏡を写している私の周りに不自然な光の歪みがあることがわかる。そう、ちょうど人がいて影になっているような歪みがいくつがあった。

「左腕にも気をつけて」
福耳の先生を見ると新しいおもちゃを買ってもらった子供のように笑っていた。

左腕ですが、中三のときNが体育のサッカー中にこけてしまい左の手首を骨折して少ししか曲がらなくなりました。
あの鏡の写真に写っていたのは私だけではなかったので。

【洒落怖】【怖い話】落ちる子供

俺んちは四人家族でいつもかみさんと上の子。 
一歳の下の子と俺が寝てるんだけど 
この子がよくベッドから落ちる、俺も気をつけて 
抱っこしながら寝たりしてるんだが本当に毎日落ちる。 
そんな時に夢を見たんだ
寝てるのか起きてるのかわからないが 
俺は横になって隣で寝てる子供を見てる。 
子供はとくに寝返りをするわけではなく 
おとなしく寝ている、がなんか周りになにかの 
気配がする。俺は何故か体が動かなくなっていて 
唯一動く目をキョロキョロさせて子供の周りを 
見ていたんだ。 
何かが歩いてきた、それは小さい人間のように見えた、数えてみたらどうやら3人いる。 
髪をてっぺんで束ねた20センチくらいの 
槍のようなものを持った男が子供の周りを歩いていた
何かを喋りながらそいつらは時々子供に触りだした、 
やめろ!!。と叫ぼうとしたが声はでない。 
いきなり一人が槍を子供の手の甲に刺した 
子供は激しく暴れて寝返りをうった、 
刺したやつはものすごい悪意に満ちた顔をうかべて 
声をだして笑いやがった、聞いたこともないこえで。 
「ゲデゲデゲデゲデゲデゲデ」 
言葉にしたらこんな感じ、
そいつらは何回も子供を刺した、そのたびに 
子供は身をよじらせだんだんとベッドの縁に 
近づいていった、そいつらは子供が端に 
近づくたびに顔を歪ませ歓声をあげて喜んだ 
このままではまた落ちる、なんとかしなければ 
とてを伸ばそうとするが体はうごかない、 
子供は手や足をチクチク刺されどんどん 
端に追いやられていく、 
「ゲデゲデゲデゲデゲデゲデ」 
という声だけが耳障りに聞こえてくる
あとすこしでベッドから落ちそうだ。 
やつらはさらに子供を刺そうとする、 
やめろ!!。とさっきより強く思って手を 
伸ばしたら体を起こせた。俺は何も考えずに 
子供を刺そうとしてるやつに拳を降り下ろした 
「ぷげっ!!」妙な声をあげて潰れたやつを 
横目にもう一人を殴った。 
「ぷぎゅる」耳障りな声を残してもう一人消えた
次の瞬間、手に激痛がはしり俺は声をあげた、みると最後の一人が親指の爪と肉の間に槍を 
刺して何かを叫んでいる。 
俺はこんなものを何回も刺したのか!!と 
怒りに任せてそいつの上半身と下半身を掴んだ。 
そいつは小さなナイフをどこからか取りだし俺の手を 
切りつけた、そのたびに痛みが走るが怒りが勝っていた俺は 
雑巾を絞るようにそいつの体を力一杯しぼった 
「ぶげぶげぶげぶげ」 
そいつもすごく耳障りな声を出して消えた。
へんなやつは消えた。安心して子供を 
近くに寄せ、ほっとしたところで意識が途絶えた。 
アラームでいつもの時間に目を覚まし、子供を見たがその日は落ちずにスヤスヤねむっていた、
が手に違和感があるっていうかものすごく痛い。見ると手の甲があちこち切れ血がにじんで 
真っ赤になっていた、瞬間に夢のことが思い出され 
背筋が寒くなったのを覚えている。 
あれから一週間くらいたつが子供はベッドから 
落ちなくなったんだが 
俺が夜中に突然チクッとした痛みで目を覚ますようになった

【洒落怖】【怖い話】寂れた旅館

親から聴いた話。親が新婚の頃だから30~40年前の事だと思います。 

東北のとある観光地に行った両親は、下に川が流れる景色の良い温泉宿に泊まったそうです。ただ、景色が良いと言っても宿に着いたのは夜7時過ぎ。
川側の部屋を予約していたので、翌日の景色をとても楽しみにしていました。 

しかし、チェックインを済ませようとフロントで手続きしていると、どうも係の人の態度がおかしい。顔は笑顔なのだけど、
どこか怯えているような様子で「昨日の雨で少し増水していて、夜はうるさいかもしれません」と部屋を替える提案をしてきました。 
歯切れ悪く伝える従業員の方に当時両親は「変だな」とは思いつつ、「気にしませんから」と部屋を替えずに案内してもらったそうです。 

何はともあれ、せっかくの旅行だからと深くは気にせず、母はお夕食の後、お風呂に向かったそうですが、しかし、やは何か変なのです。 
「(私たち以外に10台近く他県の車が停まっていたのに、誰1人として遭わない)」 
廊下でもお風呂でも。お客さんだけでなく、従業員すら館内ですれ違わなかったそうです。 
さすがに少し気味が悪いと思いつつも、湯船に浸かった時でした。 

キャハハ・・・ 

突然、女の子の笑い声のようなものが大浴場内に響いたのです。 
さっきまで人の気配すらなかったのに、他のお客さんかな?と思って振り返ってみますが誰もいません。 
母は気味が悪くなり、急いで上がり、部屋に帰ったそうです。 
父は「酔っているんじゃないか?」と笑い、その場は納まりましたが今思えばこれが全ての始まりでした。 

次に父がお風呂に向かいました。 
やはり人っ子一人遭わない。それどころか、お風呂ではいきなり積んであった桶が崩れたり、浴場のランプが切れたり。 
父は偶然と自分に言い聞かせたものの、母のこともあるので、急いで部屋に戻ったそうです。 

さすがに気味が悪すぎる。 
「明日、陽が昇ったらすぐにチェックアウトしよう」 
父と母はそう話合い、何かあったらと思い部屋の電気をつけたままで床につきました。 
ところがしばらくして急に電気が消え、パキッとかバンッとかキィキィとか色んな音が部屋中に響きました。 
その内、嘘のような話なのですが、まるで地震が起きているかの如く部屋の備品が揺れ始めたのです。 
地震か?とも思ったそうなのですが、自分たちには体感がなく、館内も慌てる様子もなく・・・。 
完全に恐れおののいてしまって呆然としたそうなのですが、逆にテンプレ通りとも言えるポルターガイスト現象にどこか可笑しくもなり、
急いで着替えて荷物を詰め込みフロントに駆け込んだそうです。 

【洒落怖】【怖い話】玉虫の呪い

幼い頃、父に玉虫の厨子の話を聞いて、友達と途中まで作ったことがあった。 
そしてそれを長い間さっぱり忘れていた。 

大人になって何年目かの夏に、嫌な夢を何度も見て思い出した。 
玉虫の羽が空からたくさん降ってきてキラキラしてた。 
それが綺麗でずっと見ているとだんだん量が増えてきて俺はその中に埋まっていく夢。 
息をすると口の中から玉虫の羽が出てきて、そこでいつも目が覚める。 

何度も見ているうちに、幼い頃を思い出した。 

子供とは恐ろしいもので、俺たちは数十匹もの玉虫を捕まえて、固いキラキラした羽をむしりとって集めていた。 
あと何匹で厨子が完成するとか嬉々として騒いだ。 
でも羽を張り付ける箱は、玉虫という小さな虫の羽の大きさに比べてあまりにも大きかった。 
だから完成する前に季節が過ぎて玉虫はいなくなってしまった。 

俺の記憶はそこまでだった。 

その友達に電話掛けてこのことを話した。 
玉虫の供養の話を持ちかけるために。 

でもそいつはゲラゲラ笑って、馬鹿なことを言うなと言っていた。 
その箱はそいつが持ってるらしい。 
そしてそれは完成していると。 

話を聞くと、俺がいきなり玉虫の呪いだとか、何だかんだと騒いだから一旦中断したんだとか。 

でもそいつは完成した箱がどうしても見たくて秘かに続行して何度かの夏を使って完成させたらしい。 

俺は玉虫の呪いだとか騒いだことは全く覚えていなくて、ただ季節が過ぎて玉虫がいなくなってしまったというように記憶していた。 

後日そいつと会う約束をした。 

その日の夜は、例の箱を開けようとする夢を見た。 
薄暗い押し入れの角に埃を被った段ボールの箱を見つけて開くと、半紙に包まれた小さな箱が出てきた。 
それには綺麗な玉虫の羽がびっしりくっ付けられていて、俺は思わず感動する。 
そして蓋を開けようとすると、ちゃぷんと水音がして、そのときに目が覚めた。 

友達と会う日、俺は少し嫌な予感というか、何か行きたくなかった。 
でも約束してたし行った。 
その途中の電話でまた夢を見た。 
玉虫の羽が剥げてボロボロになった箱がひとりでに開く夢だ。 
中身は思い出せない。 

友達の家について、入ると少し生臭い匂いがした。 
友達は普通だったから気のせいかもしれないけど。 

案の定、箱は押し入れにしまってあるとそいつは言うので、一緒に探した。 

俺は夢のこともあって、押し入れの角をすべて探したが、そこにはなく、かわりに天袋の角に、夢と同じ段ボールの箱があったので取り出してみた。 

友達は嬉々として戸惑いもなく中身を取り出した。 
俺は少しこいつが怖くなってきた。 

玉虫の羽がびっしりくっ付けられた箱は、夜に夢で見たものより劣化していたようだったが、電車の中で見た夢よりも綺麗だった。 

俺はつい感動してしまった。 


「中に何が入ってるんだ」と好奇心に駆られて聞くと、友達はキョトンとして言った。 

「これはお墓だよ」と。 

やっぱり不気味になって、開けたくないと俺が言うと、そいつはゲラゲラ笑って躊躇なく開けようとした。 
でも開かない。 
しっかりアロンアルファか何かで止められているようだ。 
そして不思議と箱を傾けたり何だりとしているのに、中から音はしなかった。 
いよいよ不気味になってきたので本気でやめさせようとした。 
しかしそいつは躍起になっているようで、聞いてくれない。 

だんだん玉虫の羽が削げ落ちていって、電車の中で見た箱とだんだん似てきて。 

俺は恐ろしくなって、そいつから箱を奪って逃げだした。 

どこをどう走ったのかわからないけれど、いつの間にか俺は病院のベットにいた。 
車に跳ねられたらしい。 
俺がいきなり車道に飛び出してきて牽いてしまったらしい。 
幸い軽い脳震盪で何ともなかった。 
そのときに箱の行方を聞いてみたが、知らないと言われた。 
病院を出て、事故現場に案内してもらって探したが、無かった。 

だが事故現場の真ん前は、森のようになっていて、昔玉虫を取りにいったところだった。 
夏だったせいもあって、蝉の声もして昔にタイムスリップしたような感覚だった。 
俺は玉虫たちは自分たちのもといた場所に戻ったのだと信じることにした。 
その日から玉虫の夢は見ていない。 

そして友達はその日からまた玉虫の厨子を作っているらしい。 
あの天袋にあった玉虫の厨子の美しさが忘れられないらしい。

【洒落怖】【怖い話】天袋

とそこで携帯がなった。でもって金縛りがとけたのよ。 
電話に出たら赴任先の部下からだった。 
もう怖くなっちゃって、部屋から飛び出して電話をくれた部下を呼ぶことにした。 

そいつすぐきてくれて、その天袋も調べてくれたの。 
そしたら、小さな桐の箱があり、箱の蓋部分にはお札みたいのが貼ってあり、紐が巻いてあったのね。 
蓋と箱の間からは髪の毛がはみだしていた。 
そんなもん見てしまったら尚更怖くなり、 
その晩は部下の家に泊めてもらった(ちょっと情けなかったw) 
次の日、管理会社と連絡をとりすぐに来させたのね。 
天袋の中の箱も管理会社のやつに見させたんだけど、昨晩は髪の毛みたいのが蓋からはみだしていたのに、今ははみだしていない。 
夜のうちに箱に戻ったってこと?目玉もこの箱からでてきたのか? 
そんな体験してしまってはその部屋に住めるわけないよね。ちろん解約することにした。 
0感だった俺が唯一体験した心霊体験でした。あの箱ってなんだったのか?ちなみに箱のあったマンションはF県K市K区にまだあります。箱がどうなったかはわかりません。 

【洒落怖】【怖い話】禁后「その②」

代々、母から娘へと三つの儀式が受け継がれていたある家系にまつわる話。 
まずはその家系について説明します。 

その家系では娘は母の『所有物』とされ、娘を『材料』として扱うある儀式が行われていました。 
母親は二人または三人の女子を産み、その内の一人を『材料』に選びます。
(男子が生まれる可能性もあるはずですが、その場合どうしていたのかはわかりません)
選んだ娘には二つの名前を付け、一方は母親だけが知る本当の名として生涯隠し通されます。 
万が一知られた時の事も考え、本来その字が持つものとは全く違う読み方が当てられるため、
字が分かったとしても、読み方は絶対に母親しか知り得ません。 
母親と娘の二人きりだったとしても、決して隠し名で呼ぶ事はありませんでした。 
忌み名に似たものかも知れませんが、『母の所有物』であることを強調・証明するためにしていたそうです。 
また、隠し名を付けた日に必ず鏡台を用意し、娘の10,13,16歳の誕生日以外には絶対にその鏡台を娘に見せない、
という決まりもありました。 
これも、来たるべき日のための下準備でした。 

本当の名を誰にも呼ばれることのないまま、『材料』としての価値を上げるため、
幼少時から母親の『教育』が始まります。 (選ばれなかった方の娘は、ごく普通に育てられていきます)
例えば…
・猫、もしくは犬の顔をバラバラに切り分けさせる 
・しっぽだけ残した胴体を飼う 
(娘の周囲の者が全員、これを生きているものとして扱い、娘にそれが真実であると刷り込ませていったそうです)
・猫の耳と髭を使った呪術を教え、その呪術で鼠を殺す 
・蜘蛛を細かく解体させ、元の形に組み直させる 
・糞尿を食事に(自分や他人のもの)など。 

全容はとても書けないのでほんの一部ですが、
どれもこれも聞いただけで吐き気をもよおしてしまうようなものばかりでした。 
中でも動物や虫、特に猫に関するものが全体の3分の1ぐらいだったのですが、これは理由があります。 
この家系では男と関わりを持つのは子を産むためだけであり、目的数の女子を産んだ時点で関係が断たれるのですが、
条件として事前に提示したにも関わらず、家系や呪術の秘密を探ろうとする男も中にはいました。 
その対応として、ある代からは男と交わった際に、呪術を使って憑きものを移すようになったのです。 
それによって、自分達が殺した猫などの怨念は全て男の元へ行き、
関わった男達の家で、憑きもの筋のように災いが起こるようになっていたそうです。 
そうする事で、家系の内情には立ち入らないという条件を守らせていました。 
こうした事情もあって、猫などの動物を『教育』によく使用していたのです。 
『材料』として適した歪んだ常識、歪んだ価値観、歪んだ嗜好などを形成させるための異常な『教育』は、
代々の母娘間で13年間も続けられます。
その間で、三つの儀式の内の二つが行われます。 

一つは10歳の時、母親に鏡台の前に連れていかれ、爪を提供するように指示されます。 
ここで初めて娘は鏡台の存在を知ります。
両手両足からどの爪を何枚提供するかは、それぞれの代の母親によって違ったそうです。 
提供するとは、もちろん剥がすという意味です。 
自分で自分の爪を剥がし母親に渡すと、
鏡台の三つある引き出しの内、一番上の引き出しに爪と娘の隠し名を書いた紙を一緒に入れます。 
そしてその日は一日中、母親は鏡台の前に座って過ごすのです。
これが一つ目の儀式。

もう一つは13歳の時、同様に鏡台の前で歯を提供するように指示されます。 
これも代によって数が違います。 
自分で自分の歯を抜き、母親はそれを鏡台の二段目、やはり隠し名を書いた紙と一緒にしまいます。 
そしてまた一日中、母親は鏡台の前で座って過ごします。 
これが二つ目の儀式です。

この二つの儀式を終えると、その翌日~16歳までの三年間は『教育』が全く行われません。 
突然、何の説明もなく自由が与えられるのです。
これは、13歳までに全ての準備が整ったことを意味していました。 
この頃には、すでに母親が望んだ通りの生き人形のようになってしまっているのがほとんどですが、
わずかに残されていた自分本来の感情からか、ごく普通の女の子として過ごそうとする娘が多かったそうです。 

そして三年後、娘が16歳になる日に最後の儀式が行われます。 
最後の儀式、それは鏡台の前で母親が娘の髪を食べるというものでした。 
食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうです。 
丸坊主になってしまうぐらいのほぼ全ての髪を切り、鏡台を見つめながら無我夢中で口に入れ飲み込んでいきます。
娘はただ茫然と眺めるだけ。 
やがて娘の髪を食べ終えると、母親は娘の本当の名を口にします。 
娘が自分の本当の名を耳にするのは、この時が最初で最後でした。 

これでこの儀式は完成され、目的が達成されます。 
この翌日から母親は四六時中自分の髪をしゃぶり続ける廃人のようになり、亡くなるまで隔離され続けるのです。
廃人となったのは文字通り母親の脱け殻で、母親とは全く別のものです。 
そこにいる母親はただの人型の風船のようなものであり、
母親の存在は誰も見たことも聞いたこともない、誰も知り得ない場所に到達していました。 
これまでの事は、全てその場所へ行く資格(神格?)を得るためのものであり、
最後の儀式によってそれが得られるというものでした。 
その未知なる場所では、それまで同様にして資格を得た母親たちが暮らしており、
決して汚れることのない楽園として存在しているそうです。 
最後の儀式で資格を得た母親はその楽園へ運ばれ、後には髪をしゃぶり続けるだけの脱け殻が残る…
そうして新たな命を手にするのが目的だったのです。 
残された娘は母親の姉妹によって育てられていきます。 
一人でなく二~三人産むのはこのためでした。 
母親がいなくなってしまった後、普通に育てられてきた母親の姉妹が娘の面倒を見るようにするためです。 
母親から解放された娘は、髪の長さが元に戻る頃に男と交わり、子を産みます。 
そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かうわけです。

ここまでがこの家系の説明です。 
もっと細かい内容もあったのですが、二度三度の投稿でも収まる量と内容じゃありませんでした。 
なるべく分かりやすいように書いたのですが、今回は本当に分かりづらい読みづらい文章だと思います。 
申し訳ありません。 
本題はここからですので、ひとまず先へ進みます。 

実は、この悪習はそれほど長く続きませんでした。 
徐々にこの悪習に疑問を抱くようになっていったのです。 
それがだんだんと大きくなり、次第に母娘として本来あるべき姿を模索するようになっていきます。 
家系としてその姿勢が定着していくに伴い、悪習はだんだん廃れていき、やがては禁じられるようになりました。
ただし、忘れてはならない事であるとして、隠し名と鏡台の習慣は残す事になりました。 
隠し名は母親の証として、鏡台は祝いの贈り物として受け継いでいくようにしたのです。 
少しずつ周囲の住民達とも触れ合うようになり、夫婦となって家庭を築く者も増えていきました。 

そうしてしばらく月日が経ったある年、一人の女性が結婚し妻となりました。八千代という女性です。 
悪習が廃れた後の生まれである母の元で、ごく普通に育ってきた女性でした。 
周囲の人達からも可愛がられ平凡な人生を歩んできていましたが、
良き相手を見つけ、長年の交際の末の結婚となったのです。 
彼女は自分の家系については、母から多少聞かされていたので知っていましたが、
特に関心を持った事はありませんでした。 
妻となって数年後には娘を出産、貴子と名付けます。 
母から教わった通り隠し名も付け、鏡台も自分と同じものを揃えました。 

そうして幸せな日々が続くと思われていましたが、娘の貴子が10歳を迎える日に異変が起こりました。 
その日、八千代は両親の元へ出かけており、家には貴子と夫だけでした。 
用事を済ませ、夜になる頃に八千代が家に戻ると、信じられない光景が広がっていました。 
何枚かの爪が剥がされ、歯も何本か抜かれた状態で貴子が死んでいたのです。 
家の中を見渡すと、しまっておいたはずの貴子の隠し名を書いた紙が床に落ちており、
剥がされた爪と抜かれた歯は貴子の鏡台に散らばっていました。 
夫の姿はありません。 
何が起こったのかまったく分からず、娘の体に泣き縋るしか出来ませんでした。 
異変に気付いた近所の人達がすぐに駆け付けるも、八千代はただずっと貴子に泣き縋っていたそうです。 
状況が飲み込めなかった住民達は、ひとまず八千代の両親に知らせる事にし、
何人かは八千代の夫を探しに出ていきました。 
この時、八千代を一人にしてしまったのです。 
その晩のうちに、八千代は貴子の傍で自害しました。 

住民達が八千代の両親に知らせたところ、現場の状況を聞いた両親は落ち着いた様子でした。
「想像はつく。八千代から聞いていた儀式を試そうとしたんだろ。
 八千代には詳しく話したことはないから、断片的な情報しか分からんかったはずだが、
 貴子が10歳になるまで待っていやがったな」
と言って、八千代の家へ向かいました。 
八千代の家に着くと、さっきまで泣き縋っていた八千代も死んでいる…
住民達はただ愕然とするしかありませんでした。 
八千代の両親は終始落ち着いたまま、
「わしらが出てくるまで誰も入ってくるな」と言い、しばらく出てこなかったそうです。 

数時間ほどして、やっと両親が出てくると、
「二人はわしらで供養する。夫は探さなくていい。理由は今に分かる」
と住民達に告げ、その日は強引に解散させました。 

それから数日間、夫の行方はつかめないままだったのですが、
程なくして、八千代の家の前で亡くなっているのが見つかりました。 
口に大量の長い髪の毛を含んで死んでいたそうです。 
どういう事かと住民達が八千代の両親に尋ねると、
「今後八千代の家に入ったものはああなる。そういう呪いをかけたからな。 
 あの子らは、悪習からやっと解き放たれた新しい時代の子達なんだ。
 こうなってしまったのは残念だが、せめて静かに眠らせてやってくれ」
と説明し、八千代の家をこのまま残していくように指示しました。 

これ以来、二人への供養も兼ねて、八千代の家はそのまま残される事となったそうです。
家のなかに何があるのかは誰も知りませんでしたが、八千代の両親の言葉を守り、誰も中を見ようとはしませんでした。
そうして、二人への供養の場所として長らく残されていたのです。 

その後、老朽化などの理由でどうしても取り壊すことになった際、初めて中に何があるかを住民達は知りました。
そこにあったのは私達が見たもの、あの鏡台と髪でした。 
八千代の家は二階がなかったので、玄関を開けた目の前に並んで置かれていたそうです。 
八千代の両親がどうやったのかはわかりませんが、やはり形を成したままの髪でした。 
これが呪いであると悟った住民達は、出来るかぎり慎重に運び出し、新しく建てた空き家の中へと移しました。 
この時、誤って引き出しの中身を見てしまったそうですが、何も起こらなかったそうです。 
これに関しては、供養をしていた人達だったからでは?という事になっています。 
空き家は町から少し離れた場所に建てられ、
玄関がないのは出入りする家ではないから、窓・ガラス戸は日当たりや風通しなど供養の気持ちからだという事でした。
こうして誰も入ってはいけない家として町全体で伝えられていき、大人達だけが知る秘密となったのです。 

ここまでが、あの鏡台と髪の話です。 
鏡台と髪は八千代と貴子という母娘のものであり、言葉は隠し名として付けられた名前でした。 

ここから最後の話になります。 
空き家が建てられて以降、中に入ろうとする者は一人もいませんでした。 
前述の通り、空き家へ移る際に引き出しの中を見てしまったため、
中に何があるかが一部の人達に伝わっていたからです。 
私達の時と同様、事実を知らない者に対して過剰に厳しくする事で、何も起こらないようにしていました。 
ところが、私達の親の間で一度だけ事が起こってしまったそうです。 
前回の投稿で、私と一緒に空き家へ行ったAの家族について、少しふれたのを覚えていらっしゃるでしょうか。 
Aの祖母と母がもともと町の出身であり、結婚して他県に住んでいたという話です。 
これは事実ではありませんでした。

子供の頃に、Aの母とBの両親、そしてもう一人男の子(Eとします)を入れた四人であの空き家へ行ったのです。
私達とは違って夜中に家を抜け出し、わざわざハシゴを持参して二階の窓から入ったそうです。 
窓から入った部屋には何もなく、やはり期待を裏切られたような感じでガクッとし、隣にある部屋へ行きました。
そこであの鏡台と髪を見て、夜中という事もあり凄まじい恐怖を感じます。 
ところが、四人のうちA母はかなり肝が据わっていたようで、
怖がる三人を押し退けて近づいていき、引き出しを開けようとさえしたそうです。 
さすがに三人も必死で止め、その場は治まりますが、問題はその後に起こりました。 
その部屋を出て恐る恐る階段を降りると、またすぐに恐怖に包まれます。 
廊下の先にある鏡台と髪。
この時点で三人はもう帰ろうとしますが、A母が問題を引き起こしてしまいました。 
私達の時のD妹のように、引き出しを開け中のものを出したのです。 
A母が取り出したのは、一階の鏡台の一段目の引き出しの中の『紫逅』と書かれた紙で、
何枚かの爪も入っていたそうです。 
さすがにやばいものではと感じた三人は、A母を無理矢理引っ張り、紙を元に戻して帰ろうとしますが、
じたばたしてるうちに棒から髪が落ちてしまったそうです。 
空き家の中で最も異様な雰囲気であるその髪にA母も触れる勇気はなく、四人はそのままにして帰ってきてしまいました。

それから二,三日はそのまま放っておいたらしいですが、親にバレたら…という気持ちがあったので、
元に戻しに行く事になります。 
B両親はどうしても都合があわなかったため、A母とE君の二人で行く事になりました。

夜中に抜け出し、ハシゴを使って二階から入ります。 
階段を降り、家から持ってきた箸で髪を掴んで何とか棒に戻しました。 
「さぁ早く帰ろう」とE君は急かしましたが、
ホッとしたのかA母はE君を怖がらせようと思い、今度は二段目の引き出しを開けたのです。 
『紫逅』と書かれた紙と、何本かの歯が入っていました。 
あまりの恐怖にE君は取り乱し泣きそうになっていたのですが、
A母はこれを面白がってしまい、E君にだけ中が見えるような態勢で三段目の引き出しを開けたそうです。 
E君が引き出しの中を見たのはほんの数秒ほどでした。 
「何があった??」とA母が覗き込もうとした瞬間、ガンッ!!と引き出しを閉め、
ぼーっとしたまま動かなくなりました。 
A母はE君が仕返しにふざけてるんだと思ったのですが、
何か異常な空気を感じ、突然怖くなって一人で帰ってしまったのです。 

家に着いてすぐに母親に事情を話すと、母親の顔色が変わり異様な事態となりました。 
E君の両親などに連絡し、親達がすぐに空き家へ向かいます。 
数十分ぐらいして、家で待っていたA母は、親達に抱えられて帰ってきたE君を少しだけ見ました。 
何かを頬張っているようで、口元からは長い髪の毛が何本も見えていたそうです。 
この後B両親も呼び出され、親も交えて話したそうですが、E君の両親は三人に何も言いませんでした。 
ただ、言葉では表せないような表情でずっとA母を睨み付けていたそうです。 

この後、三人はあの空き家にまつわる話を聞かされました。 
E君の事に関しては、私達に言ったのと全く同じ事を言われたようでした。 
そして、E君の家族がどこかへ引っ越していくまでの一ヵ月間ぐらいの間、
毎日A母の家にE君の両親が訪ねてきていたそうです。 
この事でA母は精神的に苦しい状態になり、見かねた母親が他県の親戚のところへ預けたのでした。 
その後A母やE君がどうしていたのかはわかりませんが、A母が町に戻ってきたのはE君への償いからだそうです。

以上で話は終わりです。
最後に、鏡台の引き出しに入っているものについて。 

空き家には一階に八千代の鏡台、二階に貴子の鏡台があります。 
八千代の鏡台には、一段目は爪、二段目は歯が、隠し名を書いた紙と一緒に入っています。 
貴子の鏡台は、一,二段目とも隠し名を書いた紙だけです。 
八千代が『紫逅』、貴子が『禁后』です。 

そして問題の三段目の引き出しですが、中に入っているのは手首だそうです。 
八千代の鏡台には八千代の右手と貴子の左手、貴子の鏡台には貴子の右手と八千代の左手が、
指を絡めあった状態で入っているそうです。 
もちろん、今現在どんな状態になっているのかはわかりませんが。 
D子とE君はそれを見てしまい、異常をきたしてしまいました。 
厳密に言うと、隠し名と合わせて見てしまったのがいけなかったという事でした。 
『紫逅』は八千代の母が、『禁后』は八千代が実際に書いたものであり、
三段目の引き出しの内側には、それぞれの読み方がびっしりと書かれているそうです。 
空き家は今もありますが、今の子供達にはほとんど知られていないようです。 
娯楽や誘惑が多い今では、あまり目につく存在ではないのかも知れません。 
地域に関してはあまり明かせませんが、東日本ではないです。 

それから、D子のお母さんの手紙についてですが、これは控えさせていただきます。
D子とお母さんはもう亡くなられていると知らされましたので、私の口からは何もお話出来ません。

【洒落怖】【怖い話】禁后「その①」

私の故郷に伝わっていた『禁后』というものにまつわる話です。
どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、私たちの間では『パンドラ』と呼ばれていました。

私が生まれ育った町は、静かでのどかな田舎町でした。
目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、一つだけとても目を引くものがありました。
町の外れ、田んぼが延々と続く道にぽつんと建っている、一軒の空き家です。
長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。
それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。

一つは、両親など町の大人達の過剰な反応。
その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。
どの家の子供も同じで、私もそうでした。
もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。
窓やガラス戸はあったのですが、出入口となる玄関が無かったのです。
以前に誰かが住んでいたとしたら、どうやって出入りしていたのか?
わざわざ窓やガラス戸から出入りしてたのか?
そういった謎めいた要素が興味をそそり、いつからか勝手に付けられた『パンドラ』という呼び名も相まって、
当時の子供達の一番の話題になっていました。(この時点では、『禁后』というものについてまだ何も知りません)

私を含め大半の子は、何があるのか調べてやる!と探索を試みようとしていましたが、
普段その話をしただけでも親達があんなに怒るというのが身に染みていたため、なかなか実践できずにいました。
場所自体は子供だけでも難なく行けるし、人目もありません。
たぶん、みんな一度は空き家の目の前まで来てみたことがあったと思います。
しばらくはそれで雰囲気を楽しみ、何事もなく過ごしていました。

私が中学にあがってから何ヵ月か経った頃、
ある男子がパンドラの話に興味を持ち、「ぜひ見てみたい」と言いだしました。名前はAとします。
A君の家は、お母さんがもともとこの町の出身で、他県に嫁いでいったそうですが、
離婚を機に、実家であるお祖母ちゃんの家に戻ってきたとのこと。
A君自身はこの町は初めてなので、パンドラの話も全く知らなかったようです。
その当時私と仲の良かったB君・C君・D子の内、B君とC君が彼と親しかったので、
自然と私達の仲間内に加わっていました。
五人で集まってたわいのない会話をしている時、私達が当たり前のようにパンドラという言葉を口にするので、
気になったA君がそれに食い付いたのでした。
「うちの母ちゃんとばあちゃんもここの生まれだけど、その話聞いたらオレも怒られんのかな?」
「怒られるなんてもんじゃねえぜ?うちの父ちゃん母ちゃんなんか、本気で殴ってくるんだぞ!」
「うちも。意味わかんないよね」
A君にパンドラの説明をしながら、みんな親への文句を言い始めます。

ひととおり説明し終えると、一番の疑問である「空き家に何があるのか」という話題になりました。
「そこに何があるかってのは、誰も知らないの?」
「知らない。入ったことないし、聞いたら怒られるし。知ってんのは親達だけなんじゃないか?」
「だったらさ、何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」
Aは意気揚揚と言いました。
親に怒られるのが嫌だった私と他の三人は、最初こそ渋っていましたが、
Aのノリにつられたのと、今までそうしたくともできなかったうっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意します。
その後の話し合いで、いつも遊ぶ時によくついてくるDの妹も行きたいという事になり、
六人で日曜の昼間に作戦決行となりました。

当日、わくわくした面持ちで空き家の前に集合。
なぜか各自リュックサックを背負って、スナック菓子などを持ち寄り、みんな浮かれまくっていたのを覚えています。
前述のとおり、問題の空き家は田んぼに囲まれた場所にぽつんと建っていて、玄関がありません。
二階建の家ですが窓まで昇れそうになかったので、中に入るには一階のガラス戸を割って入るしかありませんでした。
「ガラスの弁償ぐらいなら大した事ないって」
そう言ってA君は思いっきりガラスを割ってしまい、中に入っていきました。
何もなかったとしてもこれで確実に怒られるな…と思いながら、みんなも後に続きます。

そこは居間でした。
左側に台所、正面の廊下に出て左には浴室と突き当たりにトイレ、右には二階への階段と本来玄関であろうスペース。
昼間ということもあり明るかったですが、玄関が無いせいか廊下のあたりは薄暗く見えました。
古ぼけた外観に反して中は予想より綺麗…というより何もありません。
家具など物は一切なく、人が住んでいたような跡は何もない。
居間も台所も、かなり広めではあったもののごく普通。
「何もないじゃん」
「普通だな?何かしら物が残ってるんだと思ってたのに」

何もない居間と台所をあれこれ見ながら、男三人はつまらなそうに持ってきたお菓子をボリボリ食べ始めました。
「てことは、秘密は二階かな」
私とD子は、D妹の手を取りながら二階に向かおうと廊下に出ます。
しかし、階段は…と廊下に出た瞬間、私とD子は心臓が止まりそうになりました。
左にのびた廊下には途中で浴室があり、突き当たりがトイレなのですが、
その間くらいの位置に鏡台が置かれ、真前につっぱり棒のようなものが立てられていました。
そして、その棒に髪がかけられていたのです。
どう表現していいかわからないのですが、カツラのように髪型として形を成したものというか、
ロングヘアの女性の後ろ髪が、そのままそこにあるという感じです。(伝わりにくかったらごめんなさい)
位置的にも、平均的な身長なら大体その辺に頭がくるだろうというような位置で棒の高さが調節してあり、
まるで『女が鏡台の前で座ってる』のを再現したみたいな光景。
一気に鳥肌が立ち、「何何!?何なのこれ!?」と軽くパニックの私とD子。
何だ何だ?と廊下に出てきた男三人も、意味不明な光景に唖然。
D妹だけが、「あれなぁに?」ときょとんとしていました。
「なんだよあれ?本物の髪の毛か?」
「わかんない。触ってみるか?」
A君とB君はそんな事を言いましたが、C君と私達は必死で止めました。
「やばいからやめろって!気持ち悪いし絶対何かあるだろ!」
「そうだよ、やめなよ!」
どう考えても異様としか思えないその光景に恐怖を感じ、ひとまずみんな居間に引っ込みます。
居間からは見えませんが、廊下の方に視線をやるだけでも嫌でした。
「どうする…?廊下通んないと二階行けないぞ」
「あたしやだ。あんなの気持ち悪い」
「オレもなんかやばい気がする」
C君と私とD子の三人は、あまりに予想外のものを見てしまい、完全に探索意欲を失っていました。
「あれ見ないように行けばだいじょぶだって。二階で何か出てきたって、階段降りてすぐそこが出口だぜ?
 しかもまだ昼間だぞ?」
AB両人はどうしても二階を見たいらしく、引け腰の私達三人を急かします。
「そんな事言ったって…」
私達が顔を見合わせどうしようかと思った時、はっと気付きました。
「あれ?D子、○○ちゃんは?」
「えっ?」
全員気が付きました。D妹がいないのです。
私達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえません。
広めといえど居間と台所は一目で見渡せます。
その場にいるはずのD妹がいないのです。
「○○!?どこ!?返事しなさい!!」
D子が必死に声を出しますが、返事はありません。
「おい、もしかして上に行ったんじゃ…」
その一言に、全員が廊下を見据えました。
「やだ!なんで!?何やってんのあの子!?」
D子が涙目になりながら叫びます。
「落ち着けよ!とにかく二階に行くぞ!」
さすがに怖いなどと言ってる場合でもなく、すぐに廊下に出て階段を駆け上がっていきました。

「おーい、○○ちゃん?」
「○○!いい加減にしてよ!出てきなさい!」
みなD妹へ呼び掛けながら階段を進みますが、返事はありません。
階段を上り終えると、部屋が二つありました。どちらもドアは閉まっています。
まずすぐ正面のドアを開けました。その部屋は、外から見たときに窓があった部屋です。
中にはやはり何もなく、D妹の姿もありません。
「あっちだな」
私達はもう一方のドアに近付き、ゆっくりとドアを開けました。
D妹はいました。
ただ、私達は言葉も出せずその場で固まりました。
その部屋の中央には、下にあるのと全く同じものがあったのです。
鏡台とその真前に立てられた棒、そしてそれにかかった長い後ろ髪。
異様な恐怖に包まれ、全員茫然と立ち尽くしたまま動けませんでした。

「ねえちゃん、これなぁに?」
不意にD妹が言い、次の瞬間とんでもない行動をとりました。
D妹は鏡台に近付き、三つある引き出しの内、一番上の引き出しを開けたのです。
「これなぁに?」
D妹がその引き出しから取り出して、私達に見せたもの…
それは、筆のようなもので『禁后』と書かれた半紙でした。
意味がわからず、D妹を見つめるしかない私達。
この時、どうしてすぐに動けなかったのか、今でもわかりません。
D妹は構わずその半紙をしまって引き出しを閉め、今度は二段目の引き出しから中のものを取り出しました。
全く同じもの、『禁后』と書かれた半紙です。
もう何が何だかわからず、私はがたがたと震えるしか出来ませんでしたが、
D子が我に返り、すぐさま妹に駆け寄りました。
D子ももう半泣きになっています。
「何やってんのあんたは!」
妹を厳しく怒鳴りつけ、半紙を取り上げると、引き出しを開けしまおうとしました。
この時、D妹が半紙を出した後、すぐに二段目の引き出しを閉めてしまっていたのが問題でした。
慌てていたのか、D子は二段目ではなく三段目、一番下の引き出しを開けたのです。
ガラッと引き出しを開けたとたん、D子は中を見つめたまま動かなくなりました。
黙ってじっと中を見つめたまま微動だにしません。
「ど、どうした!?何だよ!?」
ここでようやく私達は動けるようになり、二人に駆け寄ろうとした瞬間、
ガンッ!!と大きな音をたて、D子が引き出しを閉めました。
そして肩より長いくらいの自分の髪を口元に運び、むしゃむしゃとしゃぶりだしたのです。
「お、おい?どうしたんだよ!?」
「D子?しっかりして!」
みんなが声をかけても反応が無い。
ただひたすら、自分の髪をしゃぶり続けている。
その行動に恐怖を感じたのかD妹も泣きだし、ほんとうに緊迫した状況でした。
「おい!どうなってんだよ!?」
「知らねえよ!何なんだよこれ!?」
「とにかく外に出てうちに帰るぞ!ここにいたくねえ!」

D子を三人が抱え、私はD妹の手を握り急いでその家から出ました。
その間もD子は、ずっと髪をびちゃびちゃとしゃぶっていましたが、
どうしていいかわからず、とにかく大人のところへ行かなきゃ!という気持ちでした。

その空き家から一番近かった私の家に駆け込み、大声で母を呼びました。
泣きじゃくる私とD妹、汗びっしょりで茫然とする男三人、そして奇行を続けるD子。
どう説明したらいいのかと頭がぐるぐるしていたところで、声を聞いた母が何事かと現われました。
「お母さぁん!」
泣きながらなんとか事情を説明しようとしたところで、母は私と男三人を突然ビンタで殴り怒鳴りつけました。
「あんた達、あそこへ行ったね!?あの空き家へ行ったんだね!?」
普段見たこともない形相に、私達は必死に首を縦に振るしかなく、うまく言葉を発せませんでした。
「あんた達は奥で待ってなさい。すぐみんなのご両親達に連絡するから」
そう言うと母はD子を抱き抱え、二階へ連れていきました。

私達は言われた通り、私の家の居間でただぼーっと座り込み、何も考えられませんでした。
それから一時間ほどはそのままだっと思います。

みんなの親たちが集まってくるまで、母もD子も二階から降りてきませんでした。
親達が集まった頃にようやく母だけが居間に来て、ただ一言、
「この子達があの家に行ってしまった」と言いました。
親達がざわざわとしだし、みんなが動揺したり取り乱したりしていました。
「お前ら!何を見た!?あそこで何を見たんだ!?」
それぞれの親達が一斉に我が子に向かって放つ言葉に、私達は頭が真っ白で応えられませんでしたが、
何とかA君とB君が懸命に事情を説明しました。
「見たのは鏡台と変な髪の毛みたいな…あと、ガラス割っちゃって…」
「他には!?見たのはそれだけか!?」
「あとは…何かよくわかんない言葉が書いてある紙…」
その一言で急に場が静まり返りました。と同時に、二階からものすごい悲鳴。
私の母が慌てて二階に上がり、数分後、母に抱えられて降りてきたのはD子のお母さんでした。
まともに見れなかったぐらい涙でくしゃくしゃでした。
「見たの…?D子は引き出しの中を見たの!?」
D子のお母さんが私達に詰め寄りそう問い掛けます。
「あんた達、鏡台の引き出しを開けて、中にあるものを見たか?」
「二階の鏡台の三段目の引き出しだ。どうなんだ?」
他の親達も問い詰めてきました。
「一段目と二段目は僕らも見ました…三段目は…D子だけです…」
言い終わった途端、D子のお母さんがものすごい力で私達の体を掴み、
「何で止めなかったの!?あんた達友達なんでしょう!?何で止めなかったのよ!?」と叫びだしたのです。
D子のお父さんや他の親達が必死で押さえ、「落ち着け!」「奥さんしっかりして!」となだめようとし、
しばらくしてやっと落ち着いたのか、D妹を連れてまた二階へ上がっていってしまいました。

そこでいったん場を引き上げ、私達四人はB君の家に移り、B君の両親から話を聞かされました。
「お前達が行った家な、最初から誰も住んじゃいない。
 あそこは、あの鏡台と髪の為だけに建てられた家なんだ。
 オレや他の親御さん達が子供の頃からあった。
 あの鏡台は実際に使われていたもの、髪の毛も本物だ。
 それから、お前達が見たっていう言葉。この言葉だな?」
そういってB君のお父さんは紙とペンを取り、『禁后』と書いて私達に見せました。
「うん…その言葉だよ」
私達が応えると、B君のお父さんはくしゃっと丸めたその紙をごみ箱に投げ捨て、そのまま話を続けました。
「これはな、あの髪の持ち主の名前だ。読み方は、知らないかぎりまず出てこないような読み方だ。
 お前達が知っていいのはこれだけだ。金輪際あの家の話はするな。近づくのもダメだ。わかったな?
 とりあえず今日は、みんなうちに泊まってゆっくり休め」
そう言って席を立とうとしたB君のお父さんに、B君は意を決したようにこう聞きました。
「D子はどうなったんだよ!?あいつは何であんな…」と言い終わらない内に、B君のお父さんが口を開きました。
「あの子の事は忘れろ。もう二度と元には戻れないし、お前達とも二度と会えない。それに…」
B君のお父さんは少し悲しげな表情で続けました。
「お前達はあの子のお母さんから、この先一生恨まれ続ける。
 今回の件で誰かの責任を問う気はない。
 だが、さっきのお母さんの様子でわかるだろ?お前達はもうあの子に関わっちゃいけないんだ」
そう言って、B君のお父さんは部屋を出ていってしまった。
私達は何も考えられなかった。
その後どうやって過ごしたかもよくわからない。
本当に長い1日でした。

それからしばらくは普通に生活していました。
翌日から私の親もA達の親も一切この件に関する話はせず、D子がどうなったかもわかりません。
学校には一身上の都合となっていたようですが、一ヵ月程してどこかへ引っ越してしまったそうです。
また、あの日、私達以外の家にも連絡が行ったらしく、あの空き家に関する話は自然と減っていきました。
ガラス戸などにも厳重な対策が施され、中に入れなくなったとも聞いています。
私やA達はあれ以来一度もあの空き家に近づいておらず、D子の事もあってか疎遠になっていきました。
高校も別々でしたし、私も三人も町を出ていき、それからもう十年以上になります。

ここまで下手な長文に付き合ってくださったのに申し訳ないのですが、結局何もわからずじまいです。
ただ、最後に…
私が大学を卒業した頃ですが、D子のお母さんから私の母宛てに手紙がありました。
内容はどうしても教えてもらえなかったのですが、
その時の母の言葉が意味深だったのが、今でも引っ掛かっています。

「母親ってのは、最後まで子供の為に隠し持ってる選択があるのよ。
 もし、ああなってしまったのがあんただったとしたら、私もそれを選んでたと思うわ。
 それが間違った答えだとしてもね」

【洒落怖】【怖い話】婆さんと犬

去年の夏の話。 
友達とレンタカー借りて海行った帰り、まだ車を返すまでに時間があったから、適当な場所に車止めて喋ってようってなった。 
大きなメイン道路に歩道を挟んで住宅地があるような場所で、歩道脇に車を止めた。 
時間はたぶん夜の9時すぎくらいだったと思う。 
外はもちろん真っ暗だったけど、外灯の明かりはあったから、人が歩道をあるいてたら、わかるような状態。 
俺は友達の助手席に座ってちょっとぼーっとしてたんだけど、 
住宅地の方から、腰の曲がったお婆さんが出てくるのが見えた。 

結構な夜だし、こんな夜にお婆さん??と思って、俺はそのままなんとなーく、そのお婆さんを見てたんだけど、 
よく見ると、手に紐を持って、白い”何か”を引きずってるんだよ。 

ずるっずるっずるずるずるっ 

て感じ。 
え?何??何持ってるの? 
と思ってよーく目を凝らすと、お婆さんの持ってるのはリードで、白いのはシーズーっぽい犬だった。 
で、犬は犬でも、あきらかに、様子がおかしいんだよ。 
さっきも言ったように、引きずられてんの。ずるずるって。 

それで、もっとよーく見てみると、その犬、首がだらーんって垂れてて、足がいろんな方向に曲がってて、完全に死んでんだよ。 
もちろんピクリともしない。 

でも、お婆さんは犬が死んでるのに気づいてないみたいで、何でコイツ歩かないんだよ? 
って感じで、執拗に引きずってんの、ずるずるずるずる。 

そんでそのおばあさん、何すんのかなー?って見てたら、犬の死骸を引きずりながら大きな道路の端まで出て、手を上げ出したんだわ。 
ヒッチハイクかタクシーか、、、とにかく車に乗りたいらしい。 

犬の具合が悪いことだけは理解して、病院に連れて行くつもりなのか?? 
にしても、こんな夜にあいてる動物病院があるのか?だし、すでに死んでいるのは明らか。
真意は分からないが、何台かのタクシーに無視されながらも、 
ようやく一台のタクシーがお婆さんの前に止まった。 
ほんとに、こんな不気味なばあさんなのに、よく止まったなぁと思った。

そして、そのお婆さんは、ずるっずるずるって犬を引きずりながらタクシーに乗り込んで、
そのまま何処かに去って行った。 
だらんとした首が、タクシーに乗りこむ際に引っ張りあげられて、今にもちぎれそうな感じだったのがものすごく不気味だった。 
タクシーって犬乗せてよかったっけ??しかも、死んでるし。ほんとによく乗せたよ、あのタクシー。 

とにかくそのままそのタクシーは去って行って、結局そのばあさんがどうなったかわからない。 
落ちが微妙だが、本当に体験した話で、人生の中で一番不気味な体験だった。

【洒落怖】【怖い話】人のようなもの

今住んでるマンションが定期改修中で、壁を全部塗り替えるとかで足場が組まれたうえに窓を全部ビニールで養生され、全く外が見えない状態。 
半透明ビニールでの養生だからある程度の光は入ってくるけど、すぐそこの足場を工事の人がうろうろするからカーテンも閉めないと落ち着かないし、本当に暗いし鬱陶しい。 

せめて夜はカーテンだけでも開けてるんだ。 
もちろん真っ暗で何も見えないけど。 

そんな状態で、昨日の晩のこと。 
夜更かししてしまって朝の4時過ぎ位かな、そろそろ寝ようと思って部屋の灯りを消したんだ。 
そしたら、窓の方がぼんやり明るい。 
外は真っ暗だし、夜には工事の人も当然いないし、灯りなんてあるわけないんだけど。 

一度外した眼鏡をかけなおして、よく見ようと窓を振り向いたら、 


べったり人型の何かが貼りついてた。 

ぼんやり光ってるのはそいつの体。夜光塗料を塗ったみたいな、ちょっと緑がかった光。 
肌に半透明のビニールがくっついて、妙な皺感があった。 
長袖のTシャツの様なものを着て、下半身はよくわからなかった。 

ほっぺたも鼻も口もべったりくっつけてるんだけど、目の感じはよくわからなくて、でもまだ目は合ってないって感じた。 
こっちに気付かれたらまずい!と思って、ゆっくり視線をそいつの顔から外し、でもそいつの体の一部が見える状態にして(もしそいつがちょっとでも動いたらダッシュで逃げるつもりだった)、ワンルームの部屋から出て玄関の方に行き、そのまま様子を伺ってた。 

玄関からも、窓の光はぼんやり見えてたから、それが消えるまでそこに居ようと思ったんだ。何かあったら玄関から逃げられるように。 
音がするのが怖くてドアチェーンはかけたままだったけど、鍵はゆっくり外して、何かあればすぐ外して飛び出す気満々だった。 


暫く部屋の方を見てたら、ふっと光が消えた。 
ほっとしたけど、当然今度は真っ暗で、別の恐怖が襲ってきた。 
今電気点けたらやつに気付かれるかも。 
でもこの暗い状態で、やつがまだ待ち構えてるかも知れない部屋に戻るのも怖い。 
さっき冷静に逃げたつもりだったけどやっぱりちょっとパニクってて、携帯も部屋に置いてきてしまってた。 

怖さで暫く逡巡したけど、もう部屋中の電気点けてカーテン閉めて今日は寝よう!と決意し、まず玄関の電気を点けた。 

そしたら、 
ガラガラバシャーン!!みたいな音(廊下をすごい勢いで何かが走ってきて転んだみたいな音)が聞こえて、ついでドアをバンバンバン!!!って物凄い勢いで叩かれた。 
自分は玄関とすぐそこのユニットバスの電気つけたばっかりで、そのまま腰抜かしてしまった様になって動けなくなった。 

ドアを激しく叩かれた後、ドアノブが回って、ドアがさっきまでの激しさが嘘みたいにゆっくり開いた。
そう言えばさっき逃げたくて鍵を開けたんだった。。と何処か冷静に考えたけど、全く動けなくて、ただそれを見ていた。 

ドアはチェーンをしたままだったから、すぐ止まった。そしたら暫く音が止まって、隙間からあの光る手と顔が覗いた。 

さっき窓に貼りついてた時は気づかなかったけど、普通の人間よりかなり大きかった。 
ドアの隙間から鼻と口、そんで太い指をねじ込もうとしていた。大き過ぎて指も数本しか入らなくて、チェーンに引っ掛けて外そうとしてるけど、うまく触れないみたいだった。 
こっちを覗き込んでくるわけでもなく、ひたすら鼻と口、つまり顔の中心から押し入ろうとするみたいにぐりぐりねじ込んできて、でも当然入るわけない。 

これが、不思議な位無音の状態で続いた。ドアだけが押し付けられるたびにチェーンとこすれてガチャガチャいってたけど、それでもそんな激しい感じではなく、ゆっくり…。 
顔と指がゆっくり押し入ろうとする度に、ガチャ…ガチャ…みたいな感じでゆっくり鳴って、めっちゃ怖くて腰抜けてるんだけど、どこか現実感がなくて映画をみているような感じだった。 

どれ位の時間だったかわからない。 
鳥の声が聞こえた。 
それで、外が薄っすら明るくなってるのがわかった。 
そしたらその顔がふっとドアから離れて、指も抜けて、そのまま静かになった。 

腰が抜けたまま長時間同じ姿勢でいたから体が痛くて、上手く動けなかったけど、何とか立ち上がってドアを閉められるようになるまでもうそいつは現れなかった。 


何が何だかわからない。 
このマンションに住んで一年半、こんな経験どころか金縛りすらあったことはなかった。 
曰くなんて聞いたことないし、改修工事で薄暗い以外の不満を感じたこともない、気に入ってた部屋だった。 

今日明日は会社の友人の家に泊めてもらえることになり、土日のお昼にある程度荷物纏めて一旦実家に帰る。 
大家さんに話も聞きたいけど正直衝撃的過ぎてもうあの部屋に戻る気になれない。多分、引越すことになると思う。

【洒落怖】【怖い話】バスの乗客

少し前バスの運転で、大都市と地方都市を結ぶ高速バスを運転していました。 
いつも最終地1つ手前のバス停でよく話かけられるような気がして、 
気配はするんですが、はっきり聞こえないし、乗客の声が響いてそのように聞こえるのだと思って気にしていませんでした。 

それでその日もいつも通り運行していたんですが、最終のバス停の2名のお客様(女性2名)しか残らない時がありまして。 
1つ手前のバス停を通過する、「コツコツ」とハイヒールで歩くような足音が聞こえました。 
残っている2名のお客様はカジュアルな服装だった覚えがあって、あれ他に乗っていたかなと不思議に思ったんです。 
運転席の左後ろ(通路)で足音が止まったかと思うと「あの、次で降ろしてもらえませ・・・・」 
と小さく女性の声が聞こえました。 
降車場所を乗車中に変えてくださいというのは時々ありますが、 
ブザーを押せばいいことですし、車内での事故は基本的に運転士の責任です。 
「危ないので席に座って・・・」 と声がでかかったのと同時にミラーに目線を移すと、
後ろには誰もおらず、車内ずっと後ろで2名のお客様が談笑中なのが見えました。 

血の気が引くような思いでしたが、最終のバス停に無事到着させ2名のお客様を降ろしました。 
降りた後車内を全て見ましたが、他に誰もませんでした。 

その後、その路線を乗務するにつれてある1台のバスだけが、そこを通る時だけその足音が聞こえるとわかりました。 
私が入社する前に導入したバスなので、事故歴はわかりませんが、少なくとも会社では人が絡むような交通事故は起こしていないようです。 
ただ、そのバスが過去にレンタカーで使用していたそうでして、そのときに何かあったかはわかりません。 
それよりもわざわざ中古バスを導入した社長を恨みましたが・・・。 
(レンタカー車両は安くてもエンジンや変速機が故障しやすい) 

その車両も老朽化で予備車となり、今は駐車場の隅っこで廃車になるのを待つばかりですが、 
出勤時に近くを通るといつも視線がそのバスにいきます。気のせいだと思いますが・・・・。 

【洒落怖】【怖い話】注意

友達と遊んだ時の話なんだけど 
暫く会ってなかった友達と久しぶりに飯でも行こうとなって居酒屋で待ち合わせした。 
俺は仕事で少し遅れそうだとメールすると先に飲んでると返信が来た。 
約束の時間から30分くらい遅れて店に入り、店員に待ち合わせと伝えると仕切りのあるボックス席の方へ案内された。 
あいつはどこかなときょろきょろすると手前の席は頭が二つ見える。 
あ、違うなと思って奥へ行ったら後ろからここだよ!と声を掛けられた。 
振り返るとさっき頭が二つ見えた席で友達が俺を呼んでた。 
不思議に思いながら悪い悪いと席に入ると、やはり友達一人しか居ない。 
見間違えたかと気にせず飲みはじめた。 
暫く飲んでると友達がこないだナンパしてさーと話出した。 
ちょっと変わってる子なんだけど今度おまえも一緒に遊ぼうぜと誘って来た。 
俺は彼女居たし、うーんとか言ってお茶を濁してると友達がちょっと小便ってトイレに立った。 
一人でたまには遊ぼうかなとか折角誘ってくれてるから行こうかなとか考えてると 
「ダメだよ」 
後ろから急に聞こえた。 
えっ?っと思い振り向くと後ろの席で女の子三人組が楽しそうに話をしている。
なんだ…偶然聞こえただけかと思い、また遊び行こうかと思った瞬間 
「行くなよ」 
今度は横から聞こえた。横には若い男四人組がげらげらと大声で笑いながら騒いでいる。
タイミングが良すぎるなと一人で苦笑いしてしまった。 
そこで友達がトイレから戻って来て座ろうと屈んだ。その一瞬、友達の後ろに誰かが立っていた。 
茶髪のギャルっぽい女の子。普通なら可愛いのかも知れないが…目が白目だった。 
咄嗟に目を逸らし、もう一度見直したが女の子はもう居なかった。 
「さっき言ってた子からメールきてさ。」 
何も気づいてない友達がにこにこしながら言う。 
「この後、合流しないかって」 
呆然としていた俺がわかったと言おうと口を開きかけた時 
「絶対いくな!」 
何人かが同時に叫んだような声だった。はっとして周りを見回すと女の子三人組、男四人組の全員が無表情でこっちを見ていた。 
それはほんの一瞬だけですぐまたこっちを気にする風でもなく楽しそうに盛り上がりだした。 
「何きょろきょろしてんの?大丈夫か?」 
友達は怪訝そうな顔でこっちを見ている。 
あぁ大丈夫と言って平静を装ったが手の震えが止まらなかった。 
「で、行くだろ?この後。」 
友達が聞いてくる。俺が彼女から呼び出しが来たから帰ると言うとそうかーと残念そうだったがそれ以上は誘ってこなかった。 
酔いも醒めてしまったのでそろそろ帰ろうと言って席を立った。 
わーパチパチパチ 
と周りの席が何故か同時に拍手していた。 
もうそれも気味が悪くて足早に店を出た。 
すると友達の携帯が鳴った。 
あ、メールだ。と携帯を見た友達が変な顔をしている。 
どうした?と聞くと 
「ナンパした女からメールなんだけど意味わかんなくね?これ。」 
と俺に携帯を見せた。 
そこには"もうひけない"とだけ書いてあった。その後、その女とは連絡が取れなくなったそうだ。 

【洒落怖】【怖い話】鬼

俺が小学6年の頃、両親が離婚した。 
そこから高校生までは親父と祖父母、そして親父が再婚した義母と暮らしていて15歳下の異母兄妹が出来た。 
高2の時、大嫌いだった親父の元を離れて母親に引き取られた。 
親父が居ない時、たまに祖父母に顔見せに行っていて18歳下の異母兄弟が出来たのを知った。 
そのうち祖父が認知症になって亡くなり、間も無く祖母も認知症になってしまった。 
それから十年近く親父に会うこともなかった。 
そして数年前、俺が一人暮らしをしているアパートに突然義母が訪ねてきた。 
正直驚いた。 
同じ市内に住んでいるのだから居場所なんか調べればすぐわかると思うが、今更俺に何の用があるのか。
玄関先で何かと尋ねると義母は助けて欲しいと言う。 
金かと思ったが親父は会社の社長だ。 
俺なんかより金に困る事など無いはずだ。 
仕方ないと思いながら部屋にあげ話を聞くと俺に申し訳ないだの親父の代わりに謝りたいだの言い出した。 
両親の離婚の原因は親父の浮気で相手は再婚した義母だった。 
しかし俺は義母を恨んでも無いしどうでも良かった。 
むしろ古傷に触られる様でイライラした。 
「それだけなら帰ってもらえますか?」 
もう聞きたくなかった俺は義母にそう言った。 
すると義母は泣きそうな顔で妹と弟を助けて欲しいと言う。 
意味が分からない。 
臓器提供か何かかと聞いたが違った。 
義母から聞いた話を纏めると祖母が亡くなってから家に祖父母の霊が出るようになった。 
最初は月に一度あるか無いか程度で恐ろしかったが、何かしてくる訳でもなく放置していた。 
しかし、月日が経つごとに現れる頻度が多くなり祖父母の形相も変わって来た。 
無表情だった顔は般若の様に歪み、普通だった服もいつの間にか死装束になった。 
お寺に供養をお願いしたが全く効果が無かった。 
そして数ヶ月前、寝ている弟が泣き出したので様子を見に行くと、今度は妹の部屋から苦しそうに呻く声が聞こえた。 
慌てて部屋に入るともう人か獣か分からないまでに変貌したそれが妹の首を絞めていたそうだ。 
義母が必死に引き剥がそうとすると消えた。 
親父にも話したが視えない親父に馬鹿な事をと一蹴された。 
れ以降、霊は妹と弟が寝ている時に近くに出るようになってしまった。 
そしてもうひとつ、弟の落書き帳を何気無く見ていた義母はあるページに俺の名前が書いてあるのを見つけた。 
弟は俺のことを知らない。 
まあまあ珍しい名前なので偶然書いたとは考えにくいし、
弟が赤ん坊の時に新築の家を建て引っ越したので俺の名前が書いてある物も家に無い。 
弟に聞くと夜中に誰かがこの名前を呟くらしい。 
「おまえは◯◯(俺の名前)じゃない。◯◯はどこだ。」と。 
このままでは子供が殺されると思った義母は俺の住所を調べて来たのだった。 
一度、家に来てくれと泣きつく義母の頼みを俺はは断った。 
それは親父に会いたくないから。 
すぐ殴る傲慢で嫌味な、しかし外面だけは良い親父は成人するまでいつか殺してやろうと思う程嫌いだったからだ。 
しかし、妹や弟に罪はない。 
「墓参りには行きますよ。」 
そういってお墓の場所と連絡先を聞いて義母に帰って貰った。 

次の休みに祖父母の墓にお参りに行った。 
俺の母親とは折り合いが悪く、親父とも仲が悪かった祖父母だったが初孫の俺は可愛がってくれた優しいじいちゃんとばあちゃんだった。 
線香をあげ手を併せると涙が出た。 
帰ろうと水を汲んだ桶や柄杓を片付けていると、目の前で線香がボキッと折れた。 
風のせいと思ったが嫌な感じがして、俺の顔は青ざめていたのかも知れない。 
お寺に借りた桶を返しに行くとお寺のお坊さんがどこのお参りですか?と声を掛けてきた。 
◯◯の墓ですと言うとちょっと上がってお茶でも飲んで行きなさいと言われ、
さっきの線香の事もあったので素直に頂く事にした。 
お茶を飲みながら色々聞かれた。 
義母が何度か供養を頼んだので、お坊さんも気にかけていたらしい。 
俺は義母に聞いた事をそのまま話した。 
お坊さんは否定も肯定もせず、そうでしたかと言って帰りにお守りをひとつくれた。 
義母に電話して墓参りに行ったとだけ伝えた。 

その夜、夢に祖父母が出てきた。 
襤褸の白い着物を着て乱れた白髪、目は爛々とし口は大きく裂けるその姿はまるで鬼だった。 
俺は子供で何処かに隠れていて、祖父母は俺を探している様だった。 
そのうち、どこからか「見つけた…」 
「違う…」 
「死ね…死ね…」 
と言う低い声と子供の泣き声が聞こえて来て目が覚めた。 
汗で体が冷え震えが止まらなかった。 

翌日、仕事を休み坊さんになった同級生に連絡して会うと全部話した。 
そいつは霊感持ちで高野山からスカウトされて坊さんになったという奴だった。 
彼は黙って聞いて、話が終わるとぽつりぽつりと言った。 
祖父母は俺の事が可愛くて仕方が無く、もう会えないのが心残りのまま亡くなったんだろう。 
それは霊になった後も続いてだんだん心残りが怨みに変わり狂っていったのかも。 
異母姉弟が死ねば、跡取りの俺が帰ってくると思ってるのかも知れないが、
もうまともな理屈も思考も出来ないからただ祟るだけの鬼になったんだと思うと。 
俺はどうしたらいいんだ?と聞くと 
「おまえは大丈夫。血は繋がってるが母親の家系に入った時から母方の先祖に守られてるから。でも妹と弟は知らん。」 
それは…と言うと彼はちょっと黙ってこう言った。 
「なぁ…触らぬ神に祟りなしって言うだろ?」 
俺が黙ると彼は気休めかも知れないが経を上げておくと言ってくれた。 

その後、仕事の都合で引っ越した俺に変わった事は無く義母と連絡も取っていない。

【洒落怖】【怖い話】蠢くそれ”ら”

実家の近くに少し濁った川があるんだが、そこの生態系が色々とやばい。

何がやばいってフナやメダカといった普通の魚から、何処のどいつが放したのやら
でっかいコイだの金魚だの、グッピーやバスの仲間まで泳いでやがる。
魚だけじゃない。ヤマカガシやマムシは土手の草むらに住んでるし、生えてる植物も外来種がほとんど。
夏が近づけばセミやカエルの鳴き声がやむ事はなく、秋から冬にかけてはトンボの群れが道を飛び交う。
去年休暇を利用して帰って来た時は、ヌートリアと川鵜まで住み着いてやがった。

今じゃ珍しい自然の環境だ、何て両親は言ってるけど、はっきり言って魔境です。
業者の手が入らないのが不思議でならない。
俺も子供の頃は網を適当に振るだけでトンボを大量ゲットできる事に喜んでたりもしたが、
地元の大学を出て別の県に引っ越して、ようやく実家近くの異常さに気づいた。

で、数年前の事。夜中に自宅で寝ていたら突然金縛りにあった。
「やばい、目を閉じて何も見ないようにしないと」って反射的に思ったけど、
指一つ動かせないのに、瞼だけは無理矢理に開けられていく感覚があった。
そして開けられた目の先、天井付近で蠢いてるそれを見た瞬間、俺は金縛りで悲鳴が上げられない事に感謝すると同時に。
それでも無理矢理それを見せられたことを呪ったよ。
丑の刻参りってあるだろ、頭に蝋燭付けて左前の白装束着て。手に金鎚と杭を持った奴。
あの格好をした女が、天井付近で「あ゛ぁぁ」とか「う゛ぅぅ」って呻きながら空中でのたうち回ってたんだよ。
でも俺が怖かったのは凄い形相をしてる女じゃなくて、その女の全身に纏わりついてた奴らの方。
脳天から杭を突き出しながら、女の腕に斑模様の蛇が巻き付いていて。
明らかに入らないであろう片足を、黒い鯉みたいな魚が膝まで飲み込んでて。
他にもバッタだのセミだのカエルだのが、頭や身体にウジャウジャくっ付いていて。
もう何ていうか、怖い以前に気持ち悪かった。
女は暫く呻き声を上げながら天井でのたうっていたけど、突然ぱっと身体が動くようになったと同時、いつの間にか消えていた。纏わりついていた生物ごと。

……もしかしたら助けてくれたのかもしれないけど、薄暗い室内であの光景は、
相当心臓に悪い物だったという話。
でも、その一件以来1年に数回は実家に顔を見せてる。

【洒落怖】【怖い話】非常階段のおばさん

俺は現在小さいながら、安定した会社で働いてるんだけど 
前の会社が倒産した後、就職がなかなか決まらず、つなぎでバイトすることにしたんだ。 
ポスティングのバイトなんだけど、普通の家とかに配ったりするのではなく、 
雑居ビル(スナックとかキャバクラとかホストクラブが多い)を中心に出前のチラシを配るというものだった。 
雑居ビルってのは、大抵非常階段と中の階段の2個ついてるビルが多く、廊下が長いので、イメージで言うと学校の配置を 
考えてもらって、お店(教室)がずらーと並んでいて、階段が端と端にある感じを思い浮かべてくれるといいかと思う。 
配り方は、ビルに入ると最初はエレベーターで最上階まで上がって、各階のお店にビラを配って、非常階段か中の階段で 1階ずつ 
おりて1階まで降りていくのを延々と繰り返す。 
ポスティングするのは、お店が閉まってる朝9時ごろから、昼の4時ごろまでなんだけど、 
昼過ぎて、暑くなってきたので汗だらだらで配っていた。 
もちろん電気のついてるビルもあるんだが大概は薄暗いビルが多かった。 
そんな中、○六ビルってのに入って配ってたんだが、9階から8階へ非常階段で降りたんだけど8階のドアが開かなかった。 
こういうのはたまにあるから、戻って中の階段から降りようと思ったんだけど、下から 
「がさがさ」という音が聞こえた。 
階段って、真ん中の部分から下が見える形状の階段があるんだけど、そこから見ると、 
ソバージュというか、ごわごわした髪の毛のおばさんが何か下向いてがりがり音を立てながらなんかしてた。 
こういう時は、マニュアルで「こんにちわ」と挨拶することになっていたので、 
俺が「こんにちわ」と言ったんだ。 
すると、おばさんがすごい速さでこっちを振り向いた時に、 
俺の目に飛び込んだのは、子猫みたいな大きさの毛のついた塊にかぶりついてるおばさんだった。 
やばいと思って、逃げようとしたがその前におばさんが走って下に逃げた。 
おばさんが逃げると同時に、俺も上の階へ逃げた。 
エレベーターまでダッシュで行って飛び乗り、1階を連打した。 
すると4階で止まったから、おばさんがいたら殴ってでも逃げようと思ったが、 
普通の料理人みたいな人が乗ってきて助かった。 
その日でバイトは辞めた。 
俺の人生で怖い思いをしたのはこれだけなんだが、 
これからの人生で雑居ビルの非常階段を使うことは、2度とないと思う。 

【洒落怖】【怖い話】終電

三年前の話。当時21歳の俺は、高卒で就職して3年目に突入していた。 

その会社がいわゆるブラック企業で、技術系に配属された俺は 
月1~2休暇の毎日が8時出勤、殆ど毎日終電帰りという状態でかなり疲れていたので 
今思うと、幻覚、幻聴の類だったのかもしれないと思う。 

その日も、現場での仕事を終えて会社で資料を整理。 
結局資料はまとめきれず、しかし家には帰りたかったので終電で帰宅しようとした。 
するとその日は遅延が発生していたらしく終電ではなかった。 

人のまばらな電車で毎日同じ時間、同じ車両に乗り続けていると 
有る程度見知った顔ぶれというものができる。目が合っても会釈もしない関係だが 
「この人も毎日遅くまで大変だな」くらいにはお互い思っている事だろう。 

その日も座っている客が少なく、いつも座っている場所が空いていたので 
腰を下ろした。気付いたら眠っていたようだ。 

体が揺さぶられている気がして目を覚ました。 
まだそんなに時間が経っているとは思えなかったが 
いつも俺が降りる前の駅で降りている若いサラリーマンの男性が車両に乗っていなかった為 
やってしまった。と思った。他にも見知った顔はいなくなっていたので 
かなり遠くまで来てしまったかもしれない。 

すると、また作業着を引っ張られた。 
振り向くとそこには小学生くらいの女の子が座っていた。 
電車は走り続けていて相変わらず人のまばらな電車の車内ではポツリポツリと 
座って眠っている人がいた。 

「おじさん、どこの人?」 
女の子が話しかけてきた。 
こんな時間にこんな小さい子がいるなんて。と思いつつ 
「○○だよ。」過ぎたであろう駅名を言った。 

次は何駅なんだろう。 
電光掲示板は無いし、電車が止まりそうな気配も無い。 

とにかく次で降りよう。 

「ねぇ。おじさんは何でここにいるの?」 
続いて女の子はこう尋ねてきた。 
変な女の子だなぁと思いつつ 
「乗り過ごしちゃったみたいだね。」と言った 
「ふーん。」 
それきり女の子は黙った。 

それから10分くらい経過したが、一向に電車が止まる様子は無かった。 
イライラしながらも窓の外を眺めていると、段々と白い霧に覆われていった。 
俺は隣にいる小学生に聞いた。 
「ねぇ、この電車はいつ止まるの?」 
「わかんない」 

「君はどこで降りるの?」 
「わかんない」 

元々イライラしていたのが、この会話で恐怖に変わった。付いていない。声をあげても誰もこちらに興味を示さなかった。 

これ、ヤバイ。何か変なことに巻き込まれてる。と 

俺が席を立ち上がろうとすると女の子は俺を掴んできた。 
尋常じゃないほどの力で 
「どこに行くの?どこにも行けないよ?」と言ってきた 

俺は「ひっ」と情けない声を上げると 
ポツンと座っている大人に目線を送った。 
しかし誰もこちらに気付いていない。声をあげても誰もこちらに興味を示さなかった。 

「お兄さんは、ずっと私と一緒だよ」 
小学生は俺にそういうと、無理矢理俺を椅子に座らせようとした。 

が、そこで急に電車が止まった。 
停車駅のようだった。死に物狂いで外に出ようとするが、小学生は俺の体をガッチリガードしていた 

「俺を降ろしてくれ!!」と叫ぶが、女の子は「いいや、駄目だよ」 
と言って動かしてくれない。 

電車のドアが閉まる警笛音が鳴った時、俺はもう人生の終了だと感じた。 

しかしその瞬間に手を差し伸べてくれた人がいた。 
咄嗟のことで顔をしっかり見ることはできなかったが 
服装からいつも同じ電車に座っているOLさんだとわかった。。 

意表をつかれたのか俺の体はするりと小学生から抜け、OLさんと一緒に電車から降りた 

と、同時にドアが閉まる。恨めしそうな顔をして小学生がこちらを睨んでいた。 
そこで確信した。人の形相ではなかった。 

その後ろに、一緒に下りたはずのOLさんも乗っていた。 
相変わらず顔は見えなかったが、手を振ってくれていた。 

そこまでは覚えているが、そこで気を失ってしまったらしい。 

次に目を覚ましたのは病院のベッドだった。 
なんでも、俺がいつも降りる駅の二つ後の駅で倒れていたようだった。 
原因は過労。会社に連絡するとその日は休むようにと言われた。 

夢だったのか・・・?と思いつつ 

その次の日からは、会社の命令も有りもう仕事に復帰していた。 

その後、3日間終電でOLの姿を見かけなかった。 
どうしてもその人の事が気になったので 
俺はいつも同じ電車に乗っているサラリーマンに思い切って話しかけた 

「あの、すみません。」 
「え、ああ。お疲れ様です」 

お互い顔見知りではあったので、特に不振がられもしなかった。 
多少の雑談をして、OLさんの話題に触れた。 

すると、サラリーマンから思いがけない話を聞いた。 

サラリーマンはその日、仕事が少しだけ早く終わり 
数本前の電車に乗ろうとしたそうだ。 
その日はたまたまOLさんも電車待ちをしていたらしく 
こんな事もあるんだなぁと感じたそうです。 

その後は、来た電車にサラリーマンの目の前でOLさんが飛び込み自殺 
その為、結局いつもの終電に乗る事になったそうだ。 

幻覚、幻聴の類であったのかもしれないし 
非常に後味の悪い話ではありますが、俺からの話は以上です。 

【洒落怖】【怖い話】娘と狛犬

5歳になる娘と散歩で立ち寄った神社でおみくじを引き、3回連続で凶が出た 
こんな事もあるのかと驚きながら家に帰ると、嫁が訝しげな顔で言った 
「それ、どうしたの?」 
見ると、娘がいつも抱いていた犬のぬいぐるみが無くなっていて、代わりに神社にあった小さな置物の狛犬を抱いている 

娘に聞くと神社にいた時、宮司姿の男が現れていきなり娘の腕を掴み、何処かへ連れて行こうとしたらしい 
その時、抱いていたぬいぐるみが男に噛み付いて、そのまま男と一緒に消えてしまったと言う 
もちろん私はそんな男には出会ってないし、神社では娘とずっと一緒にいたはずだ 
すぐに神社に問い合わせたが娘が見たような宮司は存在しなかった 

翌日、犬の置物を神社に返しに行った際、待っていた神主が妙な事を言った 
「この狛犬は持っていて下さい。あと2回、必ず娘さんを守ります」 
私はあと2回とは何の事か、誰が娘を狙っているのか尋ねると 
「娘さんは神の供えとして選ばれました。あなたがくじを引いた数だけ災いが起こります」 
それだけ言うと神主は押し黙ってしまい、あとは何を聞いても答えなかった 

その日の夜に1回目の異変が起きた 

自宅の仏間で人の声が聞こえるので見に行くと、5年前に亡くなった母が鎮座してお経を唱えていた 
母は娘を連れに来たと言う 
私はそれだけは止めてくれと頼むと 
母は生前に見せた事もない狂ったような顔で「やかましい」と言って立ち上がり娘の所へ行こうとした 
その時、地響きのような呻り声が聞こえたかと思うと巨大な白い犬が現れ、母の体を咥えて仏壇の中に消えていった 
私が急いで娘の所に行くと、娘は眠っていたが枕元に置いていた狛犬は無くなっていた 

神主は狛犬が2回、娘を守ると言ったはずだが狛犬はもう無い 
私が翌朝、神社に行ってその事を話すと神主は 
「狛犬は二体一対です。もう一体、別の体を成して娘さんの傍に在ると思います」と言う 
私は娘の周辺にあるそれらしき物を捜してみたがなかなか見つからなかった 

2回目の異変は次の日の昼だった 

私が仕事で出かけてる間に、誰かが玄関のチャイムを鳴らした 
嫁が出ると、身長は2mを超えるかという大きな犬のぬいぐるみが玄関先に立っていた 
辺りには生臭い異臭がして、よく見るとそれは娘がいつも抱いていたぬいぐるみにそっくりだった 
嫁は驚いてドアを閉めようとしたが凄まじい力で跳ね返され、ぬいぐるみは家の中に上がりこみ 
台所にいた娘の手を引いて何処かへ連れ去ろうとした 

するとなぜか仕事に行ってたはずの私が四つん這いで走って来てぬいぐるみに突進し 
歯でぬいぐるみをバラバラに噛み千切ったという 
私はその時の記憶が全く無い 

異変はそれ以降起きないが 
私は神社に行ってもおみくじを引くのが怖くなった

【洒落怖】【怖い話】瑞牆山の怪奇

山梨の瑞牆山って山について誰か変な噂とか知らない? 
8/4に登ったんだよ。夕方から登り始めたんだけど、途中で凄い濃霧にあってそこで不思議な体験したんだよね。 
ちなみに登山歴は8年でこんな体験は初めて。携帯からだから書き込み時間かかるかも。 

登り始めたのがログデータで16:43。 
所謂、北面ルート(?)黒森上から登り始めたんです。 
で登り始めて1時間半くらいで滝まできたんですが、ここから先に霧が見えたんですよ。 
まぁ標識もあるし、装備は完璧。ちょっと天候ヤバくなったらビバークすりゃいいかなと思って進んだんだ。 

でもこの判断が間違いだった。 

滝をすぎてから40分くらい。時間で19:01だったのは記憶してる。 
あたりが暗くなってきたし、霧も濃くなってきたのでヘッドライト、携帯ランタンを装備。 
その時に気づいたんだけど前を誰か歩いてるんだよね。時たまライトの光が霧の中から見えるんだ。 
前の人に追いついちゃ悪いから少しゆっくり行こうと思ったわけ。 
その後どんどん霧が濃くなって先行してる人の明かりをたよりに登って行ったんだけど違和感を感じてたんだ。 

自分もペースをかなり遅くしたのにライトっぽいものとの距離がほとんど一定。 
しかも明かりの色が問題で、霧だったし、ボンヤリしてて気にしてなかったけど 
ライトの色が赤黄色っぽいんだよ。普通今時の登山者、特に夜間歩く人ならほとんどの人がLEDだし 
それにヘッドライトにしてはやけに後ろを振り返ってるんだよね。 
まぁ振り返ってくれるから自分から見えてる訳なんだけど。 

その後時計を確認したら21:00を過ぎてて一向に山頂に着く気配もなく、霧も濃いまま。 
さすがにヤバいな。と思い立ち止まって地図とコンパス、GPSで位置を確認したんだ。 

で位置情報。なぜか受信できない。まぁ濃霧で受信できないってことは確かにあるから気にせず、 
じゃあと、高度計使ってだいたいの高度ど山の斜面の方位からどの辺りにいるかを予測してみたんだ。 
そしたら高度1870m、斜面方位が真西。つまり山の真東側にいることになってたんだ。 
もちろん登山道から大きく外れてしまったようなんだ。 

こんな時は動かず朝になるか霧が晴れるのを待つべきだな。と思い野営準備をした。 
その時もその明かりはこっちをちらちら見ているような、そんな風に見えたんだ。霧で反射してるだけだとその時は思ってたけど。 

食事してツェルト張って、少し寝た頃かな?スゴい辺りが明るくなった気がして起きたんだ。 
でも辺りは暗闇。 その中で例のライトもといこの時点でライトじゃないとわかったんだけど、 
明かりがみえていたんだ。こちらが泊まってから向こうも動いていないようだった。 
さすがに怖いから少しだけ移動しよう。と思ってツェルトたたんで、南西の富士見平小屋方向に進んだんだ。 
もう道とか関係なく南西方向にとにかくまっすぐコンパスを使って歩いた。 

その時は体力には余裕があったけど心理的に余裕無かったし、正直山登りであってはならないことしてたんだなって思うよ。 

時計を見たのが1時過ぎてたと思う急にスゴい近くで女性の声が聞こえたんだ。はっきりと。 
「どこにいくの。そっちじゃないよ」 
って。焦って辺りを見回したけど当然誰もいない。さっきまで見えた明かりも見えなくなってたんだ。 

幻聴が聞こえるとかこりゃホントにヤバい事になってきたのと思って小走りになったんだ。さすがに息も上がってきた。 
そしたら見えるんだよ。木々の間からさっきの明かりが。見えている方向は南西方向。 
つまり自分の進行方向。 
でも、今まで道無き道を結構急いできたし、その明かりが突然自分の前に来れるはず無いんだ。 

怖かったけど、どうしようも無かったしとにかく山小屋方向へ急ぐしか無いと思って明かりのある南西の方に急いで進んだんだ。 
何かと遭遇したらヤバいという緊張感と、濃霧、闇という状況から冷静じゃなくなっていて、 
さっきの声が「そっちじゃない」「そっちは危ない」っていろんな方向から聞こえてくるんだ。 
まるで囲まれているかのような、頭の中で響くような。そんな状況が続いて4時前頃かな? 
フラフラになっていた時に足が何か踏んだんだよ。 
そしたら 

「おまえも同じめにあえば良いのに」 

って聞こえて明かりも声もなくなった。 
踏んだのは何かの花束みたいだった。 

そこから霧が少し晴れはじめて辺りも明るくなり、忘れてたGPSも使えたので富士見小屋に避難しました。 

小屋の親父にその話したら瑞牆の霧は異界に繋がっていて、過去に何人か行方不明になってるとか。あとは付近で女性が亡くなってるんだって? 
その人へ花束とか持ってくる人いるのか訪ねたけど相当前の事だから今は場所もわからないとの事。 
真偽はわからないけどね。 

この時点で気づいたのは声は1人じゃなかった事。全て女性の声だった事。 
最後の同じめに・・・の声だけ金切り声みたいな声だった事。 
そして自分が通ってきた斜面が50mで100m近く下るとんでもない勾配だった事。 

自分は何に誘導されてドコを通ってきたのか、そして最後に踏んだ花束みたいなものはまだ新しく、かすかに線香の臭いがした。 
狐にでもつままれたのか? 
とにかく無事に降りれてよかったです。 

ちなみに4日は瑞牆山は晴れ。霧はまったくなかったそうです。 

どなたか瑞牆山のあたりで何かあったとか、霧に関する情報ってお持ちじゃないですか?

【洒落怖】【怖い話】踏切の女の子

小学四年生の時、夜の7時から10時まで週に2回、隣町の学習塾に通っていた。 
隣町に行く間には貨物列車の線路があって踏み切りを渡る必要があったのだけど、 
貨物車は、めったに通ることがなかった。 
なので遮断機が下りることもなく、タイミングがいいのか、いつも踏み切りは素通りであった。 

ある日のこと、塾を終えていつものように自転車で家路を急ぎ、踏み切りの所まで差し掛かった。 
するとその時に限ってチンチンチンチンと鳴りだし自転車の前で遮断機が下りた。 
しょうがないので待っていたのだけど、いっこうに貨物車が通る様子がない。 
数分くらい経っただろうか。 
線路を挟んで反対側の遮断機の向こうに、いつの間にか小さな女の子がポツンと立っていた。 

街灯の明かりに浮かび上がる女の子は真っ赤なワンピースの肩からタスキ掛けに黄色いポシェットをしていて、幼稚園児くらいに見えた。 
俯いているようで、おかっぱ髪が顔にかかり表情まではわからなかった。 
こんな時間に幼稚園児の女の子が一人で?とは思ったがあまり気にも留めず、 
チンチンチンチンと鳴るばかりで、貨物車が通ることもない踏み切りの前で、 
ボーっと立ち往生したまま夜空を見上げて、さらに数分が過ぎた。 

チンチンチンチン、チンチンチンチン・・・空しく鳴り響くだけの音に、 
どうして貨物車が通らないんだろう?遮断機の故障じゃないのかな?と、苛立ち始めていた。 
さらに奇妙なのは、いつもは自動車や人が行き交うはずの場所なのに、辺りに人の気配すらなくなり、 
この何分かの間、女の子以外まったく誰一人も見かけないことに気づいた。 

妙な違和感がした。まわりがやけに暗い。 
夜空はどんよりと雲が拡がっていて月は出ていなかったが、夜だといっても住宅街である。 
各家々の窓明かりがあるのだけど、いつもに比べその明かりがとても薄暗くなってる気がしたのだ。 
それに対比するかのように、自分の真上と女の子の真上にある街灯だけが妙に明々と感じ、 
暗闇の中で、自分たちだけを照らし出すスポットライトのように感じた。 
まるで、その世界に自分と踏み切りの反対側の女の子だけしか居ないのではないかと思うほどだった。 

さすがに、なんか変だなと思い始め、辺りをキョロキョロ見回したあと、目線を踏み切りに戻すと、 
踏み切りの反対側のスポットライトの下からあの女の子まで消えていた。 
さては、あの子も待ちきれなくなって、どこか行ったのかなと、そのときは思った。 

チンチンチンチン!チンチンチンチン!・・・ 
と鳴り響き続ける中、なんだか一人で、この世界に取り残されたような気分になっていた。 
孤独感が襲ってきて背中がゾクゾクと寒気までしてきた。 
貨物車も通りそうもないし、まずいかもしれないけど遮断機を超えて通っちゃおうかなと思った矢先。 
自転車の横をふと見ると、あの女の子がそこに立っていて目が合った。 
その瞳には白目がなく瞳全体がまるで血のように真っ赤だった。 
そして女の子は 

「通っちゃいな」 

と言ってニターッと笑った。 

思わず、後ずさりして、ウワーッ!と声をあげて叫んでしまった。 
見てはいけないものを見てしまったような気がして、顔を横に反らして目を閉じた。 

ほんの数秒も経たないで、そっーと目を開くと、目の前の踏み切りには遮断機は降りていなかった。 
チンチンチンチンという音も消え、かわりに、いつもの住宅街の人の気配と車の騒音に戻っていた。 
どこから現れたのかスーツ姿のおじさんや、おばさんたち数人が踏み切りを渡っていて、 
後ろの道路には自動車が行き交っていた。 

あの女の子は? 
まわりを見回しても、あの女の子はどこにもいなかった。 
え?どうして?なんで? 
いろんな疑問が頭の中を駆け巡り混乱しつつも、その場から離れたくて自転車を押した。 
踏み切りを渡り自転車に飛び乗ると、逃げるようにして家路を急いだ。 

翌日。やはり気になって、学校の帰りに明るいうちにその踏み切りに寄ってみると、 
踏み切りの脇に、花や女の子向けの玩具が供えられていた。 
翌週からは塾の行き帰りには遠回りをして、違う踏み切りを渡ることにしたのだった。 

それからは踏み切りの遮断機が下りることに出くわすことも、あの女の子を見かけることも一度もなかった。

【洒落怖】【怖い話】おかしな風景

おかしな所にいったことならあるな。車でも体験あるし電車でも。 
体験する奴は結構するし、割といるんじゃなかろうか。 
前に電車で異変に気が付いた時が結構怖かった。 

うたた寝から覚めると何か違和感がある。景色は結構な田舎なんだ。レトロな気もする。 
電車は名古屋駅から米原へ向かう最中で、一瞬、関ヶ原辺りかと思う程の田舎な景色が広がる。 
が、こんな景色は見た事がない。どの辺りなのか見当も付かない。 
強い違和感に窓の外を見つめていているとやはり変だ。 

側道がさっぱり見当たら無い。普通線路の脇には公道があるような気がするが、そうとも限らんか・・。
それにしても線路のでき方が強引だ。子供の玩具を床に置いたみたいに。 
しかしそんな事をゆっくり考える余裕の無い異常を見つけてしまった。 
高架が無い、電線が無い。 
普通列車なのに、いったいどうやって疾走ってるんだこの電車は。 
状況を理解しようとしたが、まともな答えが見つからない。 

まるで土地の上に突然現れたレールの上を電車が無理やり走ってる、そんな感じ。 
電車から見える風景は例えば、田畑の中のあぜ道を散歩している時にぼんやり見る風景。 
窓からは見えない、見えてはいけない違和感だらけの風景。やはり視点が低すぎる。 
このまま乗っていて良い訳がない、それだけは直感でわかる。直感でなくても誰でも判るに違いない。 

皆揃いも揃って寝ている、気の抜けた顔だ。 
全く動きがない。何やら異形な物を見ているようで怖ろしい。 

いつのまにか電車は停止していた。駅らしいがドアが開かない、慌てて隣の車両へ移ってみた。 
ドアが開いてる・・・というより普通だ、日常の光景だ。元居た車両も普通になってる。 
元居た席に戻りたい衝動に駆られた。どう見ても普通だ。どうしよう。 
居眠りで追突事故起こしたばかりの俺はこのまま電車で目的地に向かいたかった。 

思考が混乱しているうちにドアが閉じてしまった。日常の光景も消えた。 
車内にまばらにいる乗客は皆死んでる様にしか見えない。だめだ失敗した。 
咄嗟に、まだ間に合う、何処か窓から飛び降り出来ないか走ろうと窓を見て固まった。 

既に物凄いスピードで逆走していて、今まで微動だにしなかった乗客が皆一点を見ている。 
服装が、格好が変わっている。皆薄汚れ、作業着のようなかっこうをしていて、 
今まで進行方向だった方角をじっと見ている。 

程なく視点の先が黒ずんで、真っ黒いモノに侵食されていく。逃げようと後部車両へ走るが 
襲う振動がすごく、足はぬかるんだように遅々として動かない。 
皆は写真のように表情も変えず口だけを動かしずっと何か言っている。 
無我夢中で吠えながら何とか最後尾までたどり着いたものの状況は全く変わらず 
迫る闇に吠え続けた。 
闇に飲まれる一瞬「くずれるくずれる」という声を聞いた気がした。 

目が覚めたらまた異様な空間を走る電車の中だった。ここを抜け出すのは本当苦労した。 

【洒落怖】【怖い話】違和感

おっさんです。体験したので記念に書き込みます。 
つい最近、ある僻地系観光地の駐車場で単身車中泊をした時の事です。 

駐車場は午後8時頃にはすっかり暗くなり、やることも無いので考え事をしながら眠りにおちました。 

やがて、私は閉じている車窓を叩く音で目が覚めました。 
助手席側の窓をギャルっぽい若い女が必死の形相で叩いています。男に追われている、助けて、ドアを開けて、と彼女は訴えています。 
私には彼女が幽霊に見えませんでしたし、ナンパか拉致のトラブルに遭ったのだなと思い、慌ててドアロックを外そうとしたのですが、違和感を覚えて躊躇いました。 

彼女の髪型、メイク、服装が整い過ぎているし、必死な表情の中にもどこか余裕が感じられる。訴えかける喋り口もちょっと演技くさい。 
周りを見渡しても駐車場内に人影も車の影も見えません。近くの駐車場とはそれなりに距離があるはず。ふと怖くなった。 

私はエンジンをかけ、比較的緩やかに移動しながらライトを点け、身をよじってバックミラーで後方を覗き込みました。 
突っ立っている彼女の他に、そのすぐそばには数名の男らしき人影がしゃがんでいました。私はそのままアクセルを踏んで逃げ出しました。 
寝るためにシート位置を変えていたので、とても運転し難かった。時刻を確かめたら午前2時前でした。 

思うに、男たちは私の車の死角に身を潜めていたのでしょう。 
ドアロックを解除したらおそらく強盗被害に遭っただろうし、殺されたかもしれない。用心して、駐車場のど真ん中に駐車しておいて良かった。 
それに、曲がりながら発進したら轢いていたかもしれない。ついてた。 

これからは道の駅で車中泊しよう。自販機もきれいなトイレもあるし。 
ともかく、拉致被害にあった女性がいなくて良かった。

【洒落怖】【怖い話】田舎の神社

小学生の頃、夏休みはよく母の実家に遊びに行っていた。祖父母は優しくて小遣いをしこたまくれたから毎年行くのが楽しみだった。 
あれは小五の夏だった。塾に通わせようとする親を振り切るようにして田舎へ来た。 
しかし親の方が一枚上手でそこから通える塾に入る手続きをされてしまい、お陰で毎日塾通いする羽目になってしまった。 
朝8時に祖父母の家を出て最寄りのバス停まで10分ほど歩き駅前の塾へという日々であまり遊んだり出来ず不満だったが、
祖父が交通費をたっぷりくるたので帰りに買い食いしたりゲーセン寄ったりする楽しみはあった。 

田舎へきて一週間ほど経った頃だった。夕方バスを降りて家へと歩いていた。ちなみに家とバス停の間は田んぼの中の畦道で夏でも風が吹いて心地よかった。 
途中に小さな神社がありその周りだけこんもりと木が繁っていた。
近所の子供も寄り付かず人気のない場所だったが俺は妙に気に入ってちょくちょく境内に入って置いてあったブランコを漕いだりしていた。 
その日は曇り空で夏にしては薄暗い日だった。てくてく歩いてちょうど神社の森に差し掛かったとき、前方にふと妙なものが見えた。
空間の一部がとろとろと歪んでいる。例えるなら陽炎のようなものだった。
しかしこんな日に出るはずがないし、しかもちょうど道幅と同じくらいの範囲で現れている。高さは大人の身長くらい。
まるで道を塞ぐ透明の壁のようだった。 
最初はそれほど気にならなかったが近付くにつれて次第に気味が悪くなってきた。どうしよう。そう思った瞬間だった。 
「××くーん」 
背筋を悪寒が駆け上がった。振り向くと畦道をこっちへやってくる黒いものが見えた。ボールのようにバウンドしながらゆっくりとこっちへ向かっている。 
「××くーん、××くーん」 
また聞こえた。 しわがれてエコーのかかったような女の声。妙に甘ったるい。
黒いものが発しているのか? それが跳ねるたび細長く黒いものがばらばらと広がった。 
何度目かのバウンドでそれの中身がちらりと覗いた。外側とは違う白い白い何か。
薄暗い中でも俺には見当がついてしまった。
それは顔だった。周りは髪の毛だったのだ。つまり、生首。 
女の生首が1メートル以上はありそうな長い髪を振り乱して俺の名前を連呼しながらこっちへ向かって飛び跳ねていた。 
恐怖のあまり叫んだ。カバンを放り出して走った。生首に比べたら透明のもやもやなんて何ともないと思った。
歯を食いしばって飛び込んだ。その瞬間、耳がキーンと鳴りどこか遠くで「ギリギリギリギリ」と歯車が軋むような音がした。 
気がつくともやもやの前に立っていた。横には放り出したカバンがある。とっさに振り返ると生首はいつの間にかすぐ後ろまで迫っていた。
俺を呼ぶ声は絶叫に近くなっていた。 
髪の間から白い顔が睨んでいた。睨みながら笑っていた。唇は無かった。 
俺は金縛りにあったように身がすくみ動けなかった。声も出なかった。口は半開きで涙と涎を垂れ流していた。
そのままどうしようもなく接近してくる生首を見ていた。 
ついに生首は神社まできた。そして鳥居とほぼ同じ高さまで飛び上がった。 
その時、鳥居から例のもやもやがぶわっと押し出されるように大量に溢れ出てきた。そして生首は飛び上がったままもやもやに包まれ空中で止まった。 
歪んだ幕を通して女の顔が引きつったかと思うと物凄い表情でこっちを凝視しており、口がぱくぱくと開閉していた。 
そのまま長い時間が過ぎたように感じた。実際は一瞬だったのかも知れない。次に覚えているのは家の布団の中。
心配して迎えにきた祖父におぶわれて帰宅したらしかった。 

二人から根掘り葉掘り聞かれて全て話したが夢でもみたのだと信じてもらえなかった。 
あの神社は戦後に出来た比較的新しいもので特に曰わくがあるわけでもないということだった。 
俺自身あんな目に遭った割には不思議とトラウマなどになることもなく、残りの期間も普通に塾に通った。前ほどではなくとも神社にも時々寄った。 
今では何となく見当がついたけど、生首の顔を思い出すとやはり怖くなる。 

【洒落怖】【怖い話】文字起こし

今四国の田舎に帰ってきてるんですが、姉夫婦が1歳の娘を連れてきてるんだけど 
夜が蒸し暑くてなかなか寝付いてくれなくて、 
祖父母、父母、姉夫婦、俺、そしてその赤ちゃんの8人で居間で夜更かししていた。 

田舎は海沿いの古い家で、庭に面した窓からは離れが母屋の明かりに照らされて浮かんでいて 
それ以外には姉夫婦の車が見えるだけ。海沿いなので網戸越に波うちの音が聞こえて、蒸し暑いけど田舎の心地よさに包まれていました。 

皆でお茶を飲んで語らっていると、姉はIPadを持ち出してきて 
「面白いもの見せてあげるわ!」とボタンを押した。 
メモ帳画面でマイクのボタンを押すと、口述筆記みたいに話した言葉を文字にしてくれる機能。 
姉はそれを赤ちゃんの口元に寄せて、「何か話してごらん~」とあやすと 
赤ちゃんは「あうあうあう~」と言葉にならない言葉を話す。 

すると画面に「合う会う、ううー良い愛ー」 みたいに、赤ちゃんの声を無理やり文字に起こしたものが表示され、 
姉は「赤ちゃんの言葉やで!」と笑う。祖父母も父母もうれしそうに「おおー!すごいなー!」と笑った

夜もふけていく中、皆でその遊びをしばらく続けていました 
「あいあい~たー、うう~」という、言葉にならない赤ちゃん語を 
「会い合い~他、右ー」みたいに表示していくIPad。 

祖父母は「最近の機械はえらいもんじゃのう!」とはしゃぎ、 
僕たちも笑う。 
赤ちゃんは皆がうれしそうに笑うのと、田舎の家の薄暗さの中で光るIPadの画面に大喜びし、 
「うあうあいい~!!わーわー!きゃあー!」と声を上げ続ける。 

姉は赤ちゃんを膝に乗せなおし、 
「はい、おじいちゃんって言ってごらんー!」と赤ちゃんにIPadを向ける。 
赤ちゃんはその日一番長々と、 
「うあうあー!きゃきゃー!!あーい~、きゃきゃ~!」とIPadの画面を叩きながらはしゃいだ声を上げた。 

すると画面に、 
「大宮さんがきよる」 
と表示された。 

姉が「えー、なんか文章になった!すごい~!大宮さんて誰かな~??」と笑う。 

すると祖父母が「えっ」と画面に顔を近づける。 

「大宮さんてこの機械に入れよるんかね?名前を入れよるんかね?」 
祖父が不思議そうに画面を眺める。 

姉は「えっ??」と祖父を見る。 

祖母が「大宮さんて網元の、おじいちゃんのお友達じゃった人じゃが。大宮さんが来よる、いいよるね・・・」と 
同じく不思議そうに画面を見る。 

すると母親が、「あの」と窓を指差す。 
「離れの方に_」 

全員が窓の外を見ると、庭の向こうの離れの前に、日よけの帽子を被ったような人影が俯きがちに立っているように見えた。 
祖父はすぐに「・・・大宮さんじゃね」と呟く。 

祖母も「大宮さんじゃあ。 2月に亡くなりはったんじゃけどね、なして(どうして)じゃろうね・・」と 
窓の外を見つめる。 

俺たちは「え?え?」とよく分からずに窓の向こうを覗き込むように首を伸ばしていると、祖母が 
「いけんいけん。いけんよ」と立ち上がり、カーテンをスッと閉めた。 

【洒落怖】【怖い話】鏡の向こう

友人に起こった話。三連休中に久しぶりに会って思い出したので投下。 
去年の十月初めくらいに、友人(Hとする)から「鏡の向こうにいる奴とよく目が合う」って相談された。 
Hは成績優秀で親や教師から期待されてるような奴だったから、その分無意識の内にプレッシャーを感じて追い詰められてるんじゃないか?って言ってやったんだけど、
オカルト好きな俺は面白そうだったので勉強会がてらHの家に泊まりに行くことにした。 
で、詳しく話を聞いてみると 
・最初に見たのは夏休みの終わり頃、洗面台の鏡を通してHの2m(目測)ほど後ろに立っていた 
・それから鏡越しや窓に映る影越しに見えるようになった 
・9月半ばから徐々に近付いてきて、今では1mあるかないかの距離にいる 
・見えるのは黒っぽい焦げ茶のワックスで固めた短髪の男で、黒っぽいシャツを着ていて、白目を向いている 
とのこと。 

相談されたその日のうちに泊まる用意をしてHの家に行った。 
家中の鏡という鏡に布がかけられていて、使う食器が全部陶器製なのを除けば、Hの家の中は普通だった。 
特に何事もなく飯食って勉強してゲームしてHの部屋で寝てたら、夜中に急に目が覚めた。 
お、金縛りか?ってwktkしたけど別にそんなことはなく、普通に動けた。 
んでトイレでも行こうと思って保安球(ちょっと明るいアレ)をつけて、部屋の空気が妙に淀んでたからカーテンを開けたら、窓の向こうで妙な影が俺の後ろに映ってた。 
Hが言ってた例の奴だと直感した。そいつは俺の方を見てるんじゃなくて、俺の布団の上に立ってHを見下ろしていた。
影だと思ったのは奴が黒い服を着てるからで、髪の毛は確かに焦げ茶だった。 
恥ずかしながら俺は恐怖で動けなくなった。なんていうか、身体の芯が冷たくなる感じがした。 
窓から目を逸らしたかったけど、少しでも身動きした途端にそいつが俺の方を向きそうで動くに動けなかった。
まぁ、窓に映ってるということは俺の後ろにいるっていうことに気付いて振り返る勇気もなくなったけど。 
で、そのまま棒立ちでずっと立ち尽くしてたらだんだん空が白んできて、俺の姿が窓に映らなくなってきた辺りでやっと緊張が解けてそのまま布団に入って寝た。 
朝になってHに「夜中に起きたっぽいけど何か見たか」って聞かれたけど、俺はなにも見てないって答えておいた。 
Hの布団と俺の布団はすぐ隣だったから、奴とHはもう30cmくらいの距離にいるってことなんだけど、それを受験やらなんやらでナイーブになってるHに伝えるのは残酷な気がしたから。 

結局その後も奴に付きまとわれてたみたいだけど大きな事件もなく志望校に合格し、一人暮らしするようになってからは奴の姿を見てないらしい。俺も見てない。 

【洒落怖】【怖い話】 危険物件

関西の大学を出て東京に10年以上住み、その間に二回引っ越しました。
同じ学校から東京に来た面々も、
久しぶりに会って話すとたいてい一度は引っ越しをしていて、
物件選びの話になりました。
(一名、同じ建物にずっと住んでいる人が居ましたが)

話が盛り上がると、誰が始めたのか事故物件の話になりました。
私も東京へ来たばかりの時に池袋駅徒歩5万の事故物件を内見していて、
その物件は一月前に中国の人が無くなり血も綺麗に掃除されているとの事(次の入居者には説明責任があった?のかもしれません)でしたが、
唯一ある窓の外が壁で異様に雰囲気も悪く、やめた覚えがあります。
そんな経験もあるので、他の人の事故物件の話には興味津々でした。

一通り聞いた話や不動産の知り合いの話等が終わった後、ある者が「俺、最近引っ越しの時、それ系のもん見た」と言い出しました。
みな食いつきましたが、その彼が言うには、そこは広さの割りに異様に安かったので仲介業者に「ここを見たい」と言ったそうです。
すると「おすすめしません、実質使える部分が広くないので」という答えが帰ってきたそうです。
その時点でこれはやばいと思ったそうですが、とりあえず見てみたい、行けそうならそこにするかも、と言ったそうです。
すると不動産屋は、何度も聞いたセリフという顔をして渋々承諾したので、その時点で知人は大勢が見てからやめたという事がわかったそうで、
やめようかとも思ったそうですが、たいした事がない可能性もあるので結局行ったそうです。

物件回りは、まず最初にハズレからという仲介業者の提案で、いきなりそこへ行ったそうです。
入る前に間取り図を見せて貰い、23区内のそこは36平米くらいの広さの物件で、それでいて4万円弱だったそうです。
入り口からまっすぐ廊下で、右にまず水周り、次に右に引き戸、まっすぐ進むとキッチンで、L字に右に曲がると、最初の引き戸と同じ部屋に通じる引き戸、突き当たりに一部屋という構図だったそうですが、
その最初の廊下とリビングの引き戸にL字に囲まれている一番大きな部屋が問題で「開けるな」という事でした。
住んでいる間開けてはいけないという事は実質使える場所が半分という事で、知人は流石に脅かしすぎだろうと思ったそうです。

実際に物件に入ると、とにかく薄暗い。壁紙が白なのに空気にセピアの色がついた感じだそうです。
で、一通り部屋を案内された後、仲介業者が問題の部屋を見せると言ってきたそうです。
「開けるのは良く無いが、とにかく見ないとわからない、でも住むなら開けるのはこれで最後」
と言われた知人は、仲介業者が引き戸を開けるのを一歩引いて見守っていたそうです。

開けると、畳だったそうです。
一歩前に進むと、強めの口調で
「あ、入らないで下さい、眺めるだけ」
と言われたそうです。
「左の仏壇は見ないで下さい」
と続けてすぐ言われ、目の端に黒い仏壇が閉じて置かれてあるのがわかったそうです。
戸を開けた瞬間に物件内の空気が重くなって、すぐに出てもおかしいない空気になった。
一人であそこにおるんは想像もできん、という事でした。
その後に「今回開けるのはしょうがないけど入ったらアウト、仏壇は、見るのもアウトだけど開いたら完全にアウト」と言われたそうです。

やはりやめたそうですが、車に戻って安心した仲介業者の人が言うには、「死んでます」と言われたそうです。
入った人が短期間で死んでるそうです。
逃げたした人も何人かいるという事でしたが、色んな人の話を統合すると、
「廊下で頻繁に女に会う、玄関を開けたら角を曲がっていく後ろ姿が見える、追うと居ない」
「仏壇から老人が出てくる、出てくる時は動けない、出てきた瞬間にみんな飛び出して逃げている」
この二つは共通していると言われたようです。
話は以上ですが、多分自分もこの物件はやめるだろうと思います。
「霊感とかそういう話は無かった、みんな見る、と言ってた」
とは知人の段です。

【洒落怖】【怖い話】確認

今日の深夜2時半くらい(さっき)に、携帯が鳴って、 
「もう帰りましたか?」っていうメールが、知らないアドから来ました。 
相手のドメインはauです。 
確かに昼間は出かけていたんですけど、別に誰とも会ってません。 
もう寝ようと思っていたので、無視していたら、1分くらいして、 
同じ文面が届きました。 
なんなんだよ、と思ったときに、なんか寒気がして、よく見たら、 
送信(受信?)日時が「7月25日」なのです。 
しかも1通目が21時56分で、2通目が21時47分というものです。 

最近、調子に乗って『着信アリ』とか『呪怨1・2』とか観てたからちょっと怖かったです。 
そのあと、すぐ寝てさっき起きたんですが、他にこのメール来た人いませんかね? 
もしくは、メールでこういう時間的なバグを体験した方いませんか? 一人じゃ怖いよ……。 
ちなみに私もauの携帯(ガラケー)です。

auのお客様センターに、こういうトラブルありますかって聞いたら、 
なんと、「間違いメールでしょう。」とのこと。日付の問題なのに。 
で、さらに「予約メールの可能性があります。」と。 
それはなんですかって聞いても、auにはそういった機能はありませんが、 
他社の場合はあるかもしれない、と。「かも」って……。 
っていうか、7月25日の段階で、9月1日の夜中に私の携帯宛てに予約されてたら、もっと怖いよ。 
で、あと2・3回似たようなことがあればこちらも調査するって。 
あっても無くてもどっちにしろ怖い……。

【洒落怖】【怖い話】田植え

山陰地方だけど、米を作ると廃人が出る田がある。 
被害に遭うのは地区内にいる田の所有者の血縁者のみ。 
若い者ばかり皆精神を病む。 
稲は必ず植えなければならないが、稲刈りをしてはならない。 
春には枯れた稲を田にかき込む。 

俺が小学生のころ、所有者が田の一角で赤米を作って収穫した。 
その年の冬、高校生の兄妹が二人いっぺんにおかしくなった。 
所有者の本家筋の長男長女だった。 

山すそを開いて無理やり作ったいびつな田だから、毎年手間がかかって仕方がないようだ。 
理由を知ってただろう地区の長老は、田植えを忘れないことだけを言い残して鬼籍に入った。 

【洒落怖】【怖い話】突然死

子供たちを連れて実家に遊びに行った時のこと 
普段から穏やかな母と、明るい父と、同居の妹一家と、みんなで楽しく話していた 

途中で母が 
「そうだ、○○(長男)にいい本を見つけたのよ♪」 
と笑顔で押し入れを開けて、下の段を見るために座ったのだが、いつまでも動かない 
探している感じでもない 
長男が「どうしたの?」と軽く肩を叩いたら、母の身体は静かに床に倒れた 
会話していた時の笑顔のまま、すでに亡くなっていた 
手にはかつて私が母に貰って大切にしていた本がしっかり握られてた 

あまりに突然すぎて、よくわからないまま解剖にまわされ、葬儀を済ませた 
死因もよくわからないらしいが、とりあえず心不全ってことにされていた 
下の子にはかなりの恐怖体験になってしまったらしく、それ以来私から離れられなくなってしまった 
文字通り、お風呂もトイレも、寝るのも一緒 

実は私はかつてこれと同じ光景を見たことがある 
母のおばにあたる人(祖母の妹)が、私が小さい時に、外出しようと玄関の上がり框に座って靴を履いている途中で亡くなってる 
「カルピス、何味がいいの?」というのが最後の言葉だった 
妹はこの時まだ生まれていなかったから、知っているのは私だけ 

祖母は母が幼い時に亡くなったから、祖母の妹にあたる人に母は育てられたと言ってた 
でももしかして祖母も、この原因不明の突然死だったのではないかと、最近強く思うようになった 
だから我が子を慰めているふりしながら、私も恐怖に怯えてる 
次は自分なんじゃないかと…

【洒落怖】【怖い話】拾ったビデオ

20年以上前になるが小学校低学年の夏休みに遊びに来た年上の従兄弟と家まで歩いてたら途中の空き地にビデオテープが三本捨ててあった。 
従兄弟が面白半分に持ち帰ろうと言い出して俺は嫌だったけど逆らえず持ち帰ってしまった。 
帰宅して親が仕事に行ってる間にリビングのビデオデッキで適当に一本再生してみると、路地裏で女がカメラ目線で服を脱いでいくのが映った。 
標準録画だったが画質はかなり悪く、どうやらダビングしたAVのようだった。
従兄弟は観たそうだったが俺はモタモタしてると親が帰ってくるからと言って早送りで終わらた。 
それからもう一本再生したがそっちはアルプスみたいなとこで外人同士がアオカンしてて二人ともオエーとなってすぐ出した。 
で、最後の一本を入れた。最初満員電車の実録痴漢ものみたいなのが映ってて、他二本に輪をかけて画質が悪かった。 
つまんねーなと思いつつ早送りしてると不意に映像が途切れてノイズが入り竹林を行く子供が映った。あっと思って早送りを止めた。
まだ小学校前の少女のようだった。辺りは薄暗い。 
後ろから撮っているのだが、少女の足取りがふらふらしていておかしく時々転びかけたり立ち止まろうとしたりする。
その度に画面の端から大人の手が伸びてきて支えたり小突いたりしていた。 
声は一切しない。その映像が10分くらい続いて、従兄弟と何コレと言いながらも何故かそのまま見入っていた。
やがて竹林が途切れ広い場所にきた。陽が射し込んでいる。 
中心部近くに大きな穴が掘ってあった。少女がその縁までくると後ろから両手が背中を押して穴へ落とした。
ジーパンを穿いた足が現れ土を穴に落としていく。 
その間少女は身動きせず背中に土が被さるに任せていた。顔は横を向いていたが暗くてよく判らない。 
俺達は黙りこくって画面を見つめていた。後から思うと金縛りみたいなものだったかも知れない。 
ついに縁まで土で埋まった。足はその上を入念に踏み固めた。そこまで見て俺は急にやばいと感じた。このままだとまずいことになる。
手を伸ばし停止ボタンを押した。しかし映像は消えない。 
「ああヤバい」 
かすかに声が漏れた。すると隣に座っていた従兄弟が前に倒れ込むようにしてテレビに近づいた。次の瞬間映像が回転したようになり空が斜めに映って、消えた。 
「早く取り出して」 
俺が叫ぶと従兄弟はテープを出そうとしたが、中で絡まってて取り出せない。無理に引っ張り出すとぐじゃぐじゃになったテープがズルズルと伸びてきた。 
俺たちがパニックになっていると親父が帰ってきて何やってんだとテープをハサミでちょんぎった。その後テープは改めて元の空き地へ捨てた。

【洒落怖】【怖い話】裏S区

九州のある地域の話。 
仮だがS区という地域の山を越えた地域の裏S区って呼ばれてる地域の話。 
現在では裏とは言わずに「新S区」って呼ばれてるがじいちゃん、ばあちゃんは今でも裏S区と呼んでる。
まぁ、裏と言うのは良くない意味を含んでる。 
この場合の裏は部落の位置する場所を暗に表してる。 
高校時代は部落差別の講義も頻繁にあるような地域。そこでの話。 
(あくまで体験談&自分の主観の為部落差別、同和への差別の話ではありません) 


今から何年か前に男の子(仮にA)が一人行方不明になった。(結局自殺してたのが見つかったけど) 
俺はS区出身者。彼は裏S区出身者だけどS区の地域にある高校に通ってた。 
まぁ、彼は友人だった。あくまで「だった」だ。 
1年の頃は仲良かった。彼が一人の生徒をいじめるまでは。 
いじめられたのは俺。周りはだれも止めない。止めてくれないし、見てもない。傍観者ですらなかった。 
必死にやめてと懇願しても殴る、蹴る。俺は急に始まったから最初はただの 
喧嘩と思い殴りあったが、彼の体格と俺のでは全く強さが違う。 
でも、次の日も急に殴ってきた。意味も無く。理由を聞くも答えない。 
薄っすらと笑ってたからもう兎に角怖かった。 

ある日いきなりAが学校に来なくなった。俺はかなりうれしかった。 
でも、もうその状況では誰も俺に話かける奴はいなかった。初めての孤独を味わった。 
多数の中に居るのに絶対的な孤独だった。それからAが3週間学校を休んだある日、先生が俺を呼び出した。 
ここからは会話 

先生「お前Aと仲良かっただろ?」 
俺 「いえ・・。」 
先生「う~ん・・・。お前Aをいじめてないか?」 
俺 「はい??え?俺が??それともAが俺を???」 
先生「いや、お前が。大丈夫誰にも言わんから言ってみろ。問題にもせんから」 
俺 「いや、俺がですか???」 

このときは本当に意味が分からなかった。先生の中では俺がいじめてることになってるし。 
で、俺は本当のことを言うことにした。 

俺 「本当は言いたくなかったけど、俺がいじめられてました・・。皆の前で殴る蹴るの暴力を受けてましたし・・・。」 
先生「本当か??お前が??他の生徒も見てたか??」 
俺 「見てましたよ。っていうか何で先生は俺がいじめてるって思ったんですか?誰かが言ったんですか?」 
先生「いや・・・。いや、何でも無い。」 


先生の態度がこの時点で明らかにおかしい。何故か動揺してる感じ。それから数分二人とも無言。 
その数分後にいきなり先生が言い出した。 

先生「Aがな、休んどるやろが?なしてか分からんけど、登校拒否みたいな感じでな家に電話しても 
   親がでておらんって言うてきるんよ。」 
俺 「・・・。」 
先生「そんでな、昨日やっとAと連絡とれて、色々聞いたんよ。そしたらAが言ったのがお前が怖いって言うんよ。」 
俺 「はい??俺が???」 
先生「う~ん・・・。そうなんよ。お前が怖いって言って聞かんのよ。」 
俺 「いやいや、俺が?逆ですけどね。俺はAが怖いし」 
先生「ほうか、いや、分かった。もっかい聞くけどお前はいじめてないな?」 
俺 「はい。」 

って言うやりとりの後解放されて、自宅に帰った。 

実際のイジメって多人数を1人でイジメルものだと思ってた。中学生の時にイジメを 
見たことあったからそのときのイメージをイジメだと思ったし、よく聞くイジメも 
大体が多人数が1人にお金をたかる、トイレで裸にする。こういうことをすることだと 
思ってた。まさか、たった一人の人間がたった1人の人間をイジメルのに先生まで巻き込み 
俺一人だけをのけ者にしようとしてるとは思わなかった。 
生まれて初めて人に殺意を抱いた。ぶん殴るとかじゃなく、ぶっ殺したい。って本気で思った。 

その次の日から俺は学校を休んだ。行く気にはなれんし、行っても一人だし。と思って。 
ただ、この登校拒否中にありえないものを見てしまい、俺はちょっと頭がおかしくなりかけた。 
起こったのは、「飛び降り自殺」 
俺の住んでたマンションから人が飛び降りた。たまたまエレベーターホールでエレベーター待ちだった 
俺の耳に「ギぃーーーーー」って言う奇怪な声と、その数秒後に「どーーーーん!」っていう 
音。 
そのどーんっと言う音は自転車置き場の屋根に落ちたらしいのだが、それを覗き見たときは本当に吐き気と涙がボロボロ出た。
これはただの恐怖心からなんだが、でもイジメにあっていた俺にはとてつもなく多きな傷だった。
これは本当にトラウマになっていて今でもエレベーターに乗れなくなった。
会社とかにある建物の中にある奴はまだ何とか乗れるが、 
マンションにあるような外の風景が見えるものには全く乗れなくなった。 
なぜならこのときに絶対ありえないものを見たから 

自転車置き場を見下ろしてた俺が前を向きなおした瞬間に螺旋階段が見えた。 
そこに下に落ちてる人間と全く同じ服で髪型(これは微妙で下にあるモノとは異なってたようにも見える) 
のニンゲンが立ってた。これは多分見てはダメだったんだと思う。
螺旋階段を下に向かってゆっくり 
降りていってたんだ。すごくゆっくり下を向いたまま歩いてた。下にあるものと瓜二つのニンゲンが。 
ここでエレベーターが来たときの合図の「ピン」って音が鳴ったんでビク!ってなり後ろを振り向いた。 
そこにも居た。と思う。多分いたんだろう。でも良く覚えてない。
今考えれば居たのか?と思うけどそのときは居たって思ってた。
「ピン」の音に振り返った瞬間にどーんって再度聞こえたんだ。 
でも、今度の音はエレベーターの中から。どーん、どーーん。どーーーん。どーーーーん。って 
俺はもう、発狂状態になってそれから倒れたみたい。 

直ぐに病院に連れて行かれた。見たもの、聞いたものを全て忘れるように医者から言われて薬も 
処方されてそれから1週間は「うぅぅ」ってうめき声を上げてるしかなかった。 
1週間過ぎぐらいにはだいぶ良くなっていたのだけど、本当は親や医者をだましてた。 
よくなってなんか無かった。寧ろそのときからその「どーん」って音はずっと着いて廻ってた。 

その後、学校に行こうと思いだしたころにAの存在を思い出した。俺がそもそもこんな事になったのもAのせいだ。
あいつがあんなイジメをしなければこんな目にもあわなかった。
アイツは俺をこんな目にあわせる様な奴だから居なくなればいい。そうだ、この「どーん」って言う音に頼もう。 
って本気で思ってた。俺は本当におかしくなってたんだと思う。本気でこの「音」の主に 
お願いしてた。 

次の日に学校に行った俺は昼休みの時に早退したいと先生に言った。先生も俺がどういう状況かを 
知っていたからすぐにOKを出してくれた。Aはその日も休みだった。 
その帰りがけに先日部落差別を無くそうという話を学校でしていた(講義で)、おじさんに出会った。 
そのおじさんはAのおじさんに当たり何度か会って話したこともあった。
だけどそのおじさんが俺を見た後からの様子や態度が 
明らかにおかしい。最初見かけた時は普通に挨拶をしたのにその後俺を二度見のような感じで見て 
いきなり、「あ~・・・。」とかいいだした。
俺は「こいつもAに何か言われてんのか?」って感じで 
被害妄想を爆発させて怪訝な態度のこのおじさんを無視して横切っろうとしてた。 
そのときに急にそのおじさんがブツブツブツブツお経のようなものを唱え始めた。 
俺はぎょっ?!っとして、そのおじさんを見返した。いきなり、あって「あ~」などと 
わけのわからない態度を取り出し、それだけならまだしも俺にお経を唱えたのだ。 

生まれて初めて自分から人をぶん殴った。
言い訳がましいけど精神的におかしかったから殴る事の善悪は全くなかった。ただ、苛々だけに身を任した感じ。
いきなりでびっくりしたのかそのおじさんもうずくまって 
「うぅ。。」って言ってたが無視して蹴りを入れてた。Aの親戚ってだけでも苛々してたのもあり、 
「こら、お前らの家族は異常者のあつまりか?人を貶めるように生きてるのか??お前差別をどうの 
こうの言ってたが自分がする分にはかまわんのか?あ~??何とか言えや。こら!お前らは差別される 
べき場所の生まれやけ、頭がおかしいんか?」って感じでずっと蹴り続けてた。でも、ここで再度予想外のことが起きた。 
以下会話。 

おじさん「ははははははははは」 
俺 「!?なんか気持ち悪い。いきなり笑い始めやがって!」 
おじさん「あははははは。お前か、お前やったんか。はははは」 
俺 「??まじ意味分からん、なんがおかしいんか?」(未だ蹴り続けてたけどこの時は大分蹴りは弱くなってる。) 
おじさん「ははは、やっと会えたわ。はははそりゃAも****やなー。ははは」(何を言ってるのか意味不明。) 
俺 「は???お前ら家族で俺をイジメようてしよったんか?」(この辺りで怖くなって蹴らなくなってた) 
おじさん「おい、お前がどうしようが勝手やけど、○○←俺の名前 が痛がるぞ。アニキは許しても俺は見逃さんぞ」 
俺 「は???マジでお前んとこはキチ○イの集団なんか?おい?」 
おじさん「○○君、ちょっと黙っとき。おじさんが良いって言うまで黙っとき」 
俺 「いや、意味わから・」「どーーーーーん」 

いきなり耳元で音が鳴った。俺はビクってして振り返ったら目の前にのっぺりとした 
細面の顔が血だらけのままピクピクしながら笑ってた。俺はまた、発狂した。 
この顔の見え方がかなり異常で、通常ニンゲンの顔を見る場合に半分だけ見えるって言うのはありえない。
でもこの目の前の顔は、例えていうとテレビ画面の中にある顔がカメラのせいで半分だけ途切れてて半分は見えてる状態。 
その瞬間にAのおじさんに力いっぱい殴られて、意識を失った。 

起きた時に、俺は家の自分の部屋ではなくてリビングの隣の両親の寝室で寝かされてた。 
時間を見たら20時。リビングからの明かりが漏れてて両親が誰かと話しをしてた。 
俺が起き上がり、寝室のドアを開けてその人物を見たときにすぐに飛び掛った。 
AのおじさんとAの叔母に当たる人がそこに座って両親と話てたから、それを見た瞬間にもう、飛び掛ってた。
直ぐに親父に抑えられてたけど俺は吼えてたと思う。 
Aのおじさんは「ごめん、本当に悪かったね」を繰り返してたけど、どうしても許せなくて 
親父の腕の中でもがいてた。母親がイキナリ俺の頬をひっぱたいて、「あんたも話しを聞きなさい!」 
とか言い出してたけど、俺はもう、親にまで裏切られた感じがして家を飛び出そうとして 
親父の手から抜け出し、自分の部屋に向かい上着とサイフをとった。
が、上着を羽織ろうとした瞬間に上着の腕の中に自分以外の手があった感触がして再度叫んだ。 
両親とAのおじ、叔母が直ぐに来て、Aの叔母がブツブツ言いながらお経みたいなものを唱え始めだして 
おじが俺の服を掴んで踏み始めた。親父は青ざめてそれを見てて、母親は一緒に手を合掌して俺を見てた。
この時は、マジで自分が狂人になったのかと思った。 

数分後俺も落ち着いてきて、両親とAのおじ、おばと共にリビングへ向かった。 
それまでの短い時間、Aのおじさんはずっと俺に謝ってた。 
それからのリビングでの話しは今でも忘れられないしそこで再度起こったことも 
忘れられない。以下会話(Aのおじさん=Bさん、Aのおばさん=Cさん とする) 
Bさん「本当に、殴ってしまってごめんな。」 
俺 「いや、いいです。こちらも苛々してましたのですみません。」 
親父「ん?お前なんかしたんか?」 
俺 「いや、俺がBさんを殴ってしまった。」 
Bさん「あ、いや、それは俺が○君を見ていきなりお経とか唱えたから嫌な気がしたんやろ? 
    ○君のせいじゃないわ。俺がいきなりすぎたんがいけんかったやから」 
親父「申し訳ございません、それは聞いてなかったので」 
俺 「え?なんの話をしよん?俺がBさんを殴ってBさんがいきなり」 
  ここまで言って気絶前の事を思い出した。 
俺 「あれ??俺気絶する前にナニカ見たわ・・・」 
Bさん「うん、そやろな・。俺は○君みて直ぐに気づいてなぁ。何かおるって、それでお経を唱えたんよ」 
母 「大丈夫なんですか?何かって何ですか?」 
Cさん「えっとね、私らが住んどる地域がなんで裏S区って言われるか知っとる?」 
親父「えっと、失礼かもしれませんが、差別的な意味ですよね?」 
Bさん「それはそっちだけの認識やな、じいさん、ばあさんによう言われたやろ?裏Sには近寄るなて」 
親父「言われましたね。でもそれは部落差別的なもんやと思ってましたけど、違うんですか?」 
Bさん「いや、そうや。そうなんやけど、差別があるけ言うても今も言い続けよるんは裏Sの歴史が 
    ちと異常なんや。」 
親父「いや、私も妻も生まれはS区やからその辺は分かってますけど、部落とか集落系での差別って 
   どっこも同じようなものでしょ?だから、異常っていうのはわかります。」 
Bさん「はは。そうやろ?そういう風にとらわれてしまってるんやな。裏S区は部落やからって事でも 
    他国のモンの集まりでもなく昔からこの地域に住んでたモンの集まりなんや。」 
親父「はい。ただ、違いが私にはちょっと・・。」 
母 「あれですか?あの鬼門がどうのとかって言う話ですか?」 

Bさん「ん?鬼門の話か。まぁ、そんな感じなんやろうけど、裏Sにうちと同じ苗字が多いやろ?」 
母「はい。多いですね、A君とことBさんの家は親戚やから当たり前やけど、それにしても多いですね、 
  S区には全然いないのに裏S出身者では結構みかけますしね」 
Bさん「あの辺は昔から霊の通り道って言われとんな。ナメ○○○(なんて言ったかは不明)とかそんなの聞いたことないですか?」 
親父「いや、名前はしらないですけど、聞いたことはあります」 
Bさん「まぁ、その地域はそういう地域でして、うちらの家系はほとんどが霊感があるっていわれてたんですね。 
    それが原因で発狂する奴もおれば、いきなり何するかわからんって感じでいつの間にかそういう集落、 
    部落になっていき差別されるようになったんですわ。 
母 「でもそれやと裏S区はかなり広いからおかしくないですか?Bさんとこの家系だけで裏S区自体が 
   そういう風にわかれるますかね?」 
Bさん「うん、わかれるんやろうな。最初は3,4の家のもんが発狂し始めてて、でも、それが村中で始まって 
    ってなってって最終的に4,50件も起きれば、その周辺全体がおかしいって思われるやろうし 
    昭和の時代にそんなアホみたいな話を信心深く聞く人間が少なくなってきてるしな」 
親父「それでも、それで部落になるんかなぁ。」 
Cさん「まぁ、うちらの家系ではそう教わっとるんです。だから生まれてきた子らには霊が見えるってことを 
    前提に接しとる。見えん子もおるやろうけど、霊は居るって教えとるんですよ」 
俺 「いや、それと俺が体験しとるのとBさんの話と何が関係するんですか?」 

Bさん「○君。最近Aの様子がおかしくなかった?いきなり学校休んでるのは置いといてそれ以外に 
   なんかおかしいことなかった?」 
俺 「最近っていうか、わからん。急に殴りかかってきたりしてたけど。」 
Bさん「急にか、なんも言わんかったか?」 
俺 「いや、急に。意味わからんし。あ!そういうことか。Aが急に異常になったってこと? 
   霊が見え初めて発狂し始めたんっすか?」 
Bさん「いや、Aはまともや。でも何をすればいいかわからんかったよ」 
俺 「は?まともじゃないっすよ。あいついきなり殴り始めたし、しかも笑いながら。皆怖がって 
   俺を助けようともせんかったし」 
Bさん「○君、殴られたときに怪我するようなこと受けてないやろ?いや、殴る事自体は悪いことやから 
   庇ってるんじゃなくてな。うちの家系での霊を見つけたときの対応は笑う事なんよ。やけん、異常者 
   に見られることもあるけど、普通は無視してるんやけどな。」 
母 「ってことは、○に霊がついてたって事ですか??」 
Cさん「うん、今も憑いてる。それと○君ベランダに誰か見える?」 
俺「はい??なんですか?ベランダですか?」 

ここで俺は気絶するまえに見たモノとは別のものを見て発狂しそうになった。 
Cさん「大丈夫。絶対にココには入れんから。」 
親父「え?なにがですか?」 
親父には見えてないし、もちろん母にも見えてない。 
Bさん「あ、いえ。それでね○君にはちょっと憑いてるんや。」 
俺 「あ、あれか。。。飛び降りの奴みてしまったからか。。」 
Bさん「いや、ちがうよ。あれは多分たまたま。本当に偶然。でもその偶然がベランダの奴で 
  それ以外についちゃだめな奴が憑いとる。」 
俺「 え?」 
Bさん「うん、それがついちゃだめなんよ。厳密に言うと霊とかじゃなく、うちの家系では×××× 
   って言うんよ。それを言葉には出しちゃだめですよ。すぐ移るから」(両親を見て) 
母「××××」(なんて言ったか忘れた・・・、バラ??なんとかだったけど不明。) 
俺「!?」母「これで私についたけん○は大丈夫でしょうか?」 
Bさん「いや、そういうもんでもないけど、本当にそれは言わないでください」 
母「息子が困るのは一番いやですから」 
Bさん「多分、それをするともっと困ります」 
俺「もう、やめていいよ。っていうかなんなん?俺が霊に呪われててAはそれみて俺をなぐってたん? 
  でも、それはおかしいやろ。そんなんします?普通。っていうか、笑いながら殴ったらいいん?霊が 
  追い払えるん?」(ちょっと困惑しててまくしたてた) 
Cさん「ごめんね、そういう風にしか教えてなかったからやったんやろうね」 
Bさん「お払いするときにはな、絶対に笑いながら相手を追い出すんよ。こっちは余裕だ、お前ごとき 
  って感じで。んで憑かれてる者を叩くと憑いてるものが逃げ出すって感じなんよ。もちろんお経やったり 
  お呪いやったりが必要なんやけど、あいつは見様見真似でやってしまったんやろうな」 
俺「でも、あいつ蹴ったりもしたし」 
Bさん「うん、それは行き過ぎやな。でも、Aが学校休んでる理由は○君が怖いって。まぁ、○君に憑いてる者が 
   怖いってことなんやけどな。」 


それから数分そういう話をした後にCさんが御祓いすつための道具を駐車場に取りにいって、Bさんが 
俺を守る形で周りを見張ってた。その後準備が整い、御祓いが始まったけど、今まで見たどの御祓い方法 
よりも異常だった。神社のような御祓いでもなくお寺のようにお経を唱えながら木魚を叩いてるわけでも 
無い。ただただ笑いながらお経を読んでる感じ。
そのお経もお経という感じではなくブツブツブツブツを繰り返してて小声でただ話してるような感じだった。
それから何度か手を叩かれたり、頭を払われたりした。 
それが終了してBさんが、「もう大丈夫」と俺に言いCさんが「もう見えないでしょ?」っていうのでベランダを恐る恐るみてみたが何も無かった。 

次の日から俺は普通通りに学校に行くようになった。(ただし、エレベーターは一人で乗ることが出来ない 
ためいつも親と一緒に乗ってた・・・。) 
ただし、この日Aに異常が起きたらしく、その日の夜に「Aが居ないんだけど○君の家に行ってないか」という連絡 
がAの父親からあり、次の日からBさんやAの両親が捜索願いを出して探してたらしいが、家に家出をするといった感じの 
手紙が置いてあり家出人の捜索のため警察が捜索をするということは無かったらしい。 
Aの親が電話をしてきた理由は、その手紙に俺の名前が何個も書かれていたこと。が起因らしい。 
俺は霊がのりうつってたからと言う理由があったからと言ってAを許してはなかったから 
どうでもいいって思ってた。 
Aが行方不明になって3日目の朝にどーーーん!っていう音が聞こえて起きた。 
俺はもう、そんなことがないと思ってたから本当に汗がびしょびしょになり直ぐに親の部屋に逃げこんで 
少したって夢での出来事だったことに気付いた(というかそういう風にした) 
ただ、その日にAが飛び降り自殺をしており時間帯も朝方であったと聞いてその夜から怖くなってきて一人で寝ることが出来なくなった。
遺書が見つかって居る事から自殺で間違いないようで、遺書の中に俺宛の部分があり 
「ごめん、本当にわるかったね。多分俺らの家系は部落でちょっと頭がおかしい家系が多いんやと思う。 
自分の家系のせいにしたくないけどお前を殴ったのは本当に悪かった。ごめん。」って書かれてた。 

それからその次の夜にお通夜があり俺も両親とともに行ったのだが、俺はすごく嫌がってた。
ただ親が「一応供養だけはしとかな変なことあったら嫌やろ?」って言うので仕方なく行くことになった。 
お通夜もかなり変わっており、通常のお通夜とちがい遺影など無くその代わりに紙にAの名前が書いており 
それを御棺の側面にびっしり貼り付けていて、近づくのも嫌になるような不気味さを漂わせてた。 
Bさん曰く「写真を置くと写真の顔が変形するんだよ、それを見るのが耐えれないほどの奇怪なモノだから 
この地域ではこういうやり方でやるんだ。名前の書いた紙をびっしり貼ってるのはコイツはAだ。××××では 
ないんだ、っていう証なんだ」との事。(本当に意味不明、奇怪すぎる内容にひいた。) 
その時Aの父親が俺に話かけて来て「迷惑かけてごめんね。」とAが家出したときに書いた手紙と遺書を見せてきた。 
遺書の部分は上記の通りだが、この時は本当は見たくなかった。 
家出をした際に書かれた手紙には「○←俺の名前 にあいつが憑いてたんだけど、ずっと俺を殺そうと見張ってる。 
おじさん(Bさんのこと)が○のあいつを御祓いしたからもう大丈夫って言ってたけど、あいつは俺に来たみたい。
でも、おとうさんはあいつを御祓いできないだろうし、おかあさんの家に行ってきます 
行く道であいつがついてきたら、他に行ってみるね。」とあった。 
Aの両親は別居中だったためAは母親方の実家に向かったらしかったがそのまま行方不明になったらしい。 
ただ、何故か警察は家出だと言って行方不明というよりは家出人としてしか扱わなかったそうだ。 

それは本当に見なかったほうが良かったって思った。あいつとか書かれてるし、意味も不明なので 
その日までの現実離れした出来事をかなり思いだされて怖さで震えてきた。Aの自殺した時間が 
朝方だったことも怖さをましてココには居たくないって本気で思った。 
俺がおかしかったんじゃなく、こいつらが異常だって思った。
お経も無く変な平屋のような場所に棺桶が置かれておりびっしりとAの名前が書かれた札を貼っていて、
その挙句親戚の何人かは笑っているのである。
韓国だかどこかで泣き子といって泣くだけの為に葬式に参加してるってやつがいるって 
気味の悪い話も聞いたことがあるけど、この集落に伝わる葬式も気味が悪いを通り越して異常でしかなかった。 
うちの両親もさすがにこの状況は怖かったらしく、「もう、かえるか」と挨拶も早々に切り上げた。 


それから数日後にBさんが両親に言ったのが俺に憑いてたのはAのおばあさん(つまりBさんの母親)が 
××××になって(霊だろうけど、そうは言わなかったので)憑いてたとのこと。
もう、そんな話はどうでも良いから聞きたくも無かったけど、聞いといてとの事なので聞かされた。 
飛び降り自殺をしたニンゲンも裏S区出身者で××××に追いかけられてた事。俺に取り憑いた理由は 
わからないが、以前Aの家に行った時についたのかもとの事。等を聞かされた。 
そこで俺も怖いと思ってたことを2つ聞いた。 
1つ目はBさんに殴られる前に見た 顔 
2つ目は飛び降りしたはずの人間が階段に居て下の遺体のもとに駆け寄ろうとしてたがアレは何なのか 

そうするとBさんは 
2つ目については「死んだ人間は死んだことを分からない事が多い。 
だから下に自分が居たので取りに行こうとしたんじゃないかな」との事。 
ただ、そこで邪魔をされると呪いをかけようとするとの事。 
ここで俺は邪魔をしてないと口を挟んだところ、 
「お前、エレベーターを呼んだだろ? 
「ピン」って音が邪魔なんだよ。」ってBさんの口調がかなり強い言い方に変わった。 
本当に飛び跳ねそうになった。俺の両親もかなりびびってきてた。 
Bさんはその口調のままいった。 
「お前なぁ、見ちゃだめだろ?俺はいいがお前はだめだろ?見んなよ。俺をみんなよ。 
なぁ?おい。聞いてるか?おい?」って感じで。さすがに親父が怒って 
「何言ってんだ?怖がらせてどうする!」というとBさんがビクンってなって、 
「あ、ごめんなさい。もうしわけない、ちょっと来てたので聞いてみようと思ったんです、もうしわけない」 
って言い出して口調を戻した。 
「見てはダメだったと言っても見たくて見たんじゃないから、もういいだろ?な。」と自問自答を繰り返し 
その後俺に向かって「もう、絶対に大丈夫、本当に申し訳なかった。この亡くなった奴も××××に 
追いかけられてて、○君にのりうつってたあいつに怒ってしまって、○君のとこに着たみたい」 
との事 

1つ目の質問については 
「それが××××」との事(この名前はもしかしたら日本語とかでは無いか、もしくは方言なのかなぁ 
とこのときに思った。) 
そしてAのおばあさんが××××になってしまった。でもAの父親が自分の母を消すのは心許ないとの 
事で御祓いを避けてたとの事。ただしAが亡くなってしまったため流石にもう腹を決めたらしく 
御祓いを昨日済ませたとの事。等を聞いた。 
そしてBさんが帰るとの事だったので玄関で見送りした 


Bさんが玄関を出た直後に、いきなりBさんの笑い声が聞こえた。 
「あはははははは。ははははは」 
って。 
俺はびくっ!ってなり膝から崩れた。親父は「やっぱりあそこの連中はおかしいわ」と怖さからか 
それとも本当に怒ってるのか怒鳴る感じでそういってた。 
母は「もう、あの人らに関わるのはやめようね」と言い出して涙目になってた。 
あんな話をしてて、笑いながら御祓いすると聞いてても流石に家を出た瞬間に 
あんな笑い声を張り上げている奴を同じ人種とは思えない。 
「あはははははははは」と笑っててその声が聞こえなくなって初めて三人とも動けるようになり、リビング 
に戻った。俺が「あいつらはおかしいよ、絶対異常やって。っていうかあいつエレベーターで帰ったんやろうか?」 
と言ったら、親父が「あいつとか言うな、一応年上やろうが。はぁ。。。もう、関わらんようにしとけ」と 
言って鍵を閉めに行った。 
その直後に「はやくかえれ!!」っていう怒鳴り声が聞こえて 
心臓が止まりかけた。母親も「ひぃ」ってなってた。 
親父が鍵を閉める前に夕刊が郵便受けに入っており、それを中から取ろうとしたら 
上の部分に引っ掛ってしまっており外から取ろうとしたらしい。
しかし、Bさんがまだエレベーターホールでニヤニヤしてたらしい。親父はぶち切れてて「警察よぶぞ!」 
とか言い出しており(怖かったんだと思う)横の家の人とかも出てきて、Bさんは 
「え、い、いや、今帰ろうとしてたとこです。え?なんですか?」とか言ってたらしい。 
言った瞬間に又ケタケタと笑い始めてエレベーターに乗って帰ったらしい。 
(親父が「塩まけ。塩!」と言い出し狂ったように塩をまいていたので隣人からしたら親父も異常にみえたかも。) 

その後両親と一緒に有名な神社に行って御祓いを受けて、家を引っ越した。 
S区からは移動してないため同じ学校の地域だったが俺は他の地区の学校に転入をしてもらい
それ以降は一切裏S区には近づいていない。 
今は新S区と名前を変えてるが地域性自体は変わってないようであり、 
従兄弟の通うS区の学校では、未だに同和教育があり地域は言わないものの差別的な事が現実にあると教えてるとの事。
しかしアクマで部落、集落への差別としか言わず、裏S区の事情、情報は皆無で裏S区と呼ぶと教師が過敏に反応し新S区だ。
と言い直したりとかも 
するそうである。(これは九州特有の人権主義、日教組等によるものだと思うけど。) 
Bさんに関しては一切関わりを絶っているため今はどうなってるかは不明。 

うちの両親はこの事件までは裏S区に関しての差別意識は皆無だったが、これ以降は 
かなり毛嫌いしており、その地域の人達との関係をかなり制限してる。 
俺はそれ以降霊的な出来事は皆無だけど、エレベーターだけは一人で乗れず 
はずかしながら一人で寝ることも出来ないので妻にすごく馬鹿にされている状態。 
終った直後の頃はトイレに行くときも親を起こして(高校生なのに。。。)一々行ってた位に 
心身が恐怖で埋まってた。俺に関しては裏S区の出身と聞くと差別というよりも恐怖だけが全身を駆け巡り話も出来なくなる。 

【洒落怖】【怖い話】八尺様

親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある。 
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗る 
ようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。 
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。 
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。 
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。 

春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。
まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。そうしたら、 

「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」 

と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。
それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。 
何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。
生垣の上に置いてあったわけじゃない。
帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで 
来ると、一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。 
女性は白っぽいワンピースを着ていた。 

でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ… 
驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。 
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。 


そのときは、もともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたか、踵の高い靴を履いた背の高い男が女装したかくらいにしか思わなかった。 

その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。 
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」 
と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、 
「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」 
と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。いや、本当にぴたりと止った。 

その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」 
と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。 
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にある電話まで行き、どこかに電話をかけだした。
引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。 
ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。 

じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、 
「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。 
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。 
と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行った 
わけじゃなく、あちらから現れたわけだし。 

そして、「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」 
と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。 

ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、 
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」 
と震えた声で言った。 
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してくれた。 

この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。 
八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。 
人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高いことと頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。 
昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。 
この地区(今は○市の一部であるが、昔は×村、今で言う「大字」にあたる区分)に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。 
八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。 
最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前。 

これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。
八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西 
南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。 
もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。 
八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。 


そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。 
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。 

「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」 
Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。 
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。 
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。 
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。 

しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。 
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、四隅には盛塩が置かれていた。 
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、その上に小さな仏像が乗っていた。 
あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。これで用を済ませろってことか・・・ 

「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。
そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」 

と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。 
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」 
とKさんにも言われた。 

テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛れない。 
部屋に閉じ込められるときにばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。 

そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか忘れたが深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。 
(この頃は携帯を持ってなかった) 

なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた。
小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。 
風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、必死に風のせいだ、と思い込もうとした。 
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。 

そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。 
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」 
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。 
また声がする。 
「どうした、こっちに来てもええぞ」 

じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。 
どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に全身に鳥肌が立った。 
ふと、隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。 

一目散に仏像の前に座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈 
りをはじめた。 

そのとき、 

「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」 

あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。 
そこまで背が高くないことは分かっていたが、アレが下から手を伸ばして窓ガラスを叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。
もうできることは、仏像に祈ることだけだった。 

とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、つけっぱなしの 
テレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は確か七時十三分となっていた。 
ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうちに止んでいた。 
どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。 
盛り塩はさらに黒く変色していた。 

念のため、自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを 
開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんとKさんがいた。 
ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。 

下に降りると、親父も来ていた。 
じいちゃんが外から顔を出して「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、どこから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。そして、庭に何人かの男たちがいた。 

ワンボックスは九人乗りで、中列の真ん中に座らされ、助手席にKさんが座り、 
庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、八方すべてを囲まれた形になった。 

「大変なことになったな。気になるかもしれないが、これからは目を閉じて下を向いていろ。
俺たちには何も見えんが、お前には見えてしまうだろうからな。
いいと言うまで我慢して目を開けるなよ」 
右隣に座った五十歳くらいのオジさんがそう言った。 

そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、後に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。
車列はかなりゆっくりとしたスピードで進んだ。おそらく二十キロも出ていなかったんじゃあるまいか。 

間もなくKさんが、「ここがふんばりどころだ」と呟くと、何やら念仏のようなものを唱え始めた。 

「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」 

またあの声が聞こえてきた。 
Kさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ、下を向いていたが、なぜか薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。 

目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。 
あの大股で付いてきているのか。 
頭はウインドウの外にあって見えない。
しかし、車内を覗き込もうとしたのか、頭を下げる仕草を始めた。 

無意識に「ヒッ」と声を出す。 
「見るな」と隣が声を荒げる。 

慌てて目をぎゅっとつぶり、さらに強くお札を握り締めた。 

コツ、コツ、コツ 
ガラスを叩く音が始まる。 

周りに乗っている人も短く「エッ」とか「ンン」とか声を出す。 
アレは見えなくても、声は聞こえなくても、音は聞こえてしまうようだ。 
Kさんの念仏に力が入る。 

やがて、声と音が途切れたと思ったとき、Kさんが「うまく抜けた」と声をあげた。 
それまで黙っていた周りを囲む男たちも「よかったなあ」と安堵の声を出した。 

やがて車は道の広い所で止り、親父の車に移された。 
親父とじいちゃんが他の男たちに頭を下げているとき、Kさんが「お札を見せてみろ」と近寄ってきた。 
無意識にまだ握り締めていたお札を見ると、全体が黒っぽくなっていた。 
Kさんは「もう大丈夫だと思うがな、念のためしばらくの間はこれを持っていなさい」と新しいお札をくれた。 

その後は親父と二人で自宅へ戻った。 
バイクは後日じいちゃんと近所の人が届けてくれた。 
親父も八尺様のことは知っていたようで、子供の頃、友達のひとりが魅入られて命を落としたということを話してくれた。 
魅入られたため、他の土地に移った人も知っているという。 

バンに乗った男たちは、すべてじいちゃんの一族に関係がある人で、つまりは極々薄いながらも自分と血縁関係にある人たちだそうだ。 
前を走ったじいちゃん、後ろを走った親父も当然血のつながりはあるわけで、少しでも八尺様の目をごまかそうと、あのようなことをしたという。 
親父の兄弟(伯父)は一晩でこちらに来られなかったため、血縁は薄くてもすぐに集まる人に来てもらったようだ。 

それでも流石に七人もの男が今の今、というわけにはいかなく、また夜より昼のほうが安全と思われたため、一晩部屋に閉じ込められたのである。 
道中、最悪ならじいちゃんか親父が身代わりになる覚悟だったとか。 

そして、先に書いたようなことを説明され、もうあそこには行かないようにと念を押された。 

家に戻ってから、じいちゃんと電話で話したとき、あの夜に声をかけたかと聞 
いたが、そんなことはしていないと断言された。 
――やっぱりあれは… 
と思ったら、改めて背筋が寒くなった。 

八尺様の被害には成人前の若い人間、それも子供が遭うことが多いということ 
だ。まだ子供や若年の人間が極度の不安な状態にあるとき、身内の声であのよ 
うなことを言われれば、つい心を許してしまうのだろう。 

それから十年経って、あのことも忘れがちになったとき、洒落にならない後日談ができてしまった。 

「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通じる道のものがな」 

と、ばあちゃんから電話があった。 
(じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえなかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言っていたという) 

今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。 
「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと…

【洒落怖】【怖い話】みっつの選択

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、 
いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。 

今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。嘘をつきながら喋る。 
そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。 
くだらないゲームだ。 
だけど、そのくだらなさが良かった。 

トップバッターは僕で、この夏ナンパした女が妊娠して実は今、一児の父なんだ、という話をした。 
初めて知ったのだが、嘘をついてみろ、と言われた場合、人は100%の嘘をつくことはできない。 
僕の場合、夏にナンパはしてないけど当時の彼女は妊娠したし、一児の父ではないけれど、 
背中に水子は背負っている。 
どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。見抜けないからこそ、楽しい。 
そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。 
そいつは、ちびり、とビールを舐めると申し訳なさそうにこう言った。 

「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ、作り話をするよ」 

「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」 
「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」 

そう言って姿勢を正した彼は、では、と呟いて話を始めた。 
僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。 
どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていない。 
ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。 
しばらく呆然としながら状況を把握できないままでいたんだけど、急に天井のあたりから声が響いた。 

古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。 
声はこう言った。 


『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。 
歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』 

って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側にはドアがあったんだ。横に赤いべったりした文字で 

『進め』 
って書いてあった。 

『3つ与えます。 
ひとつ。右手のテレビを壊すこと。 
ふたつ。左手の人を殺すこと。 
みっつ。あなたが死ぬこと。 

ひとつめを選べば、出口に近付きます。 
あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。 
ふたつめを選べば、出口に近付きます。 
その代わり左手の人の道は終わりです。 
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、 
あなたの道は終わりです』 

めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。 
馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。 
それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。 
それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。 
そして僕は考えた。 
どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、一番近くのよく知る命か。 
進まなければ確実に死ぬ。 
それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。 
何も分からないまま死にたくはない。 
一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。 
寝袋の脇には、大振りの鉈があった。 
僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ 
動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。 
ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。 
次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。 
ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。 
もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。 
右手のテレビの画面からは、色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼でこちらを覗き返していた。 
次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。床にはやはり紙がおちてて、 
そこにはこうあった。 

『3つ与えます。 

ひとつ。右手の客船を壊すこと。 

ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。 

みっつ。あなたが死ぬこと。 

ひとつめを選べば、出口に近付きます。 
あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。 

ふたつめを選べば、出口に近付きます。 
その代わり左手の人の道は終わりです。 

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、 
あなたの道は終わりです』 


客船はただの模型だった。 
普通に考えれば、これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。 
けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。 
理由なんてないよ。ただそう思ったんだ。 
僕は、寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、用意されてあったマッチを擦って灯油へ放った。 
ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。 
僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら、鍵が開くのをまった。 

2分くらい経った時かな、もう時間感覚なんかはなかったけど、人の死ぬ時間だからね 。たぶん2分くらいだろう。 

かちゃ、という音がして次のドアが開いた。 

左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった。 

次の部屋に入ると、今度は右手に地球儀があり、左手にはまた寝袋があった。 
僕は足早に紙切れを拾うと、そこにはこうあった。 
『3つ与えます。 

ひとつ。右手の地球儀を壊すこと。 

ふたつ。左手の寝袋を撃ち抜くこと。 

みっつ。あなたが死ぬこと。 


ひとつめを選べば、出口に近付きます。 
あなたと左手の人は開放され、その代わり世界のどこかに核が落ちます。 

ふたつめを選べば、出口に近付きます。 
その代わり左手の人の道は終わりです。 

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、 
あなたの道は終わりです』 


思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。 
僕は半ば機械的に寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、すぐさま人差し指に力を込めた。 
ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。 
リボルバー式の拳銃は6発で空になった。初めて扱った拳銃は、コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。 


ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。 

最後の部屋は何もない部屋だった。 
思わず僕はえっ、と声を洩らしたけど、ここは出口なのかもしれないと思うと少し安堵した。やっと出られる。そう思ってね。 

すると再び頭の上から声が聞こえた『最後の問い。 

3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。 
殺すとしたら、何を選ぶ』 

僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。 

するとまた、頭の上から声がした。 

『おめでとう。 
君は矛盾なく道を選ぶことができた。 
人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、匿名の生のために匿名の死がある。 
ひとつの命は地球よりも重くない。 

君はそれを証明した。 
しかしそれは決して命の重さを否定することではない。 
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。 
出口は開いた。 
おめでとう。 

おめでとう。』 


僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。 

光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。 

三つの遺影があった。 

父と、母と、弟の遺影が。 



これで、おしまい。 

彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。 
こいつのこの話は何なんだろう。 
得も言われぬ迫力は何なんだろう。 
そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。 
僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。 
「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」 
そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。 
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。 
そして、口を開いた 
「もう、ついたよ」 
「え?」 












「『ひとつ、作り話をするよ』」 


をわり 

【洒落怖】【怖い話】リゾートバイト 3

おんどうの隙間から光が差し込んできて、夜が明けたと分かっても、俺達は顔を上げられずそこに座っていた。
雀の鳴き声も、遠くから聞こえる民家の生活音も、すべてが俺の心臓に突き刺さる。
ここから出て生きていけるのか、本気でそう思ったくらいだ。
本格的に太陽の光が中に入りこんできた頃、遠くからこっちに近づいてくる足音が聞こえた。
俺達は完全に身構え体制に入った。
足音はすぐ近くまで来ると、おんどうの裏へ回り入り口の前で止まった。
息を呑んでいると、ガタガタっと音がし、「キィーッ」と音を立てて扉が開いた。
そこに立っていたのは、坊さんだった。
坊さんは俺達の姿を見つけると、一瞬泣きそうな顔をして、「よく、頑張ってくれました」と言った。
あの時の坊さんの目は、俺一生忘れないと思う。
本当に本当に優しい目だった。
俺は不覚にも腰を抜かしていた。
そして、いい年こいてわんわん泣いた。
坊さんは、俺達の汗と尿まみれのおんどうの中に迷わず入って来て、そして俺達の肩を一人一人抱いた。
その時坊さんの僧衣?から、なんか懐かしい線香の香りがして、ああ、俺達、生きてるって心の底から思った。
そこでまた俺子供のように泣いた。

しばらくしても立ち上がれない俺を見て、坊さんはおっさんを呼んできてくれた。
そして2人に肩を抱えられながら、前日に居た一軒家に向かった。
途中、行く時に見た大きな寺の横を通ったんだが、その時俺達3人は叫び声を聞いた。
低く、そして急に高くなって叫ぶ人の声だった。
家の玄関に着くと耳元でAが囁いた。
A「さっきのあれ、女将さんの声じゃね?」
まさかと思ったが、確かに女将さんの声に聞こえなくもなかった。
だが俺はそれどころじゃないほど疲れていたわけで。
早く家に上げて欲しかったんだが、玄関に出てきた女の人がすげー不快そうに俺達を見下しながら、
「すぐお風呂入って」って言うんだわ。
まーしょうがない。だって俺達有り得んくらい臭かったしね。
そして俺達は3人仲良く風呂に入った。
まあ怖かった。いきなり一人になる勇気はさすがになかった。

風呂を上がると見覚えのある座敷に通され、そこに3枚の布団が敷いてあった。『まず寝ろ』ということらしかった。
ここは安全だという気持ちが自分の中にあったし、極限に疲れていたせいもあった。
というか、理屈よりまず先に体が動いて、俺達は布団に顔を埋めてそのまま泥のように眠った。
俺は眠りに入る中で、まったくもってどうでもいいことを思った。
起きたらあいつらに、俺達が帰るって電話しなきゃな。
旅行の準備満タンでスタンバイする友達2人は、俺達が今こうして死にそうな思いをしていたことを知らない。
もちろん、旅行計画がオジャンになることも。
そういえば、おんどうから出る時俺はBに聞いたんだ。
俺「B、もう、見えないよな?」
するとBは確かな口調で答えた。
B「ああ、見えない。助かったんだ。ありがとう」
おれはその最後の一言を聞いて、Bが小便を垂らしたことは内緒にしておいてやろうと思った。
俺達は助かったんだ。その事実だけで十分だった。

あの後、俺達は死んだように眠り、坊さんの声で目を覚ました。
坊「皆さん、起きれますか?」
特別寝起きが悪いAをいつものように叩き起こし、俺達は坊さんの前に3人正座した。
坊「皆さん、昨日は本当によく頑張ってくれました。無事、憑き祓いを終えることができました」
そう言って坊さんは優しく笑った。
俺達はその言葉に何と言っていいか分からず、曖昧な笑顔を坊さんに向けた。
聞きたいことは山ほどあったのに、何も言い出せなかった。
すると坊さんは俺達の心中を察したのか、
坊「あなたたちには、全てお話しなくてはなりませんね。お見せしたい物があります」と言って立ち上がった。
坊さんは家を出ると、俺達を連れて寺の方に向かった。

石段を上る途中、Bはキョロキョロと辺りを警戒する仕草を見せた。
それにつられて俺も、昨日見たアイツの姿を思い出して同じ行動を取った。
それに気づいた坊さんは俺達に聞いた。
坊「もう大丈夫のはずです。どうですか?」
B「大丈夫・・何も見えません」
俺「俺も平気です」
その返事を聞くと、坊さんはにっこりと笑った。

大きな寺に着くと、ここが本堂だと言われた。
坊さんの後ろに続いて寺の横にある勝手口から中に入り、さっきまで居た座敷とさほど変わらない部屋に通された。
坊さんは俺達にここで少し待つように言うと、部屋を出て行った。
Bは落ち着かないのか貧乏揺すりを始めた。
暫くすると、坊さんは小さな木箱を手に戻って来た。
そして俺達の対面に腰を下ろすと、「今回の事の発端をお見せしますね」と言って箱を開けた。
3人で首を伸ばして箱の中を覗き込んだ。
そこには、キクラゲがカサカサに乾燥したような、黒く小さい物体が綿にくるまれていた。
AB俺「何だこれ?」
よく見てみるが分からない。
だがなんとなく、どっかで見たことのある物だと思った。
俺は暫く考え、咄嗟に思い出した。
昔、俺がまだ小さい頃、母親がタンスの引き出しから、大事そうに木の箱を持ってきたことがあった。
そして箱の中身を俺に見せるんだ。すげー嬉しそうに。
箱の中には綿にくるまれた黒くて小さな物体があって、俺はそれが何か分からないから母親に尋ねたんだ。
そしたら母親は言ったんだ。
「これはねぇ、臍(へそ)の緒って言うんだよ。お母さんと、○○が繋がってた証」
俺は子供心に、なんでこんなの大事そうにしてるんだろ?って思った。
目の前にあるその物体は、あの時に見た臍の緒に似ているんだと思った。
A「これ何ですか?」
坊「これは、臍の緒ですよ」
というか、似てるもなにも臍の緒だった。
A「俺初めて見たかも」
B「おれ見たことある」
俺「俺も」
坊「みなさん親御さんに見せてもらったのでしょう。こういうものは、大切に取っておく方が多いですから」
 この臍の緒も、それはそれは大切に保管されていたものなのです」
俺たちは黙って坊さんの話を聞いていた。
坊「母親の胎内では、親と子は臍の緒で繋がっております。
 今ではその絆や出産の記念にと、それを大切にする方が多いですが、
 臍の緒には色々な言い伝えがあり、昔はそれを信じる者も多かったのです」
B「言い伝え?」
坊「そうです。昔の人はそういう言い伝えを非常に大切にしておりました。今となっては迷信として語られるだけですが」
そう前置きをして、坊さんは臍の緒に関する言い伝えを教えてくれた。

主に『子を守る』という意味を持っているが、解釈は様々。
『子が九死に一生の大病を患った際に煎じて飲ませると命が助かる』とか、
『子に持たせるとその子を命の危険から守る』というのがあって、
親が子供を想う気持ちが込められているところでは共通しているらしい。
俺たちはその話を聞いて、「へぇ~」なんて間抜けな返事をしていた。
坊さんは一息入れると、微かに口元を上げて言った。
坊「ひとつ、この土地の昔話をしてもよろしいですか?今回の事に関わるお話として聞いいただきたいのです」
俺達は坊さんに頷いた。
ここから坊さんの話が始まる。
結構長くて、正確には覚えてない。所々抜け落ち部分があるかも。

坊「この土地に住む者も、臍の緒に纏わる言い伝えを深く信じておりました。
 土地柄、ここでは昔から、漁を生業として生活する者が多くおりました。
 漁師の家に子が生まれると、その子は物心がつく頃から、親と共に海に出るようになります。
 ここでは、それがごく普通のしきたりだったようです。
 漁は危険との隣り合わせであり、我が子の帰りを待つ母親の気持ちは、私には察するに余りありますが、
 それは深く辛いものだったのでしょう。
 母親達はいつしか、我が子に御守りとして、臍の緒を持たせるようになります。
 海での危険から命を守ってくれるように、
 そして行方のわからなくなったわが子が、自分の元へと帰ってこれるようにと」
俺「帰ってくる?」
俺は思わず口を挟んだ。
坊「そうです。まだ体の小さな子は、波にさらわれることも多かったと聞きます。
 行方の分からなくなった子は、何日もすると死亡したことと見なされます。
 しかし、突然我が子を失った母親は、その現実を受け入れることができず、
 何日も何日もその帰りを待ち続けるのだそうです。
 そうしていつからか、子に持たせる臍の緒には、
 『生前に自分と子が繋がっていたように、子がどこにいようとも自分の元へ帰ってこれるように』と、
 命綱の役割としての意味を孕むようになったのだと言います」
皮肉な話だと思った。
本来海の危険から身を守る御守りとしての役割を成すものが、いざ危険が起きたときの命綱としての意味も持ってる。
母親はどんな気持ちで子どもを送り出してたんだろうな。
坊「実際、臍の緒を持たせていた子が行方不明になり、無事に帰ってくることはなかったそうです。
 しかしある日、『子供が帰ってきた』と涙を流して喜ぶ、1人の母親が現れます。
 これを聞いた周囲の者はその話を信用せず、とうとう気が狂ってしまったかと哀れみさえ抱いたそうです。
 何故なら、その母親が海で子を失ったのは、3年も前のことだったからです」
B「どこかに流れついて、今まで生きてたとかじゃないんですか?」
坊「そうですね。始めはそう思った者もいたようです。
 そして母親に、子供の姿を見せてほしいと言い出した者もいたそうなのです」
B「それで?」
坊「母親はその者に言ったそうです。『もう少ししたら見せられるから待っていてくれ』と」
どういう意味だ?
帰って来たら見せられるはずじゃないのか?
俺はこの時、理由もなく鳥肌が立った。
坊「もちろん、その話を聞いて村の者は不振に思ったそうですが、
 子を亡くしてからずっと伏せっていた母親を見てきた手前、強く言うことができず、
 そのまま引き下がるしかできなかったそうです。
 しかし次の日、同じ事を言って喜ぶ別の母親が現れるのです。
 そしてその母親も、子の姿を見せることはまだできないという旨の話をする。
 村の者達は困惑し始めます。
 前日の母親は既に夫が他界し、本当のところを確かめる術が無かったのですが、この別の母親には夫がおりました。
 そこで村の者達は、この夫に真相を確かめるべく、話を聞くことになったそうです。
 するとその夫は言ったそうです。『そんな話は知らない』と。
 母親の喜びとは反対に、父親はその事実を全く知らなかったのです。
 村人達が更に追求しようとすると、『人の家のことに首を突っ込むな』と、ついには怒りだしてしまったそうです」
まあ、そうだよな。
何にせよ周りの人に家の中のことをごちゃごちゃ聞かれたら、いい気はしないだろうななんて思ったりもした。
坊「その後何日かすると、ある村の者が、
 最初に子が戻ってきたと言い出した母親が、昨晩子共を連れて海辺を歩く姿を見たと言い出します。
 暗くてあまり良く見えなかったが、手を繋ぎ隣にいる子供に話しかけるその姿は、本当に幸せそうだったと。
 この話を聞いた村の者達は皆、これまでの非を詫びようと、そして子が戻ってきたことを心から祝福しようと、
 母親の家に訪ねに行くことにしたそうです。
 家に着くと、中から満面の笑顔で母親が顔を出したそうです。
 村の者達はその日来た理由を告げ、何人かは頭を下げたそうです。
 すると母親は、『何も気にしていません。この子が戻って来た、それだけで幸せです』と言いながら、
 扉に隠れてしまっていた我が子の手を引き寄せ、皆の前に見せたそうです。
 その瞬間、村の者達はその場で凍りついたそうです」
AB俺「・・・」
坊「その子の肌は、全身が青紫色だったそうです。
 そして体はあり得ない程に膨らみ、腫れ上がった瞼の隙間から白目が覗き、
 辛うじて見える黒目は、左右別々の方向を向いていたそうです。
 そして口から何か泡のようなものを吹きながら、母親の話しかける声に寄生を発していたそうです。
 それはまるで、カラスの鳴き声のようだったと聞きます。
 村の者達は、子供の奇声に優しく笑いかけ、髪の抜け落ちた頭を愛おしそうに撫でる母親の姿を見て、
 恐怖で皆その場から逃げ出してしまったのだそうです。
 散り散りに逃げた村の者達はその晩、村の長の家に集まり出します。
 何か得体の知れないものを見た恐怖は誰一人収まらず、それを聞いた村の長は自分の手には負えないと判断し、
 皆を連れてある住職の元へ行くことにします。
 その住職というのが、私のご先祖に当たる人物らしいのですが・・・
 相談を受けた住職は事の重大さを悟り、すぐさま母親の元に向かいます。
 そして母親の横に連れられた子を見るや、母親を家から引きずり出し、寺へと連れて帰ったそうです。
 その間も、その子は住職と母親の後をずっと付いてきて、奇声を発していたのだとか。
 寺に着くと、まず結界を強く張った一室に母親を入れ、話を聞こうとします。
 しかし、一瞬でも子と離れた母親は、その不安からかまともに話をできる状態ではなかったと聞きます。
 ついには子供を返せと、住職に向かってものすごい剣幕で怒鳴り散らしたのだそうです」
A「それでどうなったんですか?」
坊「子を想う母は強い。
 住職が本気で押さえ込もうとしたその力を跳ね飛ばし、そのまま寺を飛び出してしまったのだそうです」
坊さんは少し情けなそうな顔をしてそう言った。
坊「その後、村の者と従者を何人か連れて、母親の家に行きましたが、そこに母と子の姿はなかったそうです。
 そして家の中には、どこのものかわからない札が至る所に貼り付けられ、
 部屋の片隅には、腐った残飯が盛られ異臭が立ち込めていのだとか」
この時俺は思った。あの旅館の2階で見たものと同じだと。
坊「そこに居た皆は同じことを思いました。母親は子を失った悲しみから、ここで何かしらの儀を行っていたのだと。
 そして信じ難いことだが、その産物としてあのようなモノが生まれたのだと。
 その想いを悟った村の者達は、母親の行方を村一丸になって捜索します。
 住職はすぐさま従者を連れ、もう一人の母親の家に向かいますが、こちらも時既に遅しの状態だったそうです。
 得体の知れないモノに語りかけ、子の名前を呼ぶ母親に恐怖する父親。
 その光景を見た住職は、経を唱えながらそのモノに近づこうとしますが、
 子を守る母親は住職に白目を向き、奇声を発しながら威嚇してきたのだそうです」
現実味のない話だったのに、なぜかすごく汗ばんだ。
坊「村の者は恐れ、一歩も近寄れなかったと言います。
 しかし住職とその従者は、臆することなくその母親とそのモノに近づき、興奮する母親を取り押さえ寺へ連れ帰ります。
 暴れる母親を抱えながら、背後から付いて来るモノに経を唱え、道に塩を盛りながら少しずつ進んだのだそうです。
 寺に着くと、住職は母親をおんどうへ連れて行き、体を縛りその中に閉じ込めたのだそうです」
A「そんなことを・・・」
Aが哀れみの声を出した。
坊「仕方がなかったのです。親と子を離すのが先決だった、そうしなければ何もできなかったのでしょう」
坊さんがしたことではないが、Aは坊さんから顔を背けた。
少しの沈黙の後、坊さんは続けた。
坊「母親の体には自害を防ぐための処置が施されたようですが、その詳細は分かりません。
 その後、おんどうの周りに注連縄を巻きつけ、住職達はその周りを取り囲むようにして座り、経を唱え始めたそうです。
 中から母親の呻き声が聞こえましたが、その声が子に気づかれぬよう、全員で大声を張り上げながら経を唱えたそうです」
 住職達が必死に経を唱える中、いよいよ子の姿が現れます。
 子は親を探し、おんどうの周りをぐるぐると回り始めます。
 何を以って親の場所を捜すのか、果たして経が役目を成すのかもわからない状態で、
 とにかく住職達は必死に経を唱えたのです」
そこで坊さんは一息ついた。
B「それで、どうなったんですか?」
Bの声は恐る恐るといった感じだった。
坊「おんどうの周りを回っていたそのモノは、次第に歩くことを困難とし、四足歩行を始めたそうです。
 その後、四肢の関節を大きく曲げ、蜘蛛のように地を這い回ったそうです。
 それはまるで、人間の退化を見ているようだったと。
 その後、なにやら呻き声を上げたかと思うと、
 そのモノの四肢は失われ、芋虫のような形態でそこに転がっていたのだとか。
 そしてそのモノは、夜が明けるにつれて小さくすぼみ、最終的に残ったのが、臍の緒だったのです」

俺は坊さんの話に聞き入っていた。
まるで自分達の話に毛が生えて、昔話として語られているような感覚だった。
するとAが聞いたんだ。
A「え、もしかしてその臍の緒って・・・」
すると坊さんは静かに答えた。
坊「今朝、おんどう奥の岩の上に転がっていたものです」
B「マジかよ・・」
Bは呆然として呟いた。
俺「なんで?なんで俺達なんですか?」
坊「詳しくはわかりません。
 この寺には、代々の住職達の手記が残されていますが、
 母親でない者にこのような現象が起きた事例は、見当たりませんでした。
 何より、肝心の母親の行った儀式について、これがまだ謎に包まれたままなのです」
B「母親に聞かなかったんですか?」
坊「聞かなかったのではなく、聞けなかったのです」
ポカンとしていると坊さんはまた話し始めた。
坊「住職達がおんどうを開け中を確認すると、疲れ果ててぐったりした母親がいたそうです。
 子を求めて一晩中叫んでいたのでしょう。
 すぐさま母親を外に運びだし手当てをしましたが、目を覚ました時には、母親は完全に正気を失っておりました。
 二度も子を失った悲しみからなのか、はたまた何か禍々しいモノの所為なのか、それも分かりかねますが。
 そして村の者が捜索していたもう一人の母親ですが、
 一晩経を読み上げ疲れ果てた住職達の元に、発見の知らせが届いたそうです。
 近海の岸辺に、遺体となって打ち上げられていたと。
 母親は体中を何かに食い破られており、それでいて顔はとても幸せそうだったとあります。
 何が起きたのかはわかりませんが、住職の手記にはこうありました。
 『子に食われる母親の最後は、完全な笑顔だった』と」
信じられないような話なんだが、俺達は坊さんの話す言葉一つ一つをそのまま飲み込んだ。
坊「遺体となって見つかった母親の家は、村の者達による話し合いで取り壊されることとなり、
 その際に家の中から、母親の書いたものらしいメモが見つかったそうです」
そう言って坊さんは、そのメモの内容を俺達に説明してくれた。
簡単に言うと、儀式を始めてからの我が子を記録した、成長記録のようなものだったそうだ。
どんな風に書かれていたのかは憶測でしかないんだが、内容は覚えているので以下に書く。わかりづらいかも。

○月?日 堂の作成を開始する
×月?日 変化なし

・・・

△月?日 △△(子の名前)が帰ってくる
△月?日 移動が困難な状態
△月?日 手足が生える
△月?日 はいはいを始める
△月?日 四つ足で動き回る
△月?日 言葉を発する
△月?日 立つ

この成長記録に、母親の心情がビッシリと書き連ねてあったらしい。
ちなみに、もう一人の母親は、屋根裏に堂を作っていたらしく、父親はその存在に全く気づいていなかったのだそうだ。

坊「私もすべてを理解しているとは言えませんが、この母親の成長記録と住職の手記を見比べると、
 そのモノは、自分の成長した過程を遡るようにして、退化していったと考えられませんか?」
確かにその通りだと思った。
そして坊さんは、それ以上の言及を避けるように話を続けた。
坊「これ以降手記には非常に稀ですが、同じような事象の記述が見られます。
 だがその全てに、母親達がいつどのようにしてこの儀を知るのかが、明記されていないのです。
 それは全ての母親が、命を落とす、若しくは、話すこともままならない状態になってしまったことを、意味しているのです」
坊さんは、早期に発見できないことを悔やんでいると言った。
坊「今回の現象は初めてのことで、私自身もとても戸惑っているのです。
 何故母親ではないあなたが、そのモノを見つけてしまったのか。
 子の成長は母親にしか分からず、共に生活する者にも、それを確認することはできないはずなのです」
そんなデタラメな話有りなのか?と思った。
そしてBが、話の核心を知ろうと恐る恐る質問した。
B「あの、母親って、・・・もしかして女将さんなんですか?」
坊さんは少し黙り、答えた。
坊「その通りです。
 真樹子さんは、この村出身の者ではありません。○○さん(旦那さんの名前)に嫁ぎこの村にやってきました。
 息子を一人儲け、非常に仲の良い家族でした」
そう言って話してくれた坊さんの話の内容は、大方予想が付いていたものだった。
女将さんの一人息子は、数年前のある日海で行方不明になったそうだ。
大規模な捜索もされたが、結局行方は分からなかったらしい。
悲しみに暮れた女将さんは、周囲から慰めを受け、少しずつだが元気を取り戻していったそうだ。
旅館もそれなりに繁盛し、周囲も事件のことを忘れかけた頃、急に旅館が2階部分を閉鎖することになったんだって。
周りは不振に思ったが、そこまで首を突っ込むことでもないと、別段気にすることはなかったそうだ。
そしてこの結果だ。
女将さんはどこから情報を得たのか不明だが、あの2階へ続く階段に堂を作り上げ、そこで儀式を行っていた。
そしてその産物が俺達に憑いてきたという訳だが、ここがこれまでの事例と違うのだと坊さんは言った。
本来儀式を行った女将さんに憑くはずの子が、第3者の俺達に憑いたんだ。
考えられる違いは、女将さんは息子に臍の緒を持たせていなかったということ。
そこの村の人達は、昔からの風習で未だに続けている人もいるらしいが、女将さんはその風習すら知らなかった。
これは旦那さんが証言していたらしい。
そして妙な話だが、旅館の2階を閉鎖したというのに、バイトを3人も雇った。
旦那さんも初めは反対したそうだが、
女将さんに「息子が恋しい。同年代くらいの子達がいれば、息子が帰ってきたように思える」と泣きつかれ、
渋々承知したそうなんだ。
これは坊さんの憶測なんだが、
女将さんは初めから、帰ってきた息子が俺達を親として憑いていくことを知っていたんではないか、ということだった。
結局これらのことを俺達に話した後、坊さんはこう言った。
坊「あなた達をあのおんどうに残したこと、本当に申し訳なく思います。
 しかし私は、真樹子さんとあなた達の両方を救わなければならなかった。
 あなた達がここにいる間、私達は真樹子さんを本堂で縛り、先代が行ったように経を読み上げました。
 あのモノがおんどうへ行くのか、本堂へ来るのか分からなかったのです」
つまり、俺達に憑いてきてはいるが、これまでの事例からいくと母親の女将さんにも危険が及ぶと、
坊さんはそう読んでいたってことだ。
俺は別に坊さんが謝ることじゃないと思った。
それにこの人は命の恩人だろ?と思ってBを見ると、肩を震わせながら坊さんを睨み付けて言ったんだ。
B「納得いかない。自分の息子が帰ってくりゃ人の命なんてどーでもいいのか?」
坊「・・・」
B「全部吐かせろよ!なんでこんな目に遭わせたのか、それができないなら俺が直接会って聞いてやる」
 旦那さんだって知ってたんだろ?それなのに何で言わなかったんだ?」
坊「○○さんは知らなかったのです」
B「嘘つくな。知ってるようなこと言ってたんだ」
坊「この話は、この土地には深く根付いています。○○さんが知っていたのは伝承としてでしょう」
坊さんが嘘を吐いているようには見えなかった。
だがBの興奮は収まりきらなかったんだ。
B「ふざけんじゃねーぞ。早く会わせろ。あいつらに会わせろよ!」
俺達はBを取り押さえるのに必死だった。
坊さんは微動だにせず、Bの怒鳴り声を静かに聞いていた。
そして、
坊「この話をすると決めた時点で、あなた達には全てをお見せしようと思っておりました。
 真樹子さんのいる場所へ案内します」
と言って立ち上がったんだ。

坊さんの後を付いてしばらく歩いた。
本堂の中にいるかと思っていたんだが、渡り廊下みたいなのを渡って離れのような場所に通された。
近づくにつれて、なにやら呻き声と何人かの経を唱える声が聞こえてきた。
そしてその声と一緒に、バタンッバタンという音が聞こえた。かなりでかかった。
離れの扉の前に立つと、その音はもうすぐそこで鳴っていて、中で何が起きているのかと俺は内心びくびくしていた。
そして坊さんが離れの扉を開けると、そこには女将さん一人と、それを取り囲む坊さん達が居た。
俺達は全員、言葉を発することができなかった。
女将さんはそこに居たというか・・・なんか跳ねてた。エビみたいに。うまく説明できないんだが。
寝た状態で、畳の上で、はんぺんみたいに体をしならせて、ビタンビタンと跳ねていたんだ。
人間のあんな動きを俺は初めてみた。
そして時折、苦しそうにうめき声を上げるんだ。
俺は怖くて女将さんの顔が見れなかった。
正直、前の晩とは違う、でもそれと同等の恐怖を感じた。
呆然とする俺達に坊さんは言った。
坊「この状態が、今朝から収まらないのです」
するとAが耐え切れなくなり、「俺、ここにいるのキツイです」と言ったので、一旦外に出ることになった。
音を聞くことさえ辛かった。
つい昨日の朝に見た女将さんの姿とは、まるで別人の様になっていた。

そこから少し離れたところで、俺達は坊さんに尋ねた。憑き物の祓いは成功したのではないかと。
坊「確かに、あなた達を親と思い憑いてきたものは、祓うことができたのだと思います。
 現にあなた達がいて、ここに臍の緒がある。しかし・・・」
すると急にBが言ったんだ。
B「そうか・・・俺が見たのは、1つじゃなかったんだ」
初めは何のことを言ってるのかわからなかったんだが、そのうちに俺もピンときた。
Bはあの時、2階の階段で複数の影を見たと言っていなかったか?
坊「1つではないのですか?」
坊さんは驚いたように聞き返し、Bがそうだと答えるのを見ると、また少し黙った。
そして暫く考え込んでいたかと思うと、急に何かを思い出したような顔をして、俺達に言ったんだ。
坊「あなた達は鳥居の家に行ってください。そしてあの部屋を一歩も出ないでください。後で人を行かせます」
ポカンとする俺達を置いて、坊さんはそのまま女将さんのいる離れの方に走って行った。
俺達は急に置いてけぼりを食らい、暫く無言で突っ立っていた。
すると離れの方から、複数の坊さんが大きな布に包まった物体を運び出しているのが見えた。
その布の中身がうねうねと動いて、時折痙攣しているように見えた。
あの中にいるのは女将さんだと全員が思った。
そのままおんどうの方に運ばれていく様を、俺達は呆然と見ていたんだ。
ふとお互い顔を見合わせると、途端に怖くなり、俺たちは早足で家に向かった。
そこからは、説明することが何も無いほど普通だった。
家に行って暫くすると、別の坊さんがやって来て「ここで一晩過ごすように」と言われた。
そしてその坊さんは俺たちの部屋に残り、微妙な雰囲気の中4人で朝を迎えたというわけ。

次の朝、早めに目が覚めた俺達がのん気にめざにゅ~を見ていると、坊さんがやって来た。
俺達は坊さんの前に並んで話を聞いた。
坊さんは俺達の憑き祓いは完全に終わったと言った。
昨日言っていた通り、俺達に憑いてきたモノは一匹で、それは退化を遂げて消滅したのを確認したんだと。
俺達はそれを聞いて安堵した。
しかし坊さんはこう続けた。
女将さんを救うことができなかったと。
泣きそうなのか怒っているのか、なんとも言えない表情を浮かべてそう言った。
死んだのかと聞くと、そうではないと言うんだ。
俺はその言葉から、女将さんが跳ね回っている姿を思い出した。
ずっとあの状態なのか・・?
恐る恐るそれを聞くと、坊さんは苦い顔をしただけで、肯定も否定もしなかった。
女将さんの今の状態は、憑きものを祓うとかそういう次元の話ではなく、何かもっと別のものに起因してるんだって。
詳しくは話してくれなかったんだが、女将さんが行った儀式は、この地に伝わる『子を呼び戻す儀』と似て非なるものらしい。
どこかでこの儀の存在と方法を知った女将さんは、息子を失った悲しみからこれを実行しようと試みる。
だが肝心の臍の緒は自分の手元にあったわけだ。
こっからは坊さんの憶測なんだが、女将さんはこれを試行錯誤しながら、完成系に繋げたんじゃないかということだった。
自分の信念の元に。
そしてそこから得た結果は、本来のものとは別のものだった。
堂には複数のモノがおり、そこに息子さんがいたかは分からないと。
坊さんが言ってた。
この儀の結末は、非常に残酷なものでしかないんだと。
それを重々承知の上で、母親達は時にその禁断の領域に足を踏み入れてしまう。
子を失う悲しみがどれ程のものなのか、我々には推し量ることしかできないが、
心に穴の開いた母親がそこを拠り所としてしまうのは、いつの時代にもあり得ることなのではないかと。
Bは女将さんのこれからを執拗に聞いていたが、坊さんは何も分からないの一点張りで、
俺たちは完全に煙に巻かれた状態だった。

俺達が坊さんと話終えると、部屋に旦那さんが入ってきた。
俺は正直ぎょっとした。
顔が土色になって、明らかにやつれ切った顔をしてたんだ。
そして、俺達の前に来ると泣きながら謝って来た。
泣きすぎて何を言ってるのかは全部聞き取れなかったんだけど、俺達は旦那さんのその姿を見て誰も何も言えなかった。
俺達に申し訳ないことをしたと泣いているのか、それとも女将さんの招いた結果を思って泣いているのか、
どっちだったんだろうな。今となってはわかんねーな。
その後、俺達は何度も坊さんに確認した。
これ以降俺達の身には何も起きないのか?と。
すると坊さんは、困ったような顔をしながら「大丈夫」だと言った。

その後、坊さんの所にタクシーを呼んでもらって俺達は帰ることになった。
一応、昨日の朝俺を家まで運んでくれたおっさんが、駅まで同乗してくれることになったんだが。
このおっさんがやたら喋る人で、それまでの出来事で気が沈んでる俺達の空気を一切読まずに、一人で喋くりまくるんだ。
そんでこのおっさんは、「それにしても、子が親を食うなんて、蜘蛛みたいな話だよなぁ」と言ったんだ。
俺達は胸糞悪くなって黙ってたんだけど、おっさんは一人で続けた。
「お前達、ここで聞いた儀法は試すんじゃねーぞ。自己責任だぞ」
そう言って笑うんだ。
俺達の気持ちを和らげようとして言ってるのか、本気でアホなのかわかんなかったけど、一つ確かなことがあった。
俺達は、坊さんに真実を隠されて教えられたんだ。
儀の方法は、その結果と一緒にこの地に伝わってるんだ。
このおっさんが知ってて坊さんが知らないはずないだろ?
そう思うと、これだけの体験をさせといて、結局は大事なところを隠して話されたことにすげーショックを受けた。
坊さんを信用していた分、なんか怒りにも似たものが湧き上がってきたんだ。
タクシーが駅に着くと、おっさんが金を払うと言ったが俺達は断った。
早くこの場所から逃げ出したい、その一心だった。
坊さんが「大丈夫」と言った一言も、全部嘘に思えてきた。
それでも俺達には、あの寺に戻る勇気はなくて、帰りの電車をただただ無言で待つことしかできなかったんだ。

その後、帰って来てからはなんともない。
まあ、なんともないからここに書き込めてるわけだけど。
「もう2度とあの場所へは行かない」
3人で話してると必ず1回はその言葉が出てくるくらい、俺達にとってトラウマになった出来事だったんだ。
あと、Bはあれから蜘蛛を見るのがどうもダメらしい。成長過程のアイツの姿を見てるからね。
俺はと言うと、今は普通に社会人やってます。若干暗闇が苦手になったくらい。
人間のど元過ぎれば熱さ忘れるって、あながち間違いじゃないかもしれないな。

本当の本当に後日談なんだが、その話を残りの友達2人に話したんだ。
2人とも俺達3人の様子を見て、一応信じてはくれたんだけど。
でもそいつらその後に、興味半分で旅館に電話を掛けてみたんだって。(最低だろ)
そしたら、電話に出たのは普通のおばさんだったらしい。
そいつら俺達に言うんだよ。女将さんか確認しろって。そんで、後ろでカラスが異様に鳴いてるって言うんだ。
絶対無理だと思った。女将さんが無事でも無事じゃなくても、俺にはその後を知る勇気なんか出なかった。

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